風都 燐
星崎と風都がやってきたのは、
街の中心部にある
小さな公園だった。
休日ということもあり、
地下アイドルA
盛り上がるファン
地下アイドルのライブが開催され
公園の周囲はごった返していた。
風都 燐
風都 燐
風都 燐
風都 燐
風都 燐
風都は先を行く
星崎の背中を追いかけた。
すれ違う人たちは、
みな楽しそうに笑っていて、
死体をばら撒こうとしている
そんな雰囲気を纏った人は
見当たらなかった。
それでも星崎は、
迷うことなく歩みを進める。
風都 燐
風都 燐
星崎 水織
風都 燐
星崎 水織
星崎 水織
星崎 水織
星崎 水織
風都 燐
風都 燐
星崎 水織
そう言った星崎の視線の先にあるのは、
アイドル達が熱唱しているステージの
真裏にある古い雑居ビルだった。
風都 燐
風都は納得したような声を出す。
5階建てのそのビルは、
2階にネイルサロンの看板が
出ているだけで、
他の階は空いているように見えた。
風都 燐
押し寄せるようなファンの歓声に
風都は眉間にシワを寄せる。
星崎 水織
それだけ言うと、
星崎はビルの中に入っていく。
その言葉通り、
行き交う人々の視線は
地下アイドルと
異様な盛り上がりを見せる
そのファンたちに向けられていて、
誰一人として
星崎たちの方を見ていなかった。
・
・
風都 燐
風都 燐
風都 燐
階段を黙々と上りながら、
そんなことを思う。
薄暗く埃とカビの臭い漂う
雑居ビルの中は、
少しひんやりとしていた。
風都 燐
風都 燐
星崎 水織
風都 燐
風都 燐
星崎 水織
風都 燐
風都 燐
星崎 水織
全くもって興味の無さそうな
そんな言葉が返ってきた。
星崎 水織
星崎 水織
風都 燐
風都 燐
風都 燐
風都 燐
風都 燐
風都 燐
風都 燐
風都 燐
風都 燐
風都は先を歩く星崎の背中を見る。
階段をのぼる足取りは軽やかで、
早く死体が見たいと
急いているようでもあった。
風都 燐
風都 燐
風都 燐
風都 燐
不意に星崎が四階で足を止めた。
短い廊下には二つの扉が、
手前の扉を開けて、
正面に窓があれば
その眼下にステージがあるはずだ。
風都 燐
星崎 水織
星崎 水織
扉の向こうから
アイドルの歌声とファンの
リズミカルな合いの手が聞こえる。
だが、
その賑わいとは対照的に
扉の隙間から抜けてくる風には
腐敗臭のような
嫌な臭いが混ざっていた。
星崎 水織
手前の扉に手を伸ばしたところで
星崎の動きが止まった。
風都 燐
星崎 水織
そう重いため息をこぼして、
星崎は振り返る。
星崎 水織
風都 燐
星崎 水織
星崎 水織
風都 燐
風都も振り返ると、
そこには
少し草臥れた雰囲気の男性と
若い女性が立っていた。
風都 燐
花望 馨
花望 馨
花望 馨
花望 馨
星崎 水織
花望 馨
花望はわざとらしく
肩を竦めて見せた。
花望 馨
花望 馨
星崎 水織
花望と風都の間に
緊迫した空気が流れる。
星崎 水織
星崎 水織
星崎 水織
星崎 水織
花望 馨
花望 馨
花望 馨
星崎 水織
花望 馨
花望 馨
鳥谷
星崎 水織
風都 燐
風都 燐
風都は星崎の袖を
ギュッと引っ張った。
星崎 水織
悔しそうな顔をしている星崎の前を
鳥谷は涼しい顔で通り過ぎると
迷うことなく扉を開けた。
・
・
盛り上がるファン
というファンの声と共に、
腐敗臭を帯びた風が吹き抜けた。
部屋の中を覗き込むと、
そこには一人の男と
大きなクーラーボックスがあった。
怪しい男
思わぬ来客に
男は動揺を隠せないようだった。
花望 馨
花望 馨
