テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

生徒指導室

寧々

……

この世の終わりのような顔をした寧々。

寧々のドッペルゲンガー

…?

恐らく、ほとんど理解していない寧々。

そして─────

鈴木先生

────亜矢乃さんたち、これはどういうことですか?

鈴木先生

一から説明してもらわないと…

シワの目立つ眼で、ジットリと寧々達を睨め付ける「鈴木先生」。

噂によると、英語の先生で、

よく努力する生徒には優しいが、

規則を破ったり、何か問題を起こした生徒に対しては鬼のような態度で接するらしい。

……否、それが教員のあるべき姿なのかもしれないが。

兎も角、今、彼女達がピンチだということは、

この場に居る誰もが感じるだろう。

寧々

……

寧々

(ど、どうしよう…)

寧々

(本当のことを言っても信じてはくれなさそうだし……)

鈴木先生

亜矢乃さん?

寧々

あ……

寧々

は、はいっ…

寧々

えっと……

日笠木先生

……鈴木先生

それまで黙って見守っていた日笠木が口を開く。

鈴木先生

何でしょう?

日笠木先生

二人はどう見ても同一人物です

鈴木先生

……はぁ

日笠木先生

…悪戯では、無さそうですが…

鈴木先生

いえ、僕も悪戯とは疑ってませんよ

鈴木先生

亜矢乃さんは普段の授業態度も素晴らしいので

鈴木先生

しかし、問題は……

─────もう一人の「亜矢乃 寧々」の待遇、についてですよね?

寧々

!?

日笠木先生

……!

鈴木先生

……はぁ

鈴木先生

どうしましたか?

鈴木先生

────西岸寺さん?

入口を見ると、背の高い金髪の生徒が居る。

寧々

え…先輩?

────いやぁ、そっかそっか

こういう事になるんだったね

久しぶりで忘れていたよ

日笠木先生

西岸寺さん、あなたは関係者ですか…?

勿論

異世界研究部の部長ですから

鈴木先生

またオカルトですか?

鈴木先生

今はそれどころでは……

─────こちらも「それどころ」ではないのだよ

鈴木先生

はぁ、どういうことですか?

言ったって信じてはくれないでしょう?

鈴木先生

……

兎に角、彼女はボクに任せてください

……ね?

素人から見れば、ピンチの最中助けに来てくれた「恩人」。

寧々も素人の部類ではあるが、少しだけ異世界研究部で珀の様子を見ている。

よって彼女には彼が、「逃してはならない」と考えているように思えた。

……掴みどころのない、謎の人物だ。

鈴木先生

……分かりました

鈴木先生

ですが、後で事情は聞かせてもらいますよ

悪いね

……じゃ、君達も取り敢えず行こうか

そう言ってドアに歩き出した。

ドアノブに手をかけると、思い出したように彼は言った。

───あぁ、そうだ

……もう、5日目だね

鈴木先生

────!!

そろそろ、決断したらどうだい?

寧々

寧々のドッペルゲンガー

決断……?

…何でもないさ、行こう

一気に顔色の悪くなった先生を置いて、彼達は部屋から出ていった。

ごめんね、あの人面倒臭いだろう?

寧々

い、いえ…

寧々

…えっと、寧々はどうするんですか?

寧々のドッペルゲンガー

あ、そうでした!

寧々のドッペルゲンガー

このまま教室にいる訳にはいけないでしょうしー…

ふふふ…

もう考えてあるさ

それは─────

────部室で匿う

彼とは違う声が発言を遮る。

見ると、不機嫌そうな顔を引っつけた明るい橙色の髪の毛の少年がたっている。

……庵だ。

ちょっと!!

今ボクが言おうとしていたのに!

うっせぇな、変に溜めるこたぁねぇだろうがよ

寧々

(何かいつも一緒にいるなこの人達…)

寧々のドッペルゲンガー

それで、匿うって?

あぁ

お前はもう見ただろうが、ウチの部室は家みたいなモンだ

そこで勉強すりゃあいい

寧々のドッペルゲンガー

べ、勉強ですか…

安心してくれたまえ!

同学年だと優くんがいるし、芸術科だと海月ちゃんがいるからね!

寧々

他人任せじゃないですか…!

思わず、ツッコミが口から漏れ出てしまった。

元より、君達がイレギュラーを起こしていなかったらこんな事にはならなかったのだよ

寧々

あ……

寧々

(そ、そうだよね…)

まぁ、ボクからしたら有難いことでしかないのだけれどね

寧々

……!

