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ねぇ、熊が私のお腹を食べてる

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ねぇ、熊が私のお腹を食べてる

1 - ねぇ、熊が私のお腹を食べてる 第1話「遭遇」

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2020年06月07日

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ここは、東北某所の山。

森久保

良い登山日和だな

三浦

須永も良いタイミングで企画してくれたな

須永

来年は就職だしな

須永

みんなで集まれるのもこれが最後かもしれない

リオ

そうだね…

リオ

せっかくだし、目一杯楽しもう!

姫子

それにしても大きい山だねー

姫子

さすが須永くん

姫子

まさかこの山全部が須永くんのものなんて

須永

親父の道楽さ

三浦

須永のお父さんは大物政治家だしなー

リオ

これだけ大きい山だと迷ったらヤバイね

森久保

嫌なフラグ立てるなよ

三浦

そうそう、俺はもうすぐ幼なじみと結婚するんだぜ

三浦

こんなところで死ぬわけにはいかないんだ!

姫子

それこそフラグじゃん!

三浦

アハハ、そうだな!

三浦

まあ大丈夫っしょ

三浦

2日で帰るって言ってあるし

三浦

それを過ぎたら捜索してくれるだろ

姫子

それにここは須永くんの土地だしね

姫子

いざとなったら、お父さんが助けてくれるよね

須永

ああ、多分な…

姫子

な、何、その微妙な反応…

須永

実はこの山、本当は入っちゃいけないんだ

森久保

えっ、まじかよ

須永

だから家には言ってない

須永

言っても許可されないからな

リオ

何で入っちゃいけないの?

須永

ここは昔、姥捨山(うばすてやま)だったんだ

須永

曰く付きの場所でな

須永

『何か』が出るんだよ

須永

無断で入ったものは、この山に棲む『何か』に…

須永

殺される

森久保

…………

須永

なーんてな、冗談だよ

三浦

おいおい、怪談話は夜にとっておけよ!

姫子

びっくりしたぁ…

リオ

ちょっと信じそうになったよ…

森久保

(本当に、冗談だよな?)

森久保

(須永の顔、割とマジだったけど…)

数時間後。

須永

おかしい…

須永

地図によると、とっくに休憩ポイントなのに

三浦

もしかして迷った…?

リオ

え、やばくない…

リオ

しかも圏外だし…

全員スマホを確認するが、みな圏外だった。

姫子

戻ったほうがいいんじゃ…?

須永

いや、やめたほういい

須永

正直言うと、どこから迷ったのかわからないし

須永

戻ろうにも、周りは同じ景色だ

須永

余計に迷っちまう

森久保

じゃあどうするんだ?

須永

この山は、崖や山に囲まれている

須永

下手に下っても帰れない可能性が高い

須永

だから、登り続けたほうがいい

須永

とにかく登れば山頂に近づくし

須永

そこには山小屋がある

姫子

そ、そっか…

リオ

でも本当に大丈夫…?

須永

ああ、間違いない

三浦

須永が言うなら大丈夫さ

三浦

なーに、ちょっとした回り道ってやつだ

三浦

深刻にならずに行こうぜ

5人は、頂上を目指して進んだ。

森久保

なあ須永、本当に大丈夫か?

須永

大丈夫、だと思う

森久保

思うって…

須永

実際、引き返しても余計迷うだけだ

須永

それに今さら下山なんかして

須永

企画を台無しにしたくないだろ

森久保

それは、まあ…

須永

みんなで楽しい思い出作りたいしな

森久保

そうだけど…

須永

このカメラも、そのために用意したんだ

須永は、首から提げているカメラを指さした。

森久保

最初からずっと撮ってたな

須永

最近、撮影にハマッててさ

須永

動画配信者になりたいなー、なんて

森久保

おいおい、マジかよ

須永

わりとマジだ

須永

出来損ないの俺には、政治家は無理だしな

森久保

…………

辺りは暗くなってきた。

5人は、少し開けた場所でキャンプすることにした。

みんなで協力してテントを張っていたとき。

三浦

あれ?

三浦

俺のリュックがない

森久保

どこに置いたんだ?

三浦

あのでかい木の下

三浦

まさか、誰かに盗られた…?

姫子

そんなはずないでしょ

姫子

ここには私たちしかいないんだし

リオ

そうだよ

リオ

まさか、あたしたちが盗ったとでも?

須永

おい、あれじゃないか

須永が指さしたのは、少し離れた茂みだった。

そこに三浦のリュックが落ちていた。

三浦

あ、ホントだ

三浦

誰がイタズラしたんだよー

姫子

私じゃないからね!

リオ

あたしだって違うよ!

森久保

(誰がやったんだろう?)

森久保

(リュックが動いたのは、テントを張っていたとき)

森久保

(みんな妙な動きはしていなかったが…)

森久保

(俺たち以外に誰かいる…?)

森久保

(それこそ、須永の言う『何か』が…)

テントを張り終わったときには、もう夜は更けていた。

食事をしようとした、そのとき。

ガサ、ガサ…

森久保

何だ!?

みなが視線を向けると──

森久保

なっ…

三浦

まじ、かよ…

リオ

うそ…!

姫子

ひっ…!

須永

なんだよこれ…

森久保

(か、怪物…)

森久保

(い、いや──)

現れたのは、巨大なクマだった。

クマ

グルルル…

クマは、唸りながら一点を見つめていた。

視線の先には、三浦のリュックがあった。

森久保

リュックを動かしたのはクマだったんだ!

森久保

クマは一度餌だと思ったものに執着する…

森久保

リュックを取り戻しにきたんだ!

森久保

三浦、リュックをクマに投げろ!

三浦

や、やだよ!

三浦

これは有紀に貰ったブランド物なんだぞ!

有紀とは、三浦の婚約者の名前だ。

森久保

そんなこと言ってる場合か!

森久保

死にたいのか!

三浦

死ぬ──

三浦

そうだよ、クマって死んだフリすればいいんだろ!

三浦は地べたに倒れ込んだ。

森久保

バ、バカ──

クマは、ジリジリと三浦に近づいていった。

そして、クマはためらうことなく、大口を開けた。

ガリッ

三浦

ぎゃああああ!

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私が熊のお腹を食べてるに見えた

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