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不思議調査くらぶ

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不思議調査くらぶ

2 - 2話 かあなとミエド(後編)

♥

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2019年02月11日

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1話を先にお読み頂くことをオススメします!!

そこには

両腕を鎖に繋がれた

不気味な女性が待っていた

???

???

いらっしゃい

かあな

……っ!

顔の右半分が白骨化していて

目の中から無数のコウモリが飛ぶ

青白い肌と白い髪

真っ赤な瞳

かあな

(…どうしよう…)

かあな

(怖い)

いくらお化けが好きでも

実際に「それ」を目の当たりにしてしまうと

まるで金縛りにでもあったかのように

かあな

(身体が動かない…)

恐怖に支配され

入口で固まる私を見たその女性は

???

……やっぱ怖いよね…

悲しそうに笑った

かあな

い…いえ……

反射的に首を横に振ったが

表情でもうバレバレだと思う

???

いいんだよ無理しなくて

???

ここに来られただけでもすごいよ?

かあな

……

最初に話した時もそうだったけど

すっごく優しい口調

本当に襲う気はないんだろうなと思う

かあな

……あなたは……?

…また同じ質問をしてしまった

でも

何者なのかじゃなくて

彼女自身のことが知りたくなっていた

???

…それは…

???

名前を聞いているの?

かあな

……はい

???

???

キミ本当に勇気があるねぇ

少し嬉しそうな顔

???

私の名前は

???

ミエド・グアルディア

かあな

ミエド……

確か

どこかの国の言葉で「恐怖」って意味だったと思う

ミエド

怖い名前でしょ?

図星をつかれて一瞬戸惑う

ミエド

…あははっ…

ミエド

私は何もしてないよ?

ミエド

キミがわかりやすいだけ

かあな

……

かあな

すみません…

ミエド

なんで謝るの?

ミエド

人間にちゃんと名前を聞かれたの初めてだよ

ミエド

ちょっと嬉しかったな

かあな

……

怖がらせないようにしてくているんだろうな

ミエドの柔らかい声と優しい話し方に

いつの間にか恐怖が薄れていた

ミエド

…キミの名前を聞いてもいい?

今度はミエドが質問してきた

かあな

……かあな…

かあな

わかづき…かあなです…

ミエド

かあなちゃん…!

かあな

…!!

ワントーン高くなったミエドの声

お化けに名前を呼ばれた…!

何故かドキッとしてしまった

ミエド

いいなぁすごく可愛い名前だね!

かあな

…ありがとう…ございます…

ミエドを見るとすごく嬉しそうな顔をしていた

その顔をみて私も少し顔がほころんだ

……と

ミエド

あ、そうだ

ミエド

カギ取りに来たんだよね

かあな

…あ、はい…

私も忘れてた

ミエド

うんとね…

ミエドは部屋の反対側を指さした

ミエド

あそこに青い箱があるでしょ?

ミエド

あの中にカギが入ってるよ

机の上に手のひらに乗るほどの

小さな箱が置いてあった

かあな

私は箱に近づいた

かあな

(ヤバいの入ってたりしないよね…)

恐る恐る箱を開けると確かに金色のカギが入っていた

ミエド

それを使えば外に出られると思うんだ

襲うどころか

すごく優しいミエド

…でも気になった

かあな

…ミエド…さんは…

ミエド

呼び捨てで大丈夫だよ?

かあな

あっ…

かあな

ミエドは…

かあな

ずっとここにいるの…?

ミエドに背を向けたまま尋ねた

ミエド

…!

多分ビックリしていると思う

ミエド

うーん…何年になるだろう…

ミエド

…今年で499歳だから…

え?

かあな

499歳!?

さらりと言ったけど衝撃だよ普通…

かあな

そんなに長い間…そこにいるんですか?

思わず振り返った

ミエド

…まあ

ミエド

この通りだからねぇ

ミエドは両腕に付けられた鎖を持ち上げてみせた

かあな

…お化けなら…

かあな

すり抜けられたりとか…

ミエド

私は出来ないんだ

ミエド

…ずっと自分は人間だと思ってたから

かあな

…え…

かあな

なんで鎖なんかに…

ミエド

聞きたいの?

ミエド

長くなると思うし

ミエド

聞いてもキミにとって何の得もないよ?

…確かに

カギは手に入れたから

もうこのまま逃げてもよかった

かあな

……ミエド…すごく優しいのに…

かあな

なんでっ…閉じ込められたのかなって…

かあな

すごく気になっちゃって……

こういう所なんだろうな

私が不思議調査くらぶの部長に選ばれちゃった理由…

好奇心の方が勝っていた

ミエド

……へぇ…!

大きく目を見開くミエド

ミエド

…こんな人間もいるんだねぇ

ミエド

私キミのこと気に入っちゃった♪

ミエド

いいよ。話したげる

ミエドは小さなため息をついた

ミエド

私ね5歳の時に父と母が病気で亡くなって

ミエド

この家に養子にもらわれたの

かあな

養子…

ミエド

うん

ミエド

この家にはもう1人私と同じ歳の女の子がいて

ミエド

すごく仲良しだった…

ミエド

…だけど…

ミエドはうつむいた

ミエド

私…呪われていたんだと思う

ミエド

私が来てからその家に色んな災いが降りかかるようになったの

かあな

災い?

