天使の君と

時計を見ると、まだ明け方の3時だった。

そう言って、蛍太（けいた）が布団の上に目を向ける。

寝起きのため、視界がぼやけていたが、やがてはっきりと見えた。

蛍太は大声を出し、そのままベッドから転げ落ちた。

そう言った蛍太の目の前には白いものがいた。

それだけ言うと、天使はまた夢の中へと戻ってしまった。

二度寝した蛍太が目を覚ましたが

未だに目の前には、天使の白い羽根と金色の髪の毛が見えた。

お昼休み

蛍太は小声で言い、キッと睨んだ。

心臓が痛い

早くしないと……

けど、俺に急ぐ理由はなくないか？

だって、誰にも愛されてないんだから

呑気に話をしていると、強い風が吹いた。

そう言ってバランスを崩した天使が車道へと飛び出す。

と、その時天使の背後に車が迫ってきた。

キキーーッ

耳を劈くようなブレーキ音が響く。

蛍太は危機一髪のところで天使の肩を抱くようにして歩道に連れ戻した。

風呂上がりの蛍太が急に部屋に入ってきて、天使は驚き、肩を跳ねさせた。

その瞬間、天使を襲っていた痛みがなくなった。

今までの痛みが嘘かのように体が軽くなる。

そう言って差し出された手を天使は握り帰路に着いた。

家に着くなり、ベッドに押し倒される。

いつになく優しい笑顔で促され、天使は完全に油断してしまった。

そう言って蛍太は優しく天使の頭を撫でた。

その刹那、蛍太はどこからか取り出したナイフで天使の羽根の付け根を切り始めた。

語尾に音符マークがつくほどの上機嫌で、蛍太は天使の眼前に切り取った羽根を置いた。

そう言って、天使の足の健にナイフを突きつける。

そしてそのまま、健を切った。

あまりの痛みに天使は訳が分からず悶え苦しんだ。

そう言うと蛍太は天使のもう片方の羽根も切った。

痛みと恐怖に顔を引き攣らせ、天使は嗚咽を漏らした。