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#怪異
×××
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部屋に入念に雑巾をかけ
体に残った忌まわしい匂いも
シャワーで拭い取ったつもりだったが
まだ妙な匂いがするようでならなかった
千尋は妙に冷静になっていた
これまで体験したことのない危機感が
彼女の心を駆動させていた
だが
再び夏樹に電話をかけていた
いくら冷静になっていたとはいえ
そうでもしなければ
気がおさまらなかったから
このままひとりで寝るなど
今の千尋には到底できなかった
夏樹
夏樹
彼も
今夜ばかりは千尋の心を
逆撫でするような態度は見せなかった
千尋は
自分の気持ちを察してくれているのだろうかと
その口調の裏にある何かを感じた
人が死んでいるのに
どうしてそんなことを考えるんだという
反対の考えも持ち合わせていながら
夏樹
千尋
言いたいことを
全部夏樹に向けてさらけ出した
相手も
千尋が話すたびに相槌を打つだけだったが
それでもよかった
人に話せるということが
今の千尋にとって一番の拠り所だった
千尋
千尋
いつまでも悲劇のヒロインでいられる時間はない
これまではずっとそうしてきたけど
今は違う
自分の命がかかっている
夏樹
完全な自分は演じきれない
それでも
強い気持ちを持とうとした
千尋
千尋
千尋
夏樹
夏樹はそう返答するのに
やや時間を要した
夏樹
夏樹
夏樹
夏樹
夏樹
夏樹
夏樹
夏樹
千尋
夏樹
夏樹
夏樹
夏樹
夏樹
夏樹
夏樹
夏樹
夏樹
夏樹
夏樹
千尋
千尋
ようやく
いつもの空気感に戻った
千尋はそう感じた
こうでなければいけない、と
夏樹
夏樹
夏樹
夏樹
夏樹
千尋
千尋
千尋
千尋が言い終える前に
電話は切れていた
最後の一言を夏樹が言い終えてからすぐだった
千尋
ノートパソコンで
手紙を書き写す
スキャンして文字起こしをしてもよかったが
それだと手紙のルールに反してしまうように思えたのだ
泣きたい衝動が突き上げてくるが
グッと堪える
千尋
千尋
手紙を書きながら
また別の変な感触が意識を苛む
こんなイタズラをしているのは
もしかするといまこの文章を書いている
自分になってしまうのかもしれない
死なないためにはこうするしかない
それは理解しているが
どうしてもその変な妄想が
頭から離れなかった
もしも
真犯人がすでに死んでいて
自分がこの先もずっと
手紙に関与するようになったら
人殺しの「連帯責任」を負わされ
警察かなにかに洗い出され
とんでもない事態に巻き込まれるかもしれない
震えながら
キーボードを叩く
千尋
千尋
千尋
千尋
淡々と文章を写していく上で
手がかりになりそうなヒントは見つからなかった
最後の住所は
「アドレスランド」のものだった
が
アドレスランドはもう
閉鎖されているから
使うことはできない
そして
自分は右下の数字「3」を「4」に
変えて書く
全て
イタズラ犯のなすがままだった
千尋
千尋
千尋
でも
弓美の死を無駄にすることはできない
自分が止めなきゃいけないんだ
手紙を
全てを
そのために
今はしょうがないんだ
千尋
そんな葛藤があった
千尋
千尋
千尋
千尋
千尋
千尋は封筒にプリンタで印字する方法を
知らなかったので
スマートフォンでそれを調べた
千尋
千尋
コメント
4件
最新話読んだよ!千尋の冷静さと恐怖の間で揺れる心情がめっちゃ伝わってきたわ。特に「自分が送ったってわからなければ罪にならない」って思考の切り替えがリアルでゾッとした。でもそれって結局、弓美さんの死を無駄にできないって気持ちの裏返しなんだよな…。夏樹の「誰にも言うな」も重いな。次が気になる!