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ピアニスタの追慕

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ピアニスタの追慕

4 - ピアニスタの追慕 最終話

♥

139

2020年08月09日

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1週間後

慎哉

……

死神(用務員)

元気ないけど、大丈夫?

慎哉

──え?

目の前のベンチに死神(用務員)が腰かけていた

学校の作業用のつなぎではなく、黒ずくめに身をつつんでいる

死神(用務員)

1週間ぶり

慎哉

なんで、あなたがここに…………?

死神(用務員)

次の任務地へ赴く前に、すじを通そうと思って

慎哉は隣に腰かける

死神(用務員)

ちゃんとさ、お別れの挨拶をしてなかったよね

慎哉

お別れ?

死神(用務員)

短い間だったけど

死神(用務員)

きみとすごした時間は楽しかったよ

慎哉

慎哉

まるで二度と会えないような、言いかたですね…………

死神(用務員)

うん

死神(用務員)

会えないというより、会わない方がいい──

慎哉

! ……なんで?

死神(用務員)

ボクが“死神“だから

死神(用務員)

きみはこのまま問題なければ、首席で学校を卒業

死神(用務員)

卒業したあと、海外の音楽院に留学するんでしょ

慎哉

…………

死神(用務員)

有望ある若い子がさ

死神(用務員)

死神のそばにいたら、ダメだよ──

死神(用務員)

そろそろ時間だ

ベンチから立ち上がる

慎哉

……!

慎哉

(行ってしまう……!)

ガシッ

腕を掴んだ

死神(用務員)

……!

慎哉

慎哉

……また、ピアノを聴きに来てよ…………

慎哉

聴かせたい曲が山ほどあるのに…………

死神(用務員)

──困ったな

苦笑いをする

左手を慎哉の頭に置き、優しく撫でた

死神(用務員)

──確約はできないよ?

慎哉

それでもいい

慎哉

……だから…………

死神(用務員)

──そんな顔をされたら、断れないね

死神(用務員)

死神(用務員)

わかった

死神(用務員)

いつかまた、きみのピアノを聴きに行く

死神(用務員)

──それまでは

死神(用務員)

サヨナラ、ね

慎哉

…………

すでに姿はなかった

時計を見ると5分も経っていない

慎哉

慎哉

いつか、必ず────

少年は“あの人“との再会を願い、叶うことを──祈った

現代

202X年○月△日

女子高生B

今日は付き合ってくれてありがとう

女子高生A

いいよ。気にしないで

女子高生A

それより──

女子高生A

買えてよかったじゃん♪

女子高生A

阿左美慎哉のトリュビュートアルバム

女子高生B

見つけたときは、涙が出そうになっちゃった

女子高生A

大ファンだもんね

女子高生B

女子高生B

阿左美さんのピアノ、もっと聴きたかったなぁ…………

女子高生B

あんなことになるなんて

女子高生A

……誰も予想がつかなかったことだったし

女子高生A

……しかたないよ

女子高生B

でも、まさか……

女子高生B

事故で亡くなるなんて、思いもしなかった…………

女子高生A

早すぎるよね…………

女子高生A

37歳って、まだこれからなのに──

女子高生B

あれから、10ヶ月経つけど…………

女子高生B

未だに信じられない──

女子高生A

女子高生A

すっかり湿っぽくなっちゃったわ

女子高生A

ねぇ、今からクレープ屋に行こう

女子高生B

今から?

女子高生A

景気付けによ

女子高生A

ほら、行こう♪

女子高生B

え? あ、ちょっと……!

そのまま、クレープ屋へと足を向けた

この作品はいかがでしたか?

139

コメント

3

ユーザー

ここで最初に出てきたJKが関係してくるとは……! 20年経って、慎哉くんは死神さんと正式に再会できたわけですね 恐らくは、彼がピアノを聞きに来たあととかに…… とても面白かったです! とても面白かったです!! 次回も楽しみにしております!

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