テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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銃口の先のエンディング

第31話 - 誰がために

331

2024年07月05日

#一次創作

#ファンタジー

#冒険

#殺し屋

#人間関係

#日常

四阿朧

アイザック

誰それ、俺知らない

テヘル

ははっ、お前と知り合う前だったからな〜

メラ

あ、アメリア様、もう日が落ちてきますよ

アメリア

この辺誰もいないな、明日はさすがにもうちょい進もうか

ミュール

これサミュエル死んだりしませんよね？

アメリア

まだ大丈夫だよ、ぐったりしてるけど話はギリ通じる

ミュール

ギリ…

テヘル

つか、別に誰かが血ぃやればいいじゃん

アメリア

…私は気の迷いで言ったが断られたよ

アメリア

なんにせよ、コイツの血の摂取を見たら嫌になるよ

メラ

アレ怖い…関節バキバキにはされたくないし…

ミュール

…

テヘル

…ふーん？

テヘル

まあ、明日はこの近くにある情報屋紹介してやるよ

アメリア

お、それはありがたいな

その夜

皆が寝静まってから、1人の人間が立ち上がる

そして

ある男の前まで歩いていくと、じっと見下ろす

サミュエル

…うーん……

隅っこでうなされているその男、サミュエルの肩を、ちょいちょいと叩いてみた

サミュエル

…、ん、何？

話は通じるんだなぁ、と他人事のように感じる

サミュエル

…？

サミュエル

俺のことなら大丈夫だから気にしなくていいよ

サミュエル

あ、それとも隙を狙って殺しに？

サミュエル

…あれ？別に殺したいんじゃないんだっけ…？うゔん、よく分かんな…

この男は頭がいいと聞いたから、きっと今は著しく知能が低下しているのだろう

そうか、頭を使うのに血がいるんだな、コイツは。

そこまで考えて、サミュエルにニコッと笑いかける

サミュエル

…なんか話してよ

サミュエル

どーしたの

サミュエル

…テヘルくん

名前を呼びかけられ、ああ、そういえば全然返事をしてなかったと思い出す

テヘル

…うん

テヘル

考えてたんだ

テヘル

俺はお前を助けるべきなのか。

テヘル

…俺、自分で言うのもなんだけど…昔からよく動物とかに好かれてさ

テヘル

いや…最初は嫌われてるのかと、思ってたんだけど

サミュエル

？

テヘル

噛まれやすいんだ。それは例えば、人間と混ざった動物でも同じだった

テヘル

考えてみりゃ簡単な話

テヘル

俺はそこそこ賢いし、血筋もいいから…まあうまいんだろうな

サミュエル

あの…何？すんごいテロなんだけど

サミュエルの熱が浮くような、血を求める視線が、テヘルに刺さる

テヘル

ははっ

テヘル

お前ちょっとアイクに似てるよ

サミュエル

似てないよあんなのに

テヘル

あんなのだと？

サミュエル

ていうか必要以上に話すとほんとに死にそうなんだ、寝なよ

テヘル

いや違くて

テヘル

血、飲んでいーよっつってんの

サミュエル

ダメです。ダメ。絶対いや

サミュエル

痛いよ、俺、力の加減きっと分かんないし

テヘル

大丈夫だって

サミュエル

なんで？きみ別にそんな俺と関わり深くもないのに

テヘル

…だって、俺のために頭使ってくれたからしんどくなっちゃったのもあんじゃねーの？

テヘル

借り、返してるだけだって

サミュエル

…え、そんなの、いいのに

サミュエル

忘れちゃえば…いいのに

テヘル

あははっ悪いやつ

テヘル

俺だってそんないいやつじゃねーけどさぁ

テヘル

お前が今苦しんでる。助けてもらった俺は恩を返したい。それだけの話だ

テヘル

…別に恩を返したことなんて、忘れてもいいから

テヘル

今だけ、楽になるためだろ？

サミュエル

…

サミュエル

っほんっ…とにやめて！

サミュエル

今そんな魅力的なこと言われたら欲に勝てないから！

テヘル

だからいいんだって

サミュエル

っ…傷つけちゃう

サミュエル

俺…仲間の血は、飲めない。

テヘル

…

サミュエル

何？分かったら離れて、お願い

テヘル

難儀なやつ

テヘル

…でもダーメ、そんなんじゃいつか簡単に死んじまうぜ。

テヘルはまるで悪魔の囁きのように、どこが噛みやすい？と聞きながら腕や首を見せつける

そして視線が交わった瞬間、サミュエルは反射のようにテヘルに飛びついた

テヘル

…っ、ん゙

サミュエルは一心に、血を飲み続ける

テヘルは特に抵抗することもなく、ただ歯を食いしばって待ち続ける

テヘル

（…なげー……！）

そして少しして、身の危機を感じたテヘルがストップをかけようとする

テヘル

…まだ？貧血なりそーなんだけど

返事のないサミュエルをじっと見つめる

テヘル

っおい待て、おちつけ！

サミュエルの意識が朦朧としていることに気がつき、おでこにパチンとデコピンをしてみた

サミュエル

わ！びっくりした

サミュエル

…あ…ごめん、痛かった？

垂れた血を綺麗に舐める方に集中しながら、サミュエルは言った

テヘル

はは、建前かよ？こっちくらい見て言え

テヘル

（…でもそっか、力を入れないようにって集中してくれてたのか）

サミュエル

…はー…でもほんとに、殺しちゃわなくてよかった…

テヘル

ははっ

サミュエル

…ありがとね

サミュエル

…でも、簡単に血なんてあげちゃダメだよ。

テヘル

そのためにはお前が健康でいてくんないとな！

テヘル

お前がいいやつだと思ったから───

サミュエル

俺でもだし、いいやつでもだよ

サミュエル

人間なんてやわだから、どれだけ気をつけても壊しちゃうこともあるし

サミュエル

…血を飲むって…飲まれて終わりじゃ、ないんだよ

テヘル

どういうことだよ

サミュエル

とにかくそれだけは覚えてて。欲望に負けた俺が言うのもなんだけど

サミュエル

死ななかったのは奇跡だってくらい思っててほしいよ

サミュエル

…きみは俺たちについて何も、知らないんだから。

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ギリ通じる、って……不安しかないんだが……！？って思ったら無事そうで良かった……💦 とにかくテヘルくんが助けてもらった借りを返す、って理由でサミュエルくんに意地でも血を飲ませようとしてたおかげだね！！んー、でもサミュエルくんの最後の方の言葉が引っかかるな……もしかして過去に何かあった、のかな……🤔💭