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地下室の鍵を手に入れるため
おばあちゃんの手作りアップルパイを受け取りに行き
見つからないように鍵を探し当てることに成功した
明日夢
明日夢
わざと聞こえるように声を出し
外に出るふりをして扉を開け
外には出ずにそのまま扉を閉めた
全ては地下室に侵入するため
おばあちゃんに俺が出ていったと思わせて
こっそり隠れて時が来るのを待つ
エコバッグに靴を入れ
気づかれないように静かに階段を上る
もう殆ど使われていない階段
ここなら誰にも見つからないと思った
もう少ししたらじいちゃんが地下室から出てくる
俺がアップルパイを受け取りに居間に行った時
台所からはパイとは別のスパイシーな香りもしていた
何を作っていたかはわからないけど
きっとこれから昼食を……
そのために居間に行くはずだから
その間に地下室に侵入することができれば……
俺は祈るような気持ちで階段に潜んでいた
お隣で仲が良いとは言え
俺がしているのは住居不法侵入
更に地下室に侵入して勝手に機械を操作したら
一体どんな罪になるんだろう
明日夢
はやる気持ちを抑えながら
"その時"が来るのを待った
時間にしたらほんの数分だったかもしれない
居間の扉が開いておばあちゃんが出てきた
バタバタと足音が近づいてくる
明日夢
足音は階段の向かいにある地下室への扉の前で止まった
おばあちゃんが壁に設置された電話の受話器を取る
扉の横の壁に設置された受話器だけの内線電話
地下室にも同じ電話機が設置されていて
じいちゃんを呼び出すのにいつも使われている
ダイヤルも何もついていないこの電話機は
受話器を取るだけで地下に繋がる仕組みになっていた
おばあちゃん
おばあちゃん
おばあちゃんの声がする
その後三十秒程でじいちゃんの声がした
じいちゃん
居間の扉の閉まる音を確認して
音を立てないように静かに階段を下りる
気づかれないように地下室への扉をゆっくりと開き
ゆっくりと扉を閉める
音を立てないようにゆっくりと階段を降り
何とか扉の前までたどり着くことができた
あとは手に入れた鍵を使って
地下室の中に入るだけだ
ポケットから鍵を取り出し鍵穴へ
扉の前には隠れる場所などなく
ここにじいちゃんが現れたら確実にバレてしまう
見つからないように慎重に……
でも手早く行わなければ……
明日夢
緊張で手が震える中
何とか鍵を差し込むことができた
ボタンを押して鍵の仕掛けを発動させる
明日夢
じいちゃんはこの鍵を使う瞬間を誰にも見せなかった
本来は家族であっても施錠や解錠に立ち会うことはできない
でも俺が不安な気持ちを抱えてここに来た時
じいちゃんは初めて俺の目の前で鍵を使った
明日夢
じいちゃん
明日夢
明日夢
じいちゃん
明日夢
じいちゃん
明日夢
じいちゃん
じいちゃん
そう言ってじいちゃんは笑った
確かにコツがいるようだ
普通に回そうとしたがびくともしない
試しにボタンを離してみるも結果は同じ
再びボタンを押して仕掛けを発動し
再びトライしてみることに……
明日夢
焦りと緊張で鍵を持つ手が震える
明日夢
鍵穴の中で少しだけカクカクしていることに気づいた
明日夢
挿した鍵を少し持ち上げるようにしてゆっくりと回す
さっきまでびくともしなかった鍵がゆっくりと回転していく
明日夢
チャッ……
かすかに聞こえた解錠の合図
ゆっくりとドアノブを回し中に入る
目の前には完全に止まった状態のタイムマシーン
特に解体や分解された様子はなく
どんな改良をしてるのか全く想像もつかない
明日夢
扉がしっかりと閉まっていることを確認して
タイムマシーンのスイッチを入れた
起動にかかる時間は約十分
一階から階段を降りて地下室の扉の鍵を開ける
予想以上に手間取ってしまったため急がなければいけない
じいちゃんが戻ってくる前に全てを完了させなければ……
ギュィィィィィィン!!
聞き慣れた機械音と共に起動作業に入るタイムマシーン
ここからあと十分……
その間にじいちゃんが来てしまわないよう祈りながら
明日夢
明日夢
いつも使っていた腕時計型のリモコンを探す
いつも置かれていたはずの場所にはなく
ほんの少しだけ焦りを感じた
明日夢
明日夢
やっと見つけ出した"それ"は
今まで使っていたあのリモコンとは全く異なる様相で
戸惑いながらもスイッチを入れると
いつもと同じ聞き慣れた起動音がして安堵する
タイムマシーンの起動も完了し
明日夢
接続されたパソコンのキーボードを叩いて入力……
明日夢
明日夢
目指すのは俺が生まれる前日
場所は……
明日夢
腕時計とヘルメットを装着
後はenterキーを押すだけ
その時だった
扉の鍵をガチャガチャと動かす音が聞こえ
勢いよく扉が開いた!!
じいちゃん
慌ててenterキーを押す
明日夢
ギュィィィィィィン!!
じいちゃん
母ちゃんを助けるために……
俺は一人で過去に飛んだ……