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白金高輪駅近くのとあるカフェ。
椎名は2人がけの席に座っていた。黒いシャツに黒い髪。
警戒心の強い視線は、黒い眼鏡によって隠されている。
ファッションに興味がない者特有のシンプルな服装である。
そして彼の手には一台の携帯電話が握られていた。
ピンク色の可愛らしい動物が描かれたスマホケース。
もちろん椎名のものではない。
妹の桃香の所有物だ。
縦に長いスマホは厚みもなく、少し力を入れれば折れてしまいそうにも見える。
側面のボタンを押すと真っ黒の画面がぼんやりと光り始めた。
左手の親指で画面をスクロールすると椎名の指先に静電気が走り