ミエド

お手伝いさんが事故死したり

ミエド

養父が病気になったり…

ミエド

他にも色々…

ミエド

あからさまに私が来てからの度重なる不幸だったから

ミエド

みんな私のせいだって言って

ミエド

仲良かった彼女が

ミエド

私を殺そうとしたの

かあな

ひどい…

ミエド

ううん、仕方がなかったんだと思うよ

ミエド

でも

ミエド

身体を切り刻まれても

ミエド

燃やされても

ミエド

死ねなかった

かあな

……

よく見るとミエドの顔や腕にたくさんの縫い目があった

ミエド

監禁されて

ミエド

どのぐらい経ったかなぁ

ミエド

同い年だった彼女や周りはどんどん老いていくのに

ミエド

私の成長は

ミエド

多分18歳くらいで止まってる

かあな

不死身……?

ミエド

そう

ミエド

その時私は不死身なんだなって気づいた

ミエド

そのままこの家の人はみんないなくなって

ミエド

忘れ去られて

ミエド

400年経ったかな?

かあな

そんなに…

ミエド

「お化け」なんて可愛い名前よりさ

ミエド

「化け物」の方が似合うと思うんだ私

ショックだった…

500年近く監禁なんかされたら

私なら絶対おかしくなっちゃう

かあな

…出たいと思った事ってある?

ミエド

そりゃあね

ミエド

でもこれを外すカギがどこにあるか分からないんだ

かあな

……

待って

私一体何考えてるの?

かあな

色々聞いちゃってごめんなさい

ミエド

いいんだよ〜

ミエド

久しぶりにお話出来て楽しかった!

ミエドはニッコリと笑った

私は入口で軽くお辞儀をすると

螺旋階段を駆け下りた

ミエド

…行っちゃったか〜

ミエド

……雨大丈夫かな?

3階

私はカギを探していた

かあな

逃げなきゃ

かあな

帰らなきゃ

心でそう思っていても

身体が言うことを聞かない

かあな

(まさか私…)

かあな

(ミエドを助けてあげたいとか)

かあな

(思ってないよね…?)

助けてならどうなるの?

ミエドが街に出たらパニックだよね

かあな

自分のやってることが分からない…

そう思いながらも

心のどこかでは

ミエドに幸せになって欲しいと思っていたのだろう

3階には何も置いていなかった

かあな

よし、次2階!

2階にも何も無かった

かあな

1階……確か家具があったような…

あの中に隠れているかもしれない

1階にかけ下りる

かあな

……あっ…

窓の外は土砂降りだった

かあな

降り出しちゃったんだ…

かあな

傘ないなぁ…

でも今はそんなことよりも

かあな

えーと…カギ…あるかなぁ

かあな

捨てられてたりしたらやだなぁ…

家具に被せてある黄ばんだ布を勢いよく剥がした

大量のホコリが舞う

かあな

うっ!

思わず布を投げ捨て部屋の隅に逃げる

古いけれどすごく立派な

アンティーク家具が並んでいた

かあな

あ、これ…

1番隅に古時計が置いてあった

かあな

綺麗…

派手なわけじゃわないけれど

不思議とその古時計が私の心を掴んではなさなかった

何気なく古時計を持ち上げると

カーーーン!

と何かが落ちる音がした

かあな

(え、壊した!?)

慌てて落ちたものを拾い上げる

かあな

…あっ…

銀色のカギだった

かあな

あった…!!!

私はそれを握りしめると

4階まで戻り

あの部屋の入口を開けた

ミエド

え…どうしたの…?

ミエドが目を見開いた

かあな

これ…多分…

銀色のカギをミエドに見せたた

ミエド

……え…

明らかに動揺しているミエド

それもお構い無しに私はミエドの腕を持ち上げた

ミエド

待って!

反対の手でカギを持つ私の手を止める

ミエド

私を助けて

ミエド

かあなちゃんにとって何になるの?

やっぱり聞かれた

かあな

…それは……

カギを差し込むと

鎖が外れ

金属の落ちる音が部屋に響いた

かあな

私なんかが知るよしなんかないけど

かあな

辛かったと思う

かあな

私はずっとこのまま死ねないなんて耐えられないって思った

自分で何を言っているのか

もう何もわからない

かあな

えっと…

かあな

幸せになって欲しいって…

ミエド

……かあなちゃん…?

気づいたら泣いていた

涙が止まらなかった

何故だろう…?

ミエド

ずっと目を見開いたまま黙っていたミエドは

優しく私をだきよせた

その手は氷のように冷たかった

ミエド

なんで泣くのー?

かあな

ごめんなさい…

かあな

私にもわからない…

ミエド

……人間って不思議…

ミエド

ありがとうかあなちゃん

ミエドは私を抱き寄せたまま

何も言わずに

私が何止むのを待ってくれていた

ミエド

ところで

ミエド

かあなちゃんどうやって帰る?

かあな

えっと…

忘れてた

外は少し雨が弱まっていた

かあな

傘無くって…

ミエド

そっかぁ……

ミエドはなにか思いついたように笑った

かあな

ミエド

かあなちゃん家どの辺?

かあな

家は……

私の住所を言うと

ミエドはうなずいた

ミエド

了解

ミエド

目ぇつぶれる?

かあな

これでいい?

言われるがまま目をつぶると

ミエド

じゃ

ミエド

また会えるといいね

かあな

え…?

ミエドがそう言葉を放つとどこからか優しい風が吹いた

かあな

ミエド…?

目を開けると

家の前に立っていた

かあな

えっ!?

辺りを見回す

見慣れたいつもの景色だった

日常に戻ると

今まであったことが夢みたいにぼんやりしている

かあな

…夢…なの…?

私はしばらく家の前に立ち尽くしていた

つづく!

また次回もよろしくお願いします🙏🏻

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