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椥守蕊月
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#イケメン
蒼乃 月
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#ラブコメ
奏多
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コメント
1件
おお、これはまた良い話読ませてもらったわ。 「煙に巻く」って言い方、まんま伏線になるんだなって思った。元カノの「キスが短い」と、煙草を吸うときの口元の寂しさがリンクするところ、めちゃくちゃ沁みた。 凛が鋭くて、でも距離感が絶妙なキャラで好きだわ。透が最後に煙草やめようとするシーンで、ちょっと泣きそうになった。 続きが気になる……!
ベランダへの窓を開けると、 冬の冷気が部屋へ入り込んだ。
凛
凛が毛布の中に飛び込んで、丸くなる。
凛の服は下着まですべて洗濯中だ。
裸に俺のパーカーを着ただけのその姿は、さぞ寒いだろう。
透
凛
透
透はポケットから箱を取り出した。
残りは三本。
買ってくれたのは、誰だったか。
ああ、三日前に家に泊めた、 疲れた顔のOLだ。
名前は、忘れた。
凛
透
凛
凛は部屋を見回した。
脱ぎっぱなしの上着。
ローテーブルの上に積まれた コンビニ弁当の容器。
床に転がった空き缶。
まともな暮らしには見えない。
まあ実際、まともな暮らしはしてない。
三日に一度別の女が出入りする部屋だ。
今も、駅前で凜を――家出少女を 拾ってきたばかりだ。
凛
凛
透
凛
透
凛
凛も毛布を肩にかけたまま、 ベランダについてきた。
透
凛
透
透
凛
凛
凛
透
透
俺は財布から一万円札を取り出した。
凛
透
凛
透
お金だはいっぱいあるのと、 悲しげに笑ってたな
凜は金を俺に押し返してしまった。
俺は煙草をくわえた。
ライターの火が、 暗がりで一瞬だけ顔を照らす。
息を吸う。
肺へ煙が入ってくる。
吐き出すと白い息と混ざり、 夜の中へ溶けていった。
凛
透
凛
透
凛
透
もう一度、煙を吐く。
透
透
凛
凛
透
凛
透
凛
透
凛は手すりへ肘をつき、 へにゃりと笑いかけてくる
凛
俺は返事の代わりに煙を吐いた。
それだけで、 凛には肯定と伝わったらしい。
凛
透
美月
美月は、 何の前触れもなくそう言う奴だった。
付き合い始めて、半年経ってた。
それでも、会うたびに、 新しい発見でもしたように言う
透
美月
透
美月
透
美月
透
美月
言いながら、美月は嬉しそうに笑った。
彼女は何も隠さない。
好きな食べ物や、本のこと。
大学の授業やサークル。
両親が離婚した夜、 布団の中で泣いたこと。
初めて俺を見た日に、 一目惚れしたこと。
自分の情報を、全部差し出してきた。
美月
透
美月
透
美月
透
美月
透
美月
透
美月
美月は笑いながら、 俺の胸元へ額を押しつけた。
美月
美月
その言葉は嬉しかった。
嬉しいはずだった。
けれど、美月が一歩近づくたび、 俺は無意識に一歩下がった。
秘密にしていることなどない。
それでも、 自分の内側へ踏み入れられると、 ぞわっとした。
美月
透
美月
透
美月
美月
隠したいわけじゃない。
隠すだけの中身なんて、俺にはない。
しいて言えば、距離感だ。
俺と美月の間で、 親しい人間に求める距離感が違う。
透
美月
美月
透
美月
美月は、好きだからすべてを見せたい。
すべてを知りたい。
その感情はわかる。
存在は知ってるレベルだが。
好きだから踏み込まれたくない俺と、 価値観が違う。
何度も喧嘩した。
何度も仲直りした。
抱きしめた。
キスをした。
そのたびに、またやり直せると思った。
けれど美月のキスは、いつも短かった。
触れたと思えば、すぐに離れる。
そのあと彼女は、俺を見て笑う。
美月は、深く触れるより、 表情を見つめる方が好きだった。
美月
最後のキスも、そうした。
俺は、目を閉じて、 長くキスするのが好きだったのに。
唇が一瞬だけ触れただけ。
離れてから、 美月は泣きそうな顔で笑った。
美月
俺に落ち度はあったかな?
出ていく美月を見送りながら、 煙草に火をつけたあたり。
救いようはなかったと思う。
凛
煙草を挟んだ指が止まった。
透
凛は手すりにもたれたまま、 俺の口元を見る。
凛
凛
透
美月と別れてから、本数が増えた。
大学でも吸うようになった。
夜中に目が覚めるたび、 ベランダへ出た。
苛立っているからだと思っていた。
眠れないから。
手持ち無沙汰だから。
そして、自分を隠したいから。
理由はいくらでも並べられた。
けれど、本当は。
煙草を口へ運ぶたび、 無意識に思い出していた。
一瞬だけ触れて、すぐ離れていく唇。
離れたあと、 こちらを見つめる美月の目。
凛
透
凛
凛
透
透
凛
凛
凛
凛は毛布の端を持ち上げ、 俺に抱き着く。
目だけが、悪戯っぽく細められる。
凛
透
凛
透
凛
凛
短くなった煙草を灰皿へ押しつけた。
火が消える。
もう一本取り出そうとして、やめた。
凛
透
凛
透
透
凛
透
凛
俺は窓を開け、先に部屋へ戻った。
凛がぺったり背中に張りつく。
背後から冷たい風が吹き込む。
今夜だけ、 もう煙は必要ない気がした。