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2件
光間について行った先は、
厨房だった。
その奥に食材などを運び込む
勝手口があるのだが、
その前に士条が立っていた。
衣色(いしき)
士条(しじょう)
士条(しじょう)
そう言って勝手口を開けると、
雨と風が一気に吹き込んできた。
仁神(にかみ)
士条(しじょう)
士条が懐中電灯の明かりを向けると、
そこにはこちら向きに停められた
マイクロバスがあった。
運転席には男性が座っており、
ぐったりと項垂れているように見えた。
それが、
ここのオーナーの
武藤正(むとう ただし)だった。
士条(しじょう)
士条が勝手口を閉じる。
たった数十秒のことなのに、
衣色たちの服はずぶ濡れになった。
光間(みつま)
光間(みつま)
衣色(いしき)
衣色(いしき)
衣色は踵を返して、
雨合羽を取りに行った。
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士条(しじょう)
士条も雨合羽を羽織り、
衣色と二人でマイクロバスに近づく。
マイクロバスまでの距離は
五メートルも無いが、
強い雨風のせいで
まっすぐ歩くのも困難だった。
衣色(いしき)
運転席のドアを開けると、
むせ返るような
濃い鉄さびの臭いがした。
士条(しじょう)
武藤が着ている服は
真っ赤に染まり、
首に深々と包丁が刺さっていた。
確認するまでもなく、
死んでいるのは明らかだった。
衣色(いしき)
士条(しじょう)
士条が指差した先の助手席には、
女物のバッグがあった。
衣色(いしき)
士条(しじょう)
二人はドアを閉めて、
助手席側に回る。
鞄を開け、
中を見ると
化粧ポーチと
財布があり、
中身を確認すると、
現金もクレジットカードも無く、
ポイントカードと
運転免許証だけが入っていた。
士条(しじょう)
士条(しじょう)
それは紛れもない
共用スペースで亡くなっていた
あの女性のものだった。
士条(しじょう)
助手席を隈なく見てみると、
足元に紙が落ちていたので、
士条はおもむろに拾い上げる。
衣色(いしき)
士条(しじょう)
士条(しじょう)
薄ピンク色の名刺には、
Sakiと書かれ、
SNSのアカウントも印字されていた。
裏返して見ると、
見慣れた汚い字で
”オレは悪くない”
そう書かれていた。
衣色(いしき)
士条(しじょう)
首を傾げて
士条はその紙切れと
十川の免許証をスマホで撮影する。
士条(しじょう)
士条(しじょう)
士条(しじょう)
衣色(いしき)
衣色(いしき)
士条(しじょう)
士条(しじょう)
衣色(いしき)
士条(しじょう)
士条(しじょう)
士条(しじょう)
衣色(いしき)
助手席のドアを閉め、
二人は来た道を戻った。
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厨房を確認したところ、
やはり包丁が一本無くなっていた。
護関(ごせき)
士条(しじょう)
光間(みつま)
光間は士条のスマホの画面を見て
ポツリと呟いた。
仁神(にかみ)
仁神(にかみ)
光間(みつま)
光間(みつま)
光間(みつま)
光間(みつま)
光間の言葉に
仁神は”うげぇ”という
顔だけして見せた。
護関(ごせき)
護関(ごせき)
衣色(いしき)
護関(ごせき)
護関(ごせき)
士条(しじょう)
護関(ごせき)
護関(ごせき)
士条(しじょう)
士条(しじょう)
護関(ごせき)
士条(しじょう)
士条は深いため息をこぼす。
仁神(にかみ)
衣色(いしき)
光間(みつま)
光間(みつま)
光間(みつま)
仁神(にかみ)
光間(みつま)
光間(みつま)
光間(みつま)
光間(みつま)
光間(みつま)
光間(みつま)
光間(みつま)
光間の言葉を聞いて
仁神の顔が強張った。
仁神(にかみ)
仁神(にかみ)
護関(ごせき)
護関(ごせき)
護関(ごせき)
聞かれて、
全員が押し黙ると、
風が吹き荒れる音と
雨粒が雨戸を叩く音が
部屋中に響き渡る。
衣色(いしき)
衣色(いしき)
士条(しじょう)
士条(しじょう)
士条(しじょう)
士条(しじょう)
士条(しじょう)
士条(しじょう)
衣色(いしき)
衣色(いしき)
そう言って
申し訳なさそうに頭を掻いた。
護関(ごせき)
護関(ごせき)
護関(ごせき)
仁神(にかみ)
光間(みつま)
光間(みつま)
光間(みつま)
士条(しじょう)
士条(しじょう)
士条(しじょう)
士条(しじょう)
仁神(にかみ)
士条(しじょう)
衣色(いしき)
会話を遮るように
衣色はそう言った。
衣色(いしき)
衣色(いしき)
士条(しじょう)
衣色(いしき)
衣色(いしき)
仁神(にかみ)
各々部屋に戻る途中、
共有スペースに置かれたままの
死体を見る。
今は白いシーツで覆われていて
その姿は見えない。
仁神(にかみ)
仁神(にかみ)
仁神がそうポツリと呟いた。
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