三人目の妻として、華族に嫁ぎました~先妻ふたりの死の謎を解くまで離縁できません~
大正十一年、帝都。
父の借金の形に、活版所の娘・志摩栞は「妻殺し」と噂される久遠寺侯爵の三人目の妻として嫁ぐことになった。
前の奥様は二人とも、嫁いで一年ともたずに亡くなっている。
婚礼の夜、冷たい目をした夫は言った。
「この家では何も食べるな。私が用意したもの以外は」
恐れられる侯爵は、なぜか夜ごと自ら台所に立ち、栞のためだけに不器用な夜食を作る。
けれど栞にも、夫に言えない秘密があった。
亡くなった二人目の妻は、栞の親友だったのだ。
活字の欠け、紙の刷り年、インクの重なり――。
活版所で育った目で、屋敷に届く脅迫状や偽の手紙を読み解くうち、先妻ふたりの死の真相が浮かび上がる。
疑い合って結ばれた夫婦が、本物の相棒になるまでの大正浪漫溺愛ミステリー。