テラーノベル
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コメント
3件
えぇ!? 続きどうなっちゃうんですか!? 続き楽しみにしてます!
雨はまだ降り続いていた。
図書館の中には、
変わらず静かな時間が流れている。
桜月は机の前に立っていた。
目の前には、開きかけた一冊の本。
_____『雨嶺桜月』
本のページには、
さっき浮かび上がったばかりの文字が 残っている。
「雨の日、 私の人生の本が届いた。」
桜月はそっと本を閉じた。
雨嶺桜月 アマミネサツキ
まだ生きている。
まだ、涙だって流していない。
それなのにどうして_____
その時だった。
カラン、
図書館の入口で、小さな音が鳴った。
桜月は顔を上げる。
この図書館に人が来ることは、
ほとんどない。
街の外れ、森の近く。
この場所を知っている人自体が、
あまりいないのだ。
ゆっくり入口へ向かう。
扉は少しだけ開いていた。
雨の匂いが、静かに流れ込んでくる。
そして_____
そこに、一人の少年が立っていた。
年は十四か十五くらいだろうか。
少し濡れた髪。
雨に濡れた制服。
少年はきょろきょろと図書館を 見回していた。
雨嶺桜月 アマミネサツキ
桜月はが声をかけると、
少年はびくっと肩を揺らした。
橘遥樹 タチバナハルキ
慌てて頭を下げる。
橘遥樹 タチバナハルキ
少年は困ったように笑った。
橘遥樹 タチバナハルキ
この図書館は、
迷って辿り着く場所ではない。
来る人は、
なぜか最初からここを知っている人ばかりだった。
それなのに_____
雨嶺桜月 アマミネサツキ
桜月がそう聞くと、
少年は小さく頷いた。
橘遥樹 タチバナハルキ
桜月は少し考えて、
静かに扉を空けた。
雨嶺桜月 アマミネサツキ
少年の目が少し丸くなる。
橘遥樹 タチバナハルキ
桜月は微かに笑った。
雨嶺桜月 アマミネサツキ
少年はゆっくり中に入る。
その瞬間、
図書館の空気がほんの少し変わった 気がした。
少年は本棚を見上げる。
橘遥樹 タチバナハルキ
高い天井まで続く本棚、
古い木の香り、
窓を叩く優しい雨音。
橘遥樹 タチバナハルキ
桜月はその様子を静かに見ていた。
すると少年が、ふと聞いた。
橘遥樹 タチバナハルキ
桜月は一瞬だけ言葉を迷う。
そして静かに答えた。
雨嶺桜月 アマミネサツキ
少年は首を傾げる。
橘遥樹 タチバナハルキ
桜月は本棚の方を見る。
この場所に並んでいるのは、
誰かが流した涙の記憶。
人生の中で、一番心が揺れた瞬間。
雨嶺桜月 アマミネサツキ
少年は驚いたように目を見開いた。
橘遥樹 タチバナハルキ
桜月は小さく微笑む。
雨嶺桜月 アマミネサツキ
その時だった。
少年の視線が、机の上の本に止まる。
橘遥樹 タチバナハルキ
桜月の心臓が、少しだけ跳ねた。
少年は机に近づく。
そこには一冊の本が置かれていた。
深い藍色の表紙。
そしてそこには、
はっきりと名前が書かれている。
『雨嶺桜月』
少年はその文字と、
桜月の胸元にあるプレートを交互に見た。
橘遥樹 タチバナハルキ
桜月は答えられなかった。
その時、少年が小さく呟く。
橘遥樹 タチバナハルキ
桜月は顔を上げた。
少年は本を見つめながら言う。
橘遥樹 タチバナハルキ
その言葉に、桜月の胸がわずかに揺れた。
まだ誰も読んでいない本なのに。
少年はどうして、
そんなことが分かったんだろう。
雨は静かに降り続いている。
桜月はまだ知らない。
この雨の日に迷い込んだ少年が_____
自分の涙の理由になることを。