奪ワレル・・・

ピンポーン

インターホンの音でフッと意識が浮上した

目を開くと何故か視界がグラグラと歪む

インターホンに出ないと……と身体を動かそうとするが全く力が入らない

しかも微かに動いただけで右足がズキンと痛んだ

〜〜♪

と、今度は着信音が

ゆっくり視線を動かすと少しだけ離れた床にスマホが転がっていた

必死に手を伸ばして、スマホを掴む

涙で滲む視界では表示される名前も確認できなかったが、なんとか通話をタップした

翔太のマンションに到着して何度かインターホンを鳴らしたところで電話をかけていたラウールが声を上げた

スマホから聞こえてきたのは翔太の荒い息遣い

最悪の状況は避けれたみたいだけど、この様子じゃ全く動けないみたいだ

そこへ照が息を切らして走ってきた

状況がよく分からないまま、阿部たちに着いて翔太の部屋に入る

薄暗いリビングの電気をつけると阿部は慌てて駆け出した

そこには苦しそうな呼吸で床に倒れている翔太が

顔の近くには嘔吐した跡もあった

阿部の問いに翔太は小さく首を振ると足に視線を向けた

アイツら？

言っている意味が分からず翔太の足を見るとそこは赤黒く変色していた

俺の声に反応した翔太の潤んだ瞳と目が合う

そこで視界に入ったものに思わず慌てて2人の元に駆け寄った

視線の先は翔太の首

そこには明らかに人の手形……絞められた痕があった

そんな痕が付くような状況なのに、何故阿部はこんなに落ち着いているのか……

そこに濡らしたタオルを持ったラウールが戻ってきた

声を荒げた俺と阿部を交互に見て戸惑うような表情をしていた

スマホを取り出した途端、止めたのは阿部じゃなくラウール

メンバーが危害を加えられてるのに、何故この2人は止めるんだ

混乱する俺に、ラウールは更に言葉を紡いだ