……

じゃあ、そっちの亜矢乃は俺と来い

寧々

……

寧々のドッペルゲンガー

……?

あーー…

面倒くせぇな

暫く考えたあと、庵は不機嫌そうに頭を搔く。

何かあだ名とかないのか?

寧々

あだ名、ですか…

寧々のドッペルゲンガー

私、こっちの寧々さんのことは

寧々のドッペルゲンガー

「鏡合わせさん」って呼んでます!

寧々

いや、それ私が呼びたいんだけど

はぁ…しゃあねえな

いいか

お前が亜矢乃で──

そう言って私の方を見て、

お前が寧々だ

ドッペルゲンガーの私を見た。

寧々

そ…そっちが寧々なんですね……

ヤキモチ?

寧々

ばっ……!!

寧々

違います!!!

めっちゃ否定するじゃん

そう笑いながら庵を見る。

……

その顔は恐らく馬鹿にしている顔だった。

…寧々は部室に居ろ

寧々のドッペルゲンガー

一人で、ですか?

まぁ、……だな

寧々のドッペルゲンガー

随分と、信用してくれるんですねー

性格は違えど、根は違わないからね

寧々

(あ、これ一応信用されてるんだな、私…)

そんな訳で、寧々ちゃんは教室に戻った方が良いのではないかい?

寧々

……え?

もう、この時間だと……1限目始まってるね

寧々

寧々

え!!!!

寧々はサッと青ざめ、教室の元へ走っていった。

寧々のドッペルゲンガーも、部室へと歩いていく。

……

お前は寧々呼びなのか

うん、何で?

紛らわしいんだが

それはー

……君の頭の問題でしょ?

……

───へぇ、痛い目に遭いたいか?

ふふふふ……

ご勘弁っ!!!

おいこら、逃げんなっ!

……二人もまた、いつものように教室へ、向かっていった。

───────……

コツ……

…コツ

…ガラッ

………ガタッ

────うるさいですね

ガタッ

見つかったら、どうするんです?

あなたも、タダじゃ済みませんよ

……

…良い子です

……今から、その口のテープを剥がしてあげます

……大きな声を出したら………

タンッ

─────!!!

お分かりですね?

…!!…!

なら、良いです

────さ、教えてください

知りたいんです、あなたのこと……

……ね?

───白い靄の中に、

誰かが立っている。

私よりも少し小さくて、でも、

私にとても、似ている人だ。

……ドッペルゲンガー、だろうか

よく見ると、彼女は暗い部屋に居た。

ドアの隙間から、光が漏れ出ている。

窓もあり、外も暗いため夜に見えた。

────汚い部屋だ。

そこら中に、空の酒瓶や、缶が転がっている。

見ているだけで臭ってきそうな瓶を、痣が目立つ手で、誰かが拾い上げる。

寧々

(────まさか…)

寧々に似た少女

……

寧々に似た少女

慎重に、音が聞こえないように、

そのゴミを拾う。

ここで、五感も空間に追いついてきた。

ドアの外からは、何やら大きな声が聞こえる。

────お前さぁ、いい加減にしてくんない?

何が仕事だ?この着信履歴は何だ?

……

─────おい!!

聞いてんだろ!?

男の声だ。

突然荒あげ、威圧する。

…いったい、誰のせいかしら

なっ……俺が悪いって言うのかよ!

……

私だって、産みたくなかったわよ

こんな大変だって分かってたら、私は……

────うるせぇ!!!

バンッ

寧々

!!!!

乾いた音と共に、蚊の鳴くような悲鳴が聞こえる。

ふと、彼女を見ると、恐る恐るドアの外に出て、集めたゴミを捨てに行こうとしていた。

明かりに照らされて、彼女の顔が鮮明に見える。

寧々

……!

寧々

(やっぱり、私みたいだ…)

そのまま、パッと場面が変わる。

洗面台に、彼女は立っている。

ボサボサの長い前髪から、紫色の生気のない眼を覗かせて、

一人で、鏡と向き合う。

そして、何か、決断をしたように、

その鏡に映る自分を、睨んでいた。

そのまま、寧々の意識は霞がかる。

「夢」が覚めるのだと理解した。

だが、視界が暗転する直前に────

寧々

───!

……心做しか、その鏡越しに目が合った気がしたのだ。

この作品はいかがでしたか?

67

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