ヒーロー失格?――その言葉は、雄英高校ヒーロー科に在籍する緑谷出久にとって、あまりにも重すぎる響きを持っていた。彼には7人の弟妹がいる。だが、家族からの愛情は、なぜか出久一人にだけ向けられる虐待という形でしか注がれない。幼い弟妹たちは、出久が受ける苦痛をただ見ていることしかできない。そんな過酷な日常の中で、出久は雄英高校で唯一、彼に手を差し伸べてくれるかもしれない存在、相澤先生に助けを求めたいと願っていた。しかし、心に負った傷はあまりにも深く、言葉は喉に詰まり、SOSを発することさえできない。兄として、ヒーローとして、出久はこの絶望的な状況から、家族を守りながら抜け出すことができるのだろうか? 届かぬSOSは、やがてヒーローとしての彼の運命を大きく揺るがしていく。