講評
温かみのある文章と丁寧な描写が光る作品です。物語は小さな道の先にある不思議な空間「魔法百貨堂」を舞台に、店主と訪れる人々との交流を通じて、小さな奇跡と優しさを紡いでいます。店主との茶目っ気のあるやり取りが作品全体に心地よいテンポをもたらし、読み進めるほどにその世界観に引き込まれました。また、登場する魔法が日常の延長線上にあることで、ファンタジーでありながらどこか現実味を感じさせる魅力があります。物語全体としての流れをもう少し示唆する工夫があると、さらに引き込まれる作品になりそうです。ですが、本作の持つ温かなメッセージと心地よい余韻は、多くの読者の心に残ると思い、優秀賞に選出いたしました。