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まとめ【短編集】

10 - 大好きなお兄ちゃん

♥

110

2022年03月04日

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8月某日

紗良

(喜んでくれるといいな)

1本の白百合を胸に抱える

今日のために大切に育てた特別なもの

時計の針が11時45分をさす

紗良

紗良

急がなきゃ

紗良

お兄ちゃんが待ちくたびれちゃう

人目を避けるかのように、足早く歩いた

外灯が不気味に点滅を繰り返す

紗良

──やっと着いた

紗良

(ショートケーキを持っていきたかったけれど)

お兄ちゃんはショートケーキが好きだった

紗良

(さすがにこの時期はね……)

きょろきょろ

辺りを見渡し人がいないことを確認する

紗良

…………

すばやく屋内へ移動する

紗良

待ってて、お兄ちゃん

懐中電灯を付けた

紗良

すぐ行くから

奥の部屋までたどり着いたとき、時計は11時55分をさしていた

紗良

(ぎりぎり間に合った)

お兄ちゃん

『ほら早くしろよ』

お兄ちゃん

『学校に遅れちまうだろ』

不意にお兄ちゃんのことを思い出す

お兄ちゃん

『まったく、しょうがないやつだな』

呆れつつも笑っていた

紗良

(わたしが支度を終えるまで、待ってくれたお兄ちゃん……)

そんな優しいお兄ちゃんが

紗良

(──大好きだった)

あと1分

紗良

…………

3

2

1

0

12時になった

紗良

お誕生日おめでとう♪

紗良

お兄ちゃん

白百合を床に置く

お兄ちゃんの誕生日

紗良

(生きてれば、21歳……)

きっとステキな成人男性になってたと思う

紗良

(けれど、お兄ちゃんは…………)

わたしのいるこの部屋で、自ら命を絶ったのだ

高校生活最後の夏休み、お兄ちゃんは同級生たちと肝試しをしに廃墟へ向かった

あちこち巡ってる間にいつの間にかいなくなり、みんなで手分けして探していると──見つかった

首を吊ったお兄ちゃんが…………

あとから聞かされ、茫然自失となったことを覚えてる

紗良

……どうして?

お兄ちゃんは優しくて、男女問わず人気で

紗良

──わたしには、お兄ちゃんしかいなかったのに

誰とも仲よしで…………

紗良

……お兄ちゃんは

紗良

わたしだけがいれば、十分だったはずでしょ?

お兄ちゃんに彼女ができたときは嫉妬で狂った

なんで?

なんで、わたしじゃないの?

わたしが世界で一番、お兄ちゃんが好きなのに……!

数年後、わたしはお兄ちゃんに思いを伝えた

紗良

(でも、結局……)

紗良

(“妹“でしか見えないって言われて、避けられて)

紗良

(挙句にわたしを置いて逝った)

紗良

紗良

わたしもそっちに逝くね

紗良

お兄ちゃん

掲示板

名無し

俺が通っている大学の北東の方角に廃墟があって、ある噂がある

名無し

1本だけの白百合を持って中へ入り、奥の部屋まで行く

名無し

部屋にたどり着いたら白百合を床に置く

名無し

すると、若い女の幽霊が現れる

名無し

今でも廃墟の中を女の幽霊が彷徨っているらしい

名無し

真偽はわからん

名無し

1本だけの白百合って、意味深な……

名無し

どういうこと?

名無し

白百合の花言葉って『純潔』だっけ?

名無し

たしか、そうだ

名無し

ただ、白百合を1本だけ贈るのは避けた方がいいぞ

名無し

白百合を1本だけ贈る場合の花言葉は──

『死者へ捧げる花』だから

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