「キモチワルイ」――他人の心の声が聞こえる能力を持つ少女、さとり。その力ゆえに人から疎まれ、最愛の妹にさえ拒絶される悪夢にうなされる日々を送っていた。
それでも、裏表のない従者や心の声が聞こえない妹に囲まれた「地霊殿」での暮らしは、彼女にとって唯一の安息の地。能力に苦しみながらも、その力に頼ることでしか、彼女は人を信じられなかったのだ。
「この能力がなければいいのにって、何万回も考えた。でも、怖い。心の声が読めないのが、怖い――」
そんなある日、彼女の願いとは裏腹な最悪の形で、突然その能力は消え去ってしまう。信頼の術を失い、疑心暗鬼に駆られたさとりは、異変の解決を求め、数少ない信じられる人間のもとへ向かう。
しかし、そこで彼女を待っていたのは、同じように“能力を失った”と訴える、見知らぬ少女の姿だった。
一部の者だけを襲う”能力消失異変”。信頼の拠り所を失ったさとりが、本当の意味で信じるべきものとは何か。心の繋がりを問う、幻想の物語。