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朱稀
玲はいつもあたしの全てを奪っていく
朱稀
昔からそうだった
あたしが誕生日プレゼントでやっと 買って貰えた大きなぬいぐるみを 次の日には奪っていった。
おまけに糸はほつれ、醤油をべったりと付けて思い出されたように1年後に返された
最近だって少し奮発して買った 蝶のイヤリングを勝手に部屋から盗み、挙句の果てには1日で壊してきたりしている。
だからあたしは玲に燐翔さんを 会わせなくなかった。
また玲に1番大切なものを 奪われたくなかった。
朱稀
朱稀
朱稀
ここからあたしの部屋までは少し遠い。 多くの部屋を通り抜けていかないと行けない。
もちろん、あたしの部屋に行くまでには玲の部屋もある。
ガチャ
朱稀
朱稀
玲の部屋の2つ奥があたしの部屋だ。
玲の部屋が見えてきた。
玲
玲の部屋から何か声が聞こえてきた
思わず立ち止まり、耳を澄ます
玲
朱稀
玲
あたしはもう遅かった事が分かった
玲に気づかれないようにそっとあたしの部屋に向かう。
ドアを閉め、鍵をかける。
朱稀
あたしは泣いた
玲に燐翔さんを取られたからじゃない
あんなに信用していた人が
こんな事になるなんて思っていなかったからだ。
あたしの心を埋めてくれる人はもういない
もうどのくらい泣いたのだろうか
口に広がる涙のしょっぱい味と、 吐きたくなるような苦い味
あぁ、喉が乾いた
水を飲もう。
そして寝よう。
あたしは水であの味を喉の奥に押し込み、 目を閉じた。