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(朝・自室──)

はッ…はッ…はッ…!

…ぁはッ…は…!

まただ…

また死んだ!また殺された

あの野郎!

…………

…それで、また誕生日か?

テレビ

──本日開催されるのは春風杯。年に一度の大レースです

テレビ

大本命は令和の大競走馬『セカンドインパクト』──

ちくしょう!なんなんだよ!

…ちくしょう

テレビ

負けが込んでいる『レイワカモン』は復活なるか──

…どうにか

…どうにかしなくちゃ

(昼・コーヒーショップ──)

友人A

おっす、咲

友人A

とりあえず誕生日おめでとさん

友人B

いきなりすぐ会いたいって。なんかあったか?

あははは。いやぁ、急に会いたくなっちゃって…

友人A

うーん、かわいい奴ね~

友人A

ヨシヨシしてあげようか?

やめい!

…あ、そうだ

急に呼び出しちゃったけど、あんた馬券は買えたの?

友人B

え?俺?

友人B

いや、まだだ

友人B

確かにお前から連絡がなかったら、飲み会前に買おうかと思ってたけど…

友人B

なんで知ってんだ?

…………

おっきいレースがあるんでしょ、ニュースで見た

(…ま、嘘だけど)

ごめんね、わたしのせいで当たり馬券逃しちゃったね

友人B

馬鹿、当たるか当たらないかなんてわかんねーだろ

だねー

(当たるけど)

あ、それから

借りたお金は次会った時に返すから、待ってて

友人B

お前に金なんか貸したことあったか?

…借りてないか

(いかん。気をつけないと死ぬ前の記憶と今が混じるな…)

店員

アイスコーヒーLサイズと──

店員

カフェラテホットMサイズ2つになります

友人B

はい、どうもー

友人A

それで話ってなに?

うん…

…………

友人A

もったいぶってんじゃないよ

実は…わたし!!

…………

最近…繰り返し、殺されてるんだ

友人A

…………

友人B

…………

友人A

は?ちょっとよくわかんないんだけど

包丁で滅多刺しにされたり、車で轢かれたり

殺人鬼に殺されてるの

友人B

はっ。殺されてたらここにいないだろ

それだけじゃない

殺されるたびに誕生日の朝に戻ってる

だからここにいる…

友人A

…………

友人B

よし、病院いくか

違うって!マジなんだって!

友人A

ええと、それは…

友人B

ゲームか何かの話だよな?

(…わかってたけど)

やっぱそういう反応になるよね…

(夜・駅の新幹線ホーム──)

アナウンス

10番線に電車が参ります──

結局、説明するの諦めちゃった…

まぁ、信じなくて当然だよね

でもあいつら、いちおう真剣に心配してくれたな

主にわたしの精神状態のことだけど…

これでも頭はかなりはっきりしてるんだよな…

むしろ殺される前より澄んでる感じ

前は毎日ぐーたらして、ぼーっとしてたもんな…

まぁ、今回は良い友達を持ったってことでおさめておこう

…………

でも…

そういうじゃないんだよなぁ~!!

いまのわたしに必要なのは!

アナウンス

間もなく15番線に北陸道新幹線やまとが参ります

というわけで、いろいろ考えてみましたが…

とにかく遠くに逃げてみよう

今日あいつらに会ったのはしばらくお別れするから…

地方の温泉街に出発じゃ!

シーズンオフだし空いているでしょ

ハタチのわたしへのバースデープレゼントだー!

…これで4回目の誕生日だけど

ホームに溜まった風が動くのを感じる。

遠方からライト──。 新幹線が間もなく到着する。

そういえば新幹線に乗るの久しぶりかも

こんな状況じゃなければ楽しめるのになぁ

──と。

わたしは突然背中を強く押された。

…え?

踏ん張ろうとしたが、 既に体の重心がどこにあるかわからなかった。 体は宙に浮いている。

うぐっ!

い、いったぁ…

線路に落ちた。

ホームを見上げる。

ホントにしつこすぎるわ

…いいよ

いい加減にしないとマジで

マジで許さ──

喋り終わる前に、新幹線がわたしの体の上を通り抜けた。 頭蓋が割れ、胸部は潰れ、脚部はちぎれる。

私の体は線路中に飛散した。

仮面の男

…………

──ホームにいたのは仮面の男。

4回目の死は新幹線に轢かれての轢死だった。

(朝・自室──)

はぁ…はぁ…

…くっそ!また殺された!

また死んだ!

テレビ

大本命は令和の大競走馬『セカンドインパクト』──

…ハッピーバースデー

まったくハッピーじゃないけど

(タクシー車内──)

(電車がダメならタクシーで逃げよう)

(タクシーはいわば動く密室…)

(ここなら簡単に手出しできないでしょ)

運転手

お客さん、どちらまで?

…………

…わからない

運転手

へ?

…決めてないの

ねえ、おじさん

わたし、どこに行けばいいんだろう?

運転手

…………

変な客だって思ってるだろうけど

運転手

…………

…遠くに行きたい

運転手

わけありなようですねえ

運転手

それじゃあ、えーと…

運転手

ひとまずバイパスに乗りましょうか?

…はい

タクシーは朝のバイパスを駆けていく。

運転手

まぁ、なんですかね

運転手

俺が言うのもなんだけど

運転手

若い頃ってのはいろいろありますから

運転手

かくいう俺も、山あり谷ありの人生でしたよ

運転手

だけどね、生きてればいつかトンネルは抜けますよ

バイパスを抜けて、下道に出る。

信号待ちで停車した。

…………

生きてれば、か…

対向車線に車が何台か通る。

たしかに人よりもたくさん生きてるなぁ、わたし

殺されても生きてるくらいだし

運転手

…はい?

──そのとき。

対向車線の車が、急ハンドルを切った。

タクシーの横っ腹に突っ込んでくる。

車体に衝撃。

フロントガラスが割れる。

じ、事故!?

大丈夫!?おじさん!

運転手はエアバッグに圧されて既に意識がなかった。

──すると、後部座席のドアが開け放たれる。 その場に立つ者がいた。

仮面の男

…………

…………

包丁がぬっと突き出される。 わたしは特に言葉も出さずに目を閉じた。

5回目の死を受け入れた──。

(街の雑踏──)

──渋谷。スクランブル交差点。

行き交う人の群れの中をわたしは歩いていた。

家にいたら殺される。ホテルに逃げてもダメ

電車もダメ。タクシーもダメ

…だったら

だったら人混みに紛れ込んだらどうだ!

人目が守りになるだけでなく──

都会の雑踏に紛れて身を隠す!

現代の天然カモフラージュ!

これだけ人がいたら、さすがに殺人鬼だろうが簡単には手出しできな──

──そのとき。

遠くのほうにいる人々が、次々と空中に投げ出されていくのが見えた。 交差点にいる人たちをなぎ倒しながら、猛然と突っ込んでくる。

それは大型トラックだった。

嘘でしょ…

逃げ惑う人々。 加速するトラック。

仮面の男

…………

運転席にいるのは──仮面の男。

な、何考えてんの…?

いや…違う…

一直線にわたしに向かってくるトラック。

あいつは何も考えてない…

わたしを殺すこと以外は、何も…

視界が全部トラックで埋まったところで、意識が途絶えた。

この作品はいかがでしたか?

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コメント

25

ユーザー

もう他人も被害受けてるやん

ユーザー

怖い怖いカタ:(ˊ◦ω◦ˋ):カタ

ユーザー

どれだけ恨みあんだよ…

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