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碧江涼太

あーもう!

碧江涼太

遅い!遅すぎる!

涼太は待てど暮らせど 一向に戻ってくる気配のない 透と杏樹に苛立ちを隠せない

柳ひとみ

た、確かに・・・

柳ひとみ

遅いよね・・さすがに

碧江涼太

もうすぐ1時間だぞ

碧江涼太

何やってんだよ!

柳ひとみ

あっ!来たよ!

碧江涼太

え!?どこ?

柳ひとみ

ホラ!あそこ!

ひとみが指差す先には 透と杏樹の姿があった

碧江涼太

やっと来やがったか!

鮎原透

悪いなみんな

鮎原透

遅くなっちまった

眞琴杏樹

す、すいません

碧江涼太

てか買い物したヤツは?

碧江涼太

お前ら買い物に
行ったんじゃねーの?

柳ひとみ

てか杏樹ちゃん
どうかしたの?

柳ひとみ

めちゃブルーだけど

柳ひとみ

何かあった?

眞琴杏樹

じ、実は・・・

鮎原透

いや、待て杏樹ちゃん

鮎原透

俺から話すよ

鮎原透

思い出すの辛いだろ?

眞琴杏樹

鮎原さん・・・

碧江涼太

ん?

鮎原透

実は杏樹ちゃんがさ

鮎原透

男に・・その

鮎原透

犯されそうになっててさ

碧江涼太

はぁ!?まじかよ!

柳ひとみ

それホント!?
杏樹ちゃん

眞琴杏樹

・・・・・

杏樹は黙ってうなずく

碧江涼太

ま、まじかよ・・・

鮎原透

なんとかヤられる前に
助け出せたんだけどさ

碧江涼太

そんかやべー
状況だったのかよ!

鮎原透

だから、悪いけど
俺らだけ先に
旅館戻っとくわ

鮎原透

こんな状況じゃ
杏樹ちゃんも
楽しめねーと思うし

碧江涼太

ああ、だな!
それがいいよ!

鮎原透

後片付けする時は
呼んでくれ

鮎原透

そん時は手伝うからさ

柳ひとみ

いや、いいって!
気にしなくて!

柳ひとみ

片付けなんて
ウチらだけで
やっとくからさ!

柳ひとみ

今は杏樹ちゃんの
側に居てあげな?

碧江涼太

ああ、そうだよ!

碧江涼太

こっちの事は
気にする必要ねーよ

鮎原透

悪いな・・・

眞琴杏樹

すいません

柳ひとみ

なに杏樹ちゃんが
謝ってんの!

柳ひとみ

謝る必要なんかないよ?

眞琴杏樹

は、はい・・・

鮎原透

じゃあ悪いけど
あと頼むわ・・・

碧江涼太

おう!まかせとけ!

透は杏樹を抱き寄せながら 旅館へと戻っていく

碧江涼太

ったく一体誰だよ!

碧江涼太

杏樹ちゃんを
犯そうなんて考える
ふざけたヤローは!

柳ひとみ

まったくよね!

碧江涼太

なんか俺らも
楽しめる雰囲気じゃ
なくなっちまったな

柳ひとみ

そうね・・・

碧江涼太

時間おいて俺らも
旅館戻るか・・・

柳ひとみ

そうしよっか・・・

鮎原透

ホラ!杏樹ちゃん!

鮎原透

とりあえず
ジュースでも飲めよ

透は旅館の売店で買った 炭酸飲料を杏樹に手渡す

眞琴杏樹

あ、ありがとう・・

眞琴杏樹

ございます・・・

鮎原透

(こういう時・・・)

鮎原透

(どんな言葉を
かけりゃいいんだ・・)

眞琴杏樹

ぐすっ・・・

鮎原透

杏樹ちゃん・・・

眞琴杏樹

すいません・・・

眞琴杏樹

助かったんだって
安心したら・・・

眞琴杏樹

急に・・・

眞琴杏樹

ごめんなさい・・

眞琴杏樹

ぐすっ・・・

鮎原透

・・・・・

透は黙って杏樹の背中を 抱きしめる

鮎原透

怖かったよな・・・

鮎原透

杏樹ちゃん・・・

眞琴杏樹

鮎原さん・・ぐすっ

杏樹は透の方へ向き直り 透の体に抱きつく

眞琴杏樹

ぐすっ・・・

鮎原透

杏樹ちゃん・・・

眞琴杏樹

しばらく・・・

眞琴杏樹

こうしてても
いいですか?

鮎原透

あ、ああ・・・

透は杏樹を抱きしめる

鮎原透

そういえばさ

眞琴杏樹

はい?

鮎原透

アイツら捕まった
んだってよ!

眞琴杏樹

アイツら?

鮎原透

アイツらだよ!
杏樹ちゃんを
攫った奴ら!

眞琴杏樹

あっ!捕まったんですか?

鮎原透

ああ!さっき
警察から連絡あった

鮎原透

なんか匿名の
通報があったんだってさ

眞琴杏樹

よかった・・・

鮎原透

でも、誰なんだろうな

鮎原透

あんな依頼した女って

眞琴杏樹

分からないです・・

鮎原透

杏樹ちゃんが誰かに
恨まれてるなんて
ありえねーしな

眞琴杏樹

は、はい・・・

鮎原透

まぁ、詳しい事は
警察が調べてくれるよ

眞琴杏樹

そ、そうですね・・・

鮎原透

今はゆっくり休もう

眞琴杏樹

は、はい・・・

眞琴杏樹

でも鮎原さんが
あんなに強いなんて
知りませんでした

鮎原透

え?

眞琴杏樹

すごく強かった
ですよね?

眞琴杏樹

何かやってたんですか?