花望が無駄のない動きで、
警察手帳を見せる。
怪しい男
動揺しながらも
男はクーラーボックスに手をかける。
花望 馨
花望 馨
怪しい男
花望 馨
怪しい男
怪しい男
怪しい男
男は慌ててクーラーボックスの蓋を開け、
中身を取り出した。
それは白いビニール袋に入った、
丸い
何か。
怪しい男
鳥谷
怪しい男
怪しい男
怪しい男
男は大きく開け放たれた窓のサッシに
足をかけた。
鳥谷
鳥谷
花望 馨
風都 燐
困ったように風都が星崎の方を見ると、
彼は一歩前に出る。
星崎 水織
星崎 水織
怪しい男
星崎 水織
星崎 水織
怪しい男
男の顔が引き攣る。
星崎 水織
星崎 水織
星崎 水織
星崎 水織
怪しい男
星崎 水織
星崎 水織
風都 燐
星崎 水織
風都 燐
その言葉を聞いて、
星崎はよくわからないと
首を傾げてみせた。
すると、
下から今日一番の歓声があがる。
花望 馨
風都 燐
花望 馨
花望 馨
怪しい男
花望 馨
花望 馨
花望 馨
花望 馨
怪しい男
怪しい男
怪しい男
怪しい男
花望 馨
花望 馨
怪しい男
花望 馨
怪しい男
風都 燐
怪しい男
怪しい男
怪しい男
男は語気を荒げて言う。
花望 馨
花望はそう言って鼻で笑う。
花望 馨
花望 馨
怪しい男
花望 馨
風都 燐
風都 燐
怪しい男
男は声を震わせ、
怪しい男
怪しい男
大声をあげて泣き出した。
怪しい男
風都 燐
怪しい男
怪しい男
怪しい男
そう言った瞬間、
怪しい男
男は体勢を崩し、
風都 燐
窓の外に落ちていった。
怪しい男
盛り上がるファン
盛り上がるファン
盛り上がるファン
盛り上がるファン
下が一気に賑やかになる。
星崎 水織
風都 燐
言いながら星崎、風都は
窓から下を覗き込んだ。
ステージ上には、
いつの間にか救助用の
大きなエアーマットが展開されており、
男は丁度そこに落下していた。
警察官たち
エアーマットの周囲にいた警察官たちが
男を引き摺り下ろす。
怪しい男
怪しい男
怪しい男
抵抗虚しく男は
呆気なく警察官に捕まった。
風都 燐
風都は感心したように言った。
花望 馨
そう言われても
星崎はどうにも
不満げな顔をして
足元にあるクーラーボックスを
覗き込んだ。
そこには半透明のビニール袋に入った、
いくつもの”医療廃棄物”が入っていた。
風都 燐
風都 燐
風都 燐
花望 馨
花望 馨
花望 馨
チラリと隣にいる星崎を見ると、
彼は心底興味の無い顔をしていた。
風都 燐
風都 燐
星崎 水織
風都 燐
何故か妙に納得するものはあったが、
風都 燐
という新たな疑問が過ったが、
聞いたら長々と語り出しそうなので
聞かずにおいた。
花望 馨
花望 馨
花望 馨
花望 馨
星崎 水織
星崎 水織
風都 燐
風都 燐
風都はいつも通り
明るく手を振って、
その場を後にした。
・
・
───三日後。
風都 燐
風都 燐
SNSのタイムラインを
いくらスクロールしても
【晴れ時々死体】について
”呟いている”人はいなかった。
風都 燐
風都 燐
今は見る影もない。
殺された人物が職場の上司と
浮気相手という
”よくある話し”に
それ以上の興味を示す者は無く、
三日と経たないうちに
熱は冷めてしまったようだった。
風都 燐
星崎の方をチラリと見ると、
彼は読みかけの本を片手に、
哀愁漂う顔で曇天を見上げていた。
風都 燐
星崎 水織
風都 燐
風都 燐
・
・
『晴れ時々死体』 終わり
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