ゼル
ゼル
人間は穢れた者達だ。
外見は良く振る舞っている。 しかし、中身は悪い。
楽ばかりしようとし、 他人に迷惑をかける。
…あの馬鹿達もそうだった。 私達が目覚めた時、世界は闇に包まれていた。馬鹿達はそこから私達を連れ出した。私達は馬鹿達を信頼していた。
今思うと、私達は馬鹿だった。
だが、馬鹿達は私達を裏切った。 私達の全てを馬鹿達は支配しようとしていた。私達はそんなことを黙って聞き入れ、素直に従う様な馬鹿ではない。無論、反対し、武器を持たず、己の肉体のみで人を、馬鹿達の一人を殺した。
その時に血の味を覚えていなければこんな事にはならなかっただろう。
泉でもつくる様に血溜まりは広がり、私達と馬鹿達の足元に赤い地面ができる。それはみるみると広がっていき、やがて止まった。 その間、私達は口に残った血の味を味わっていた。 …あまり、美味しくはなかった。だが、馬鹿達の肉は旨かった。馬鹿達は私達の家から急いで逃げ出した。そして、二度と戻って来なかった。
…生きるというのは、腹が空くものだ。私達は食べ物、人間を欲した。 一度食べた物に飢えたが、人間の食べ物以外の物を口にし、なんとか凌いでいた。私達の仲間の一人は馬鹿達に手紙を出し、食べ物を要求した。その後来たのは13歳近くの少年だった。4ヶ月ぶりの美味しい食べ物に私達は大いに喜び、どのように食べるかと口論をした。 しかし、少年は逃げ出し、今も此処にいるとは思うが、未だに行方不明。惜しいことをした、そう思っていたが、すぐに食べ物が送られてくるので、私達は少年の事をすぐに忘れた。人間の肉は硬いが、ほぐせばイケる。その後は私達の仲間の狼や犬の仲間の彼等にあげた。彼等は人間の骨こそ至福の飯だと言う。私には分からない。彼女も無我夢中になって彼等と骨を噛んでいる。本当になにがいいんだ?肉こそ最高じゃないのか…?
別に今はいい。 さて、今日の食べ物はー。
人間の女か。
ゼル
ゼル
ゼル
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