奪ワレル・・・

目が覚め、バッと身体を起こすとそこは自分の部屋だった

冷たい汗と、恐怖感で全身が冷えていた

そのせいか声が出にくい気もする

今あった出来事……はっきりと思い出せるソレは夢……だったのだろうか

カタカタと身体の震えが止まらない

時計に視線を向けると3時になるところだった

まだ起きるには早いが、寝れる気もせず冷えた身体を温めようと震える体に鞭を打ってシャワーに向かった

温かいシャワーを浴びながら目を閉じていると、先ほどの光景が鮮明に甦ってくる

温かいはずなのに、身体の芯が冷たい感覚

夢………だと思うのに、首を絞められた感触が消えない

ふと鏡を見ると、映った首に赤い……

手形

思わずそのままへたり込んでしまった

夢じゃ………ない？

だとすると、阿部ちゃんとラウは………？

2人の事が気になり、慌てて身体を拭いてリビングに戻るとスマホに通知が

着信の相手は阿部ちゃんだった

すぐに履歴をタップする

声が出にくいのはシャワーを浴びて身体を温めても変わらなかった

実際にはあの手形でまた冷えたのだけれど

俺はたぶんあそこで死んだ

死ぬ直前、阿部ちゃんもラウもあいつらに……

突然無言になった阿部ちゃんに呼びかける

あの声は言っていた……

俺の声が欲しい

阿部の頭が欲しい……

じゃあ、ラウールは……？

翔太との電話を切ってすぐにラウールにかけると、聞こえてきた声は泣いていた

やっぱり

翔太は声を

ラウールは足を

俺は、頭を

あそこで起きた出来事が現実にも影響している

この現象は一時的なもので……

時間が経てば治る……

そう願うしかなかった