八依 猶
八依 猶
結局、逃げてきちゃった…
俺は八依猶 先程家出をした
母からの虐待から耐えられなり、適当に逃げていたら此の廃墟に辿り着いた
八依 猶
…
八依 猶
帰る家も 食べる物も、何も無い…
八依 猶
(何で出てきちゃったんだろう…)
八依 猶
(…でも)
八依 猶
(暴力で死ぬより野垂れ死ぬ方がマシなのかな、)
僕は壁に凭れ
•••───コツコツコツコツ
誰かの足音だ
八依 猶
(鍵が開いてるってだけでもしかして民家…!?)
イズ
…何をしている
八依 猶
えっ、あ…
少女は銃口を僕の額に当てた
八依 猶
…!
萍色の瞳に銀髪の少女は引金を引いた
───パンッ
僕は思わず目を閉じた
八依 猶
…?
八依 猶
あれ、俺…生きて…?
イズ
…はあ、馬鹿ね。玉なんて入ってないわよ
イズ
イズ
(そんな顔されたら、撃てないじゃない…)
リズ
…イズ
イズ
お、お姉ちゃん!
八依 猶
あの、俺帰ります…
イズ
帰るなら早く帰りなさいよね!
八依 猶
イズ
…はあ、泊まって行きなさい
八依 猶
…悪いです
イズ
但しお姉…リズの部屋には一歩足りとも踏み入れさせないわ
八依 猶
…
イズ
嗚呼もういいわ。早く奥へ来なさい
八依 猶
…
イズ
ベットは布団がないけど、其処はごめんなさいね
八依 猶
あ、りがとうございます
イズ
リズ
イズ
イズ
な、なあにリズ
リズ
…コソコソ
イズ
…そうね
イズ
それはもはや営業妨害かも…
イズ
ごめんなさい
リズ
コクコク
八依 猶
…?
リズ
…おやすみ
八依 猶
…お、おやすみなさいっ!
イズ
…!
イズ
お、おおおおやすみ!
イズ
早く寝なさいね
イズ
お姉ちゃん、昨日の人は?
リズ
…私が起きた頃には居なかった
イズ
…そう
リズ
…探すの?
イズ
べ、別にそう言う事じゃ…
リズ
頑張ってね
イズ
…!
イズ
分かったわ
八依 猶
…
八依 猶
(また逃げてしまった)
八依 猶
また泊まれ場所を探さないと…
僕はふらふらと夜明けの空を背負って坂を登った
八依 猶
(あの二人にも 家族にも見つからない何処かへ…)
イズ
い、居た!
イズはゼエゼエと汗をかきながら坂道を駆け上がった
八依 猶
…あ
八依 猶
(でも会って一日半もないし、出たのも一時間〜30分…なんで身元特定できたんだろう…?)
イズ
私達の秘密、教えてあげるから。
イズ
此方来なさい