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しろ
さくら、いつにも増して上機嫌だな
しろ
ダンジョン越えたからか？
さくら
ん〜？
さくら
たのしーからじゃん？
桜笑
…そろそろ落ちようかな
大好きなオンラインゲーム、ピクアルをしながらフレンドにチャットする
戦闘系のゲームで、チャットするとキャラが話しているようになる仕組みだ
桜笑
そ、ろ、そ、ろ…
外ではゴロゴロと音がしていて、湿気が強いから天気も悪いんだろう
桜笑
そういえば、いつのまにか雨降ってる…
桜笑
（…雷）
桜笑
桜笑
（しろは少し厳格だけどほんとは可愛くて）
桜笑
（すごく気が抜ける存在）
桜笑
（…ん？）
さくら
そろそろ落ちようかな
しろ
もう、落ちんの？
さくら
ん？どーしたの？
しろ
しろ
寂しい
さくら
珍しいなぁ、しろがそんなこと言うの
しろ
だって外、雨降ってて
しろ
しろ
その、雷が
さくら
さくら
怖いの？
しろ
しろ
しろ
別に怖くないし
さくら
ふふ、かわいい
さくら
さくら
じゃーもう1狩り行きますか〜ぁ！
桜笑
（寝不足はあたしの大敵なんだけど…）
桜笑
（ちょこっと頭縫って、やっと退院できたし明日は学園もないし）
桜笑
（別にいっか！）
桜笑
桜笑
…というか
桜笑
雨に…雷？
桜笑
もしかしてしろってこの近くに住んでるのかな
桜笑
…ん
翌日あたしのテンションは最悪だった
桜笑
ねむたい
鏡を覗いても、そこに笑顔はない
桜笑
…
桜笑
ぶさいくだ
ふわっとあくびをしてあたしは家を出る
桜笑
（雨…ほとんど止んだな）
傘をさしてることに違和感さえ覚えたそのとき
あの声が聞こえた
ちゃんと来たんだね
桜笑
…まぁね〜
反射的にニコッと笑うと軽く頭痛がする
…
見習いくんは少し黙るとあたしの頭を小突いた
桜笑
あいたっ
桜笑
（…ってあれ───？）
わざわざ笑顔をつくらなくたっていい
ドクン
その瞬間心臓が、揺らぐ
ああそうだ、今日みたいにシンドい日は
わざわざこんな広場に来なくてもそっちに出向くよ
ドクン
桜笑
…家来るんですかー？
嫌だった？
桜笑
別にぃ
窓だけ開けてくれれば入れるからね
桜笑
…ホントに家出たくなくなったらそーします
そうだね
居場所が分かるわけじゃないけど家くらいは分かるからね
桜笑
神様って居場所分からないんですか？
僕は神様じゃないからね
桜笑
でも現世に生きてはいないでしょ？
そんなに探らないでよ、困るな
桜笑
困るって…ホンモノならそれくらいいーじゃん、気になるし！
───でもきみはもう僕がニセモノではないと気づいてるでしょ
ドクン
ニセモノじゃないなんてこと、たしかにもう分かっていた
そして、さっきから何度も心が動くのは…
…あたしが、怖いからだ
この、すべてを見透かしたような目のことが───。
桜笑
…ふふ、そーですね
その日はそれで、お別れした
桜笑
…
桜笑
（──そういえば…）
シャワーを浴びながら、先ほどのことを思い出す
あいたっ
…ってあれ───？
桜笑
眠気…ましになった気がする
…どーだった
…そうだねぇ
やっぱ、あいつ───
うん
分かってるだろうけど…
消えたいと思わせちゃダメなんだ
身体や情緒の安定が───
…
"消える"
それを聞いても恐怖を抱かない彼女は
おそらくずっと…いなくなりたかったのだろう
（俺も初めて聞いたときは驚いた）
（死因が定まらない───）
（それも、自殺に事故、それに他殺、病死…なんて）
（そんな異色な並び方があるのかと───。）
…あの子を、任せるぞ
もちろんだよ
…きっと
世界もあの子も、変えて見せる
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