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ヒスイ

ヒスイ

─!!

ホノカ

嗣凪さん?!

カナウ

翡翠ちゃん?!?

ホノカ

ホノカ

え、ど、どこ行くの?!?

先程までスマホとにらめっこしていた翡翠ちゃんが、

急に何かに気づいたように、

走って学校に戻っていく。

突然の出来事に頭が追いつかず、数秒私たちはその場に固まる。

─と、

ホノカ

─私、追いかけてくる!

カナウ

え、ちょ、帆乃香?!

言うが早いが、帆乃香が後を追って走っていってしまう。

どちらも化け物のように足が速く、

取り残された私たちは、再び増えた情報量に、

また固まってしまった…。

真っ暗な階段を、

スマホのライトだけを頼りに駆け上がる。

踊り場で一度止まり、膝に手をつく。

ヒスイ

…ハァ、ハァ。

息を整え、数分前の思考を再びなぞった。

ヒスイ

ヒスイ

(…7つ目の存在が、)

ヒスイ

(まさかあんな所に隠れてるとは、)

ヒスイ

(思ってもなかった…)

数分前─

肝試しの帰り道、

翡翠は、3つ目で手に入れた紙片の解読を密かにしていた。

ヒスイ

(…恐らく、左右が反転しているだろうから、)

ヒスイ

(正しい向きはこっちか…。)

ヒスイ

(そして、文字が縦書きだから、)

ヒスイ

(これは右から左に読むもの。)

ヒスイ

ヒスイ

(さらに、文字化けしてるから、)

ヒスイ

(これを解読して…)

文字化けの解読サイトに、

これらの文字化けを打ち込んでいく。

ヒスイ

(…左から、)

あ つ い

助 け て

待 っ て

ヒスイ

(綺麗に行が揃ってるのはここまで。)

ヒスイ

(…あとのぐちゃぐちゃしてるところは、)

     い   か な    い       で       

ヒスイ

ヒスイ

(…なるほどな。)

ヒスイ

ヒスイ

(きっと暗号として考えるのは、)

ヒスイ

(行が揃っているところまで。)

ヒスイ

ヒスイ

(…頭文字でも取るのかな…?)

『あ』つい

『た』すけて

『ま』って

ヒスイ

…あたま?

翡翠は首を傾げた。

ヒスイ

(…なんの『あたま』だろうか。)

ここまでの七不思議を思い返してみる。

ヒスイ

(順番に、)

ヒスイ

(音楽室のピアノ。)

ヒスイ

(家庭科室の火事。)

ヒスイ

(運動場のポスト。)

ヒスイ

(女子トイレの水。)

ヒスイ

(大時計の声。)

ヒスイ

(裏庭の水面の幽霊。)

ヒスイ

おんがくしつ

かていかしつ

うんどうじょう

じょしトイレ

おおどけい

うらにわ

ヒスイ

(あたま…)

ヒスイ

ヒスイ

─っ!!!

─繋がった。

ホノカ

ホノカ

嗣凪さん?!?

カナウ

翡翠ちゃん?!

翡翠は、 『7つ目の七不思議の場所』 へ駆け出した─。

タッ

タッ

タッ

タッ

─タン。

ヒスイ

ヒスイ

─っハァ、はぁ…

校舎内に響いていた階段の音が止まり、

翡翠は扉の前に立った。

一度、ゆっくり息を吸って吐き、

扉に手を掛け─

ヒスイ

ヒスイ

…見つけた、

ヒスイ

ヒスイ

7つ目の、七不思議…

???

???

ふフフ

???

おネエちゃんすごイね

???

なンデわかッタの???

ヒスイ

…七不思議の起こる場所。

ヒスイ

順番に、

音楽室の『O』

家庭科室の『K』

運動場の『U』

女子トイレの『J』

大時計の『O』

裏庭の『U』

ヒスイ

ヒスイ

紙切れの『あたま』は、

ヒスイ

…恐らくこれらの頭文字のこと。

ヒスイ

繋げて読むと、

お く じ ょ う

ヒスイ

『屋上』

ヒスイ

…此処を指してることになる。

???

