私は生まれてから「極道の女」として生きていくことが決まっていた
なんせ親が極道なのだから。
極道と聞けば悪事を思い浮かべる人が多いだろうが、高倉家の極道は違った
「人殺し」だった
高倉父
そんなんじゃ極道界で生き残れたもんじゃないぞ!!
高倉父
お前の兄が死んだら、次はお前がこの高倉家を継いでいくんだ!!
高倉雅
っ…
父親からのしごきが始まったのは5歳から
私の家系が人殺し極道なのはもうわからされていた
高倉蒼
…
高倉父
お前の兄を見習え!!!
高倉雅
助けて…
高倉父
人に物を頼るな!!
私が人に頼らないのは父の教えだ
頼る必要はない、頼ってもそれなりのものは返ってこない
そういう損得考える人だったから、余計に1人でなんとかできるようにとの教育
それでも父は「無駄な訓練」ではなく「力がない人でも確実に勝てる方法」を教えてくれた
高倉父
怒りに狂ったヤツは目の前の相手を「殺す」ことだけしか頭にない
高倉父
丸腰で来ることが多いだろう
高倉父
だからこそ、雅にこの技を教える
高倉雅
っ…
高倉父
どう考えたって相手を封じるためには、自分が相手より上にいなきゃいけない
高倉父
だからこういうふうに腕を抑えて後ろの首を持って、地面に叩きつける
高倉父
後ろの首は人間の急所だ
高倉父
よく覚えとけ
高倉雅
…はい
高倉父
この技を使えば力の弱い女でも、確実に男を再起不能にすることができるぞ
高倉雅
こう?
高倉父
ああ
高倉父
雅、お前は習得が早い
高倉父
さすが俺の娘だ
期待されていたからこその厳しさだった
それでも私は父を好きになることはなかった
極道という名の人殺しということもあるから、常に任務は命がけ
尊敬もしていない父は私が15の時に殺された
高倉蒼
俺が高倉家を継ぐ
高倉雅
蒼兄さん…
高倉蒼
俺が総長になったら雅は゛次期総長゛といった形になると思う
高倉蒼
でも俺は雅だけは辛い思い…死んでほしくない
高倉蒼
こんな腐った人殺し極道界で生きていくのは俺だけでいい
高倉雅
そんな…、駄目だと思う
高倉蒼
お前は俺のたった1人の妹だから
高倉蒼
それにお前はあの親父の訓練にも耐えてきた
高倉蒼
これはすごいことだ
高倉蒼
雅だって普通に生きていたら今頃高校生なのに
高倉雅
家庭教師雇ってたけど
高倉蒼
普通に学生として青春したかったろ
高倉雅
…
父親、高倉家、極道…
こんな肩書があるため学校にはまともに行けていなかった
高倉蒼
俺、この高倉家を変える
高倉雅
え…!?
高倉雅
そんなのできるの…?
高倉蒼
…たくさんの構成員がいるし、たくさんの費用とか労力とかいると思うけど
高倉蒼
俺はこの極道をいい道に使っていきたい
兄の目は真剣゛だった゛