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来夢の読み切り作品集

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来夢の読み切り作品集

12 - 何年後も、君と

♥

192

2019年11月27日

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待ち合わせは、1年前のここだった

マサ

(特に何も感情はない……)

マサ

(ただ…)

マサ

マサ

(君に…もう一度……)

僕は

他の人とは違う。

他の人への隠し事…

それは

1年前

男子

よっ!

男子

変態!

マサ

男子

何とか言えよ!!

ガシャン!

性格の荒い男子が 僕の机を蹴った。

他の子は黙っている。

こいつには

誰も逆らえないから

マサ

な、なにか……

マサ

マサ

用ですか……?

男子

はっ笑
別にー?

男子

お前をからかってたら楽しいから。

みんな

僕を見る目はいつも厳しい。

マサ

(当たり前だよな……)

マサ

マサ

(僕は普通じゃないから……)

彼女

ねぇシュンく~ん♡

彼女

今からカフェ行こ~♡

彼氏

い~よ~♡

彼氏

また2人で1つの飲み物飲む?

彼女

飲む飲むー!!

彼女

シュンくんだーい好き!!

彼氏

俺も♡

マサ

僕の横を通り過ぎていく カップル。

もちろん「男女」。

マサ

マサ

(いつものところ行くか…)

マサ

ふぅ……

やっぱここが落ち着く。

だいぶ古びた公園。

昔からずっと来ている。

マサ

よい…しょっ

リュックからサッカーボールを出した。

マサ

今日は…何回できるかな……

マサ

マサ

ほっ!

マサ

ほいっほいっほいっ!

コロコロコロ…

マサ

あぁ……3回か……

この公園でリフティングの練習をするのが

僕の日課

マサ

これでもこの町のサッカークラブに入ってるから……ね……

マサ

マサ

ベンチだけど………

空を見た。

いつもある普通の雲が 僕の頭上に浮かんでいた。

マサ

特に変わらない毎日……。

マサ

中学ではいじめられて……

マサ

マサ

雲さえもいつもと同じかよ……

??

きり雲だね。

マサ

え。

マサ

(いつの間に…)

マサ

君……誰……?

??

あぁ、ごめんごめん笑

??

僕はカズ。

カズ

最近この辺に引っ越してきたんだ。

マサ

そう…なんだね……

カズ

君は?

マサ

僕はマサ。

マサ

中学一年生。

カズ

僕もだよ!!

カズ

きっと運命だね!!

その笑顔に

僕はまた

絶対抱いてはいけない感情を抱いてしまった。

カズ

ねぇ!そのサッカーボール、めっちゃ使い古してるね!

カズ

毎日使ってるんでしょ?!

マサ

う、うん……

マサ

毎日リフティングしてて……

カズ

リフティングかー!

カズ

1回してみたかったんだー!

カズ

僕にも教えてよ!

マサ

うん…!

嬉しい。

僕と

こんなに話をしてくれるなんて。

でも少し

胸が苦しい

気がつくと

夕暮れになっていた。

カズ

いや~楽しかった!!

カズ

こんなに難しいんだね~!

また笑顔。

マサ

マサ

やめて。

カズ

え?

マサ

その笑顔…

マサ

もう見せないで……

マサ

君をもっと好きになっちゃうから……!

そう、僕は…

同性愛者

いつからだったかは 覚えてない。

カズ

マサ……?

マサ

僕は……同性愛者なんだ……

マサ

マサ

はっ笑

マサ

笑えるだろ?同性愛者なんて……

マサ

みんな僕を嫌っていく。

マサ

気持ち悪いだろ?

マサ

男なのに男が好きって。

マサ

僕が喋る間

カズはずっと

僕の目を見ていた。

マサ

だから!

マサ

僕の目を……!

カズ

なんで?

マサ

は?

カズ

なんで…

カズ

同性愛者なだけなのにそんなに嫌われてるの?

マサ

そりゃあ……

マサ

周りは男女のカップルなんだ……

マサ

僕みたいな人なんて……

カズ

………

カズ

カズ

僕はね、

カズ

マサが同性愛者だとしても、

カズ

何とも思わないよ。

マサ

カズ

人間なんて、みんな違って当たり前。

カズ

もちろんさ、男女のカップルが当たり前だっていう考えの方が多いよ。

カズ

でもね、

カズ

僕は……

カズ

カズ

同性愛者だってことを誇りに持っていいと思う。

マサ

なんでだよ……

カズ

さっきも言ったけど、

カズ

みんな何かしら違うものがあるだろ?

カズ

それと同じだよ。

カズ

愛す人が違うのも当たり前だろ?

カズ

それは、性別についても言えることだと思うんだ。

カズ

誰がどっちかの性別を愛すなんて、その人にしかわかんないんだからさ。

カズ

だからね。

カズ

君は、もっと自分に誇りを持って。

カズ

君がいつか、

カズ

君と同じように苦しんでいる人を助けられるように。

マサ

なぜだろう

カズの言葉が

するすると心に染みていく。

マサ

マサ

(そっか……)

マサ

(僕、ずっとこう言ってもらいたかったのかもしれない……)

マサ

(親にも言えずに…1人で苦しんでた……)

カズ

君の恋愛感情には答えられないけど、

カズ

僕は君のことが好きだよ。

カズ

どんな君でも。

マサ

マサ

カズ……

マサ

マサ

ありがとう……!

カズ

ううん。当たり前だよ。

カズ

君は僕の友だちだから。

カズ

カズ

あ、空見てみて。

マサ

え?

上を向いた。

昼間に見た雲はなかった。

カズ

やっぱり消えてるね。

マサ

??

カズ

さっき見た雲。

カズ

空見てみて。

カズ

ないでしょ?

マサ

マサ

う、うん……

カズ

夕方に消えたら、明日は晴れるんだよ。

カズ

昔からの言い伝え…とかなのかな?

マサ

へ、へぇ……

何が言いたいのか分からなくて

曖昧にうなずくことしかできなかった。

カズ

つまりっ!

カズ

君が今日過ごした一日が暗くても、

カズ

明日は明るい世界になるでしょう!!

マサ

そうなのかな…

カズ

ほら!笑う笑う!!

カズ

笑顔がいちばんだよ!

マサ

まだ上手く笑う方法がわからない

でも

少しずつ笑ってみよう

きっと

明るい世界が待ってるから

マサ

だね!

カズ

うん!

カズ

君は笑顔がいちばん似合う!

マサ

ねぇカズ!

マサ

明日も会おう!

カズ

カズ

いーよ!

カズ

何時?

マサ

3時にまたここ!!

カズ

わかった!!

マサ

じゃあ……

マサ

また明日ね。

カズ

うん!!

結局

カズは来なかった

何時間も

何時間も待った

暗くなっても

待ち続けた

マサ

ねぇカズ

空に向けて話しかけた。

マサ

君は今どこにいるの?

マサ

マサ

君は……

マサ

マサ

神様だったのかな…

マサ

僕を勇気づけるためだけに地上に来てくれた神様。

マサ

下を向いた

すぐに上を向いた

泣いたらダメだ

カズ

笑顔がいちばんだよ!

空を見たら

雲を見たら

君の声が聞こえた気がした。

マサ

ありがとう。

マサ

僕の愛する人。

2人で見上げた空を 思い出した。

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コメント

2

ユーザー

私も途中から薄々気づいていましたが、やはり同性愛者... カズくんの言葉、一つ一つが心に刺さりました。 ご参加ありがとうございます!

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