すススごいイネええエェ

ヒスイ

七不思議に家庭科室なんて珍しいと思ったから、

ヒスイ

何かあるとは思ってた。

ヒスイ

ヒスイ

─でも、

ヒスイ

それだけじゃ、ないよね。

ヒスイ

ヒスイ

家庭科室が七不思議にあったのは、

ヒスイ

ヒスイ

…貴方が理由でしょう?

ヒスイ

ヒスイ

貴方は、

ヒスイ

家庭科室の火事の犠牲者…だよね?

ヒスイ

???

…………

ヒスイ

…貴方達、と言うべきだったかな?

手がかりは、色んなところにあった。

ヒスイ

2つ目の七不思議は、

ヒスイ

さっきも言った通り、貴方が原因かな?

ヒスイ

何か未練があって、

ヒスイ

火事の時のことが彼処(あそこ)に染み付いてるのかなと思った。

ヒスイ

3つ目の七不思議は、

ヒスイ

反転していたメッセージ。

ヒスイ

ヒスイ

…死後の世界は、この世界とは反対だと言われている。

ヒスイ

だから、幽霊は、人間の活動時間の昼と反対の夜中に出やすいし、

ヒスイ

着物も左が上、右が下なのに対して、

ヒスイ

ヒスイ

死装束(しにしょうぞく)、

ヒスイ

ヒスイ

亡くなった人が着る着物は、それが反転してる。

ヒスイ

ヒスイ

悪戯じゃない可能性を捨てきれなかったのは、

ヒスイ

…恐らく、この反転したメッセージの送り主である貴方は、

ヒスイ

もしかしたら、この世の者じゃないかもしれないって思ったから。

ヒスイ

ヒスイ

そして、文字化けしたメッセージの内容が、

ヒスイ

まるで火事に遭った人のメッセージの様だった。

ヒスイ

5つ目の七不思議は、

ヒスイ

大時計のところの声。

ヒスイ

この七不思議が起こる時間は、

ヒスイ

『1時19分』だった。

ヒスイ

…『119』

ヒスイ

助けを求める時の番号…だよね。

ヒスイ

ヒスイ

そして、聞こえた声。

ヒスイ

『ミズ』

ヒスイ

『クルシイ』

ヒスイ

『アツイアツイアツイ』

ヒスイ

ヒスイ

これも、3つ目と同じで、

ヒスイ

火事に遭った人のような言葉ばかり聞こえた。

ヒスイ

6つ目の七不思議は、

ヒスイ

裏庭の池に、焼け焦げた顔の幽霊が映ったこと。

ヒスイ

きっと、この霊“も”火事の犠牲者かな?

ヒスイ

火事で亡くなったのなら、

ヒスイ

水を求めて、池にイるのかもしれない。

ヒスイ

それで、さっきの『ミズ』に関係するのかなって。

ヒスイ

1つ目と5つ目は、きっと貴方達には関係がない。

ヒスイ

恐らく、この学校に元々あった怪異かな?

ヒスイ

詳しい説明は…今は要らないか。

???

…………

ヒスイ

ヒスイ

…ねぇ、ふたつだけ、聞かせて。

ヒスイ

ヒスイ

…七不思議の7つ目。

ヒスイ

貴方は一体、何を引き起こす七不思議?

ヒスイ

ヒスイ

そして、

ヒスイ

ヒスイ

貴方は、

ヒスイ

ヒスイ

…貴方達は、

ヒスイ

何も危害を加えない霊?

ヒスイ

ヒスイ

─それとも、

???

…ふふフ…ァははハ…

そこまで言ったところで、

目の前の霊が、ゆっくりと口を動かす。

???

???

─オしえテあげルね。

七不思議その7

真夜中に屋上に行った者は、

─誰一人、帰ってこない。

ヒスイの不可思議事件手帳

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