深夜3時 某所
暗い部屋にカチカチとしたクリック音だけが鳴り響く
オンライン動画投稿サイト 「OMTUBE(オムチューブ)」
その中のとあるOMtuberの SNSアカウント
「いい事件のネタがありますよ、
ネタを提供するので、
ぜひ会いませんか」…
更に面白くしてみせます」…
返信後、直ぐに相手から連絡が来た
楽しいものが見られそうだな
私はウキウキな気分で準備を 進めることにした
数日後 ▲市 某所
なんでこんな遅い時間を
指定したんだ?
スマホで時間を確認すると 現在の時刻は21時18分だった
これから来る相手を
どうしてやるか考えないとな
顔を撮ってネットに
アップしてやろうか!!
今回のターゲットは 炎上系OMtuber 『SUSHA』
『SUSHA(スシャ)』は 毎週3回のペースで 動画投稿をしており、 普段は声は加工してある為 男かも女かも分からない
黒い仮面を被ってるから
年齢・性別・もちろん顔は不明
炎上系であることながら
投稿内容が最悪なのは確かだ!
主にニュースになった 事件が起こった現場に向かい 突撃レポートを行ったり
【SUSHA】×市×町の殺人現場を 撮りにいってみた!
【SUSHA】あの〇〇事件の家族は今?! 凸インタビュ〜配信!
炎上をものともせず 投稿を続けるヤツの動画は
時には 何処から情報を入手しているのかはかわからないが 事件の被害者家族の家を特定し そこへ突撃取材を行うなど
まさに『炎上系OMtuber』
被害者家族に執拗に詰め寄り
家族が困っている姿をアップしていた…
全ての動画に共通するのは それが「殺人事件」であることだ
更に塩を塗り込む…)
「会わないか」と送ったら
了承の返事が来た…
少しすぎてるな
正義の名のもとに捌くことだ
取り上げられてたな
ネットでも話題になっていたし
有名になればなるほどアンチも多い
私がSUSHAを貶めれば 一躍世間の 『ヒーロー』になれる!
有名OMtuberの
個人情報を特定して晒してやったら
瞬くに炎上しちゃって…
未だに詳細をつかめていない
私がSUSHAを特定すれば
私に会う約束をするなんて
馬鹿ばっかりなんだよ
お前の顔を世間に晒してやることが
これもアイツはネタにするんだろうな
顔を晒されるくらい自業自得だろ
むしろ甘いくらいだ
そろそろ来るか?
それとも怖気付いたのか?
今日も隠してるかもしれないな
会った瞬間に隠してる物を
剥ぎ取ってやって…
どこにいるんだ?
カメラを手に持ちながら 振り返り、その姿を見ようとした途端
私の身体に物凄い衝撃が走った
次に目を覚ました時 私は冷たく硬い床に倒れていた
目隠しがされているのか 何が起こっているのか全く分からない
動けない…?!)
口にはタオルが詰め込まれており 身体を起こすどころか 声を出すことすら不可能であることに気づいた
全く状況が掴めず パニックになりそうな精神を 必死に落ち着かせようとする
それに必死だったからか 近づいてくる足音に気がつくのに 時間がかかった
起きたんですね?
まぁ必要ないか…
少し離れた場所から声が聞こえた コツコツと歩き回る音が 床の振動から伝わってくる
あなたが今日会いたがってた人
ですかね?
夜にSUSHAと…)
いかなかったので
つれて来ちゃいました
分からなかったが…)
SUSHA?に 私の問いかけが伝わるはずも無く 話を続ける
SUSHA?
そういえば
SUSHA?
SUSHA?
SUSHA?
私の顔を世間に晒そうだなんて
SUSHA?
おかしいと思わなかったんですか?
SUSHA?
バレてる…?!)
なんでこいつはこんなことを…!)
SUSHA?は 1人焦る私を他所に カチカチとなにか作業をしながら 一方的に会話を続ける
SUSHA?
SUSHA?
私知ってますよ
SUSHA?
炎上してた人じゃないですか
カチ、カチ というクリック音からして カメラのデータを調べているようだ
SUSHA?
SUSHA?
やっぱり…?どういうことだ?)
SUSHA?
SUSHA?
私の動揺を無視し 暫くの間に クリック音を鳴らし続けた後
ヤツは唐突に その動きを止めた
SUSHA?
突如 部屋にカチャリと金属音が響き
SUSHA?が 私の身体に近寄ってきた 気配がした
SUSHA?
承認欲求が強いみたいだ
SUSHA?
リークを狙って
SUSHA?
炎上させ
SUSHA?
知らしめようとしている
SUSHA?
注目されたい貴方だからこそ
SUSHA?
ピッタリだと思うんです
SUSHA?は 耳元に手を添わせてきた
そして突然 私の服を捲り始めた
SUSHA?
その時気づいた
捲られて晒された腹に 冷たいものが押し当てられている
理解してしまった途端 震えが 冷や汗が 嫌な汗が 止まらない
外れろ!外れろ!外れろ!)
ガタンガタンと身体を揺らすも 拘束は解けそうにない
耳元で囁く声が聞こえる
SUSHA
SUSHA
になってもらいます
途端
声にならない 私の絶叫が部屋を揺らした