鮎原透

あら?言ってなかった?

鮎原透

俺、ガキの頃に極真空手
やってたんだよ

眞琴杏樹

極真空手?

眞琴杏樹

なんか聞いた事
あります!極真空手!

眞琴杏樹

昔からやってるんですか?

鮎原透

親父から言われて
小学生の頃からな!

鮎原透

一応2級茶帯なんだ

眞琴杏樹

2級の茶帯?

眞琴杏樹

それってどのぐらい
凄いんですか?

鮎原透

まぁ、分かりやすく言えば

鮎原透

上から3番目かな

眞琴杏樹

え?凄いですね!

鮎原透

まぁ、昔の話だよ

鮎原透

今は道場に
顔出してねーしな

眞琴杏樹

すごく
かっこよかったです!

眞琴杏樹

ヒーローみたいでした

鮎原透

そ、そう?

鮎原透

まぁ、今日は特に
極真やってて
よかったって思ったな

眞琴杏樹

え?どうしてですか?

鮎原透

まぁ、ホラ!こうして
杏樹ちゃん助けれたし

眞琴杏樹

鮎原さん・・・

鮎原透

昔は親父から言われて
嫌々やってたんだけど

眞琴杏樹

あっそうなんですね

鮎原透

あの親父昔から
格闘マニアでな

眞琴杏樹

確かに社長さん
ガタイ良いですよね

鮎原透

ユージローか!
ってんだよ!

鮎原透

って言っても
杏樹ちゃんには
伝わらねーか

眞琴杏樹

あっ!それって
キバ道ですか?

鮎原透

え!?杏樹ちゃん
キバ道知ってんの?

鮎原透

めちゃ意外だな

眞琴杏樹

この前チーフと
休憩してた時に
熱弁されたんです

眞琴杏樹

ユージローが強いとか

眞琴杏樹

炭酸抜きナンタラが
どうとかって・・・

鮎原透

あはははは!
あのオッサンが?

鮎原は腹を抱えて笑う

鮎原透

んな事言われても
分かんなかったろ?

鮎原透

あのオッサン、相当
オタク入ってるから

眞琴杏樹

正直言って
そうでしたね・・

眞琴杏樹

あはは・・・

鮎原透

だよな(笑)

鮎原透

杏樹ちゃんに
キバ道の話するとか

鮎原透

だからあのオッサン
未だに独身なんだよ!

眞琴杏樹

ちょ、鮎原さん(笑)

眞琴杏樹

チーフに悪いですよ(笑)

鮎原透

杏樹ちゃんだって
笑ってんだろ!

鮎原透

いやぁ、面白い話
聞いちまったわ

眞琴杏樹

ふふふ

鮎原透

でもやっと
笑顔になったな!

鮎原透

杏樹ちゃん

眞琴杏樹

え!?

鮎原透

ずっと沈んでたからさ

眞琴杏樹

鮎原さん・・・

鮎原透

ん?どうした?

杏樹は透に抱きつく

鮎原透

ど、どうした?

眞琴杏樹

鮎原さん・・・

眞琴杏樹

私・・・

眞琴杏樹

鮎原さんが好きです

鮎原透

杏樹ちゃん・・・

眞琴杏樹

初めて学校で会った
時から好きでした

鮎原透

・・・・・

眞琴杏樹

私・・・ずっと
鮎原さんと
一緒に居たいです

鮎原透

・・・・・

透は杏樹を振り解き 窓辺に立つ

眞琴杏樹

あ、鮎原さん・・

鮎原透

杏樹ちゃんの気持ちは
すげー嬉しいよ・・

鮎原透

ありがとうな・・・

眞琴杏樹

・・・・・

鮎原透

でも・・俺はセ○レを
取っ替え引っ替え
してたようなクズだ

鮎原透

杏樹ちゃんには
もっと相応しいヤツが

眞琴杏樹

私は鮎原さんがいいんです

鮎原透

・・・・・

鮎原透

杏樹ちゃんってさ・・

鮎原透

俺が霞学園に居た時の
話をしたの覚えてるか?

眞琴杏樹

え・・・

眞琴杏樹

た、確か美咲さんを・・・

鮎原透

ああ、そうだ・・・

鮎原透

それが原因で霞学園は退学

鮎原透

親父からも
勘当されちまった

鮎原透

けど・・・

眞琴杏樹

けど?

鮎原透

俺はまだ・・・

鮎原透

杏樹ちゃんに
話してねー事があるんだ

眞琴杏樹

え?

鮎原透

俺が中学生の頃の話だ

眞琴杏樹

中学生?

鮎原透

俺は、霞北中に居てさ

眞琴杏樹

え?霞北?それって
先輩と和久井さんと同じ

鮎原透

ああ、そうなんだ・・

鮎原透

その頃の話でさ・・・

眞琴杏樹

・・・・・

鮎原透

これは俺が3年の時の話だ

鮎原透

そん時の俺は
救いようのないクズでさ

鮎原透

・・・・・

眞琴杏樹

鮎原さん?

鮎原透

俺さ・・・

鮎原透

当時、おれはある後輩から
アプローチされててさ

鮎原透

その子と・・その
ヤったんだよ・・

眞琴杏樹

・・・・・

鮎原透

でもある時・・・

鮎原透

その子から妊娠
したって言われたんだ

眞琴杏樹

え!?妊娠・・・

鮎原透

俺さ・・・

鮎原透

・・・・・

鮎原透

その・・・

眞琴杏樹

どうしたんですか?

鮎原透

俺・・・

鮎原透

その子を捨てたんだ

眞琴杏樹

え!?

鮎原透

そのせいでその子は
自殺未遂をした

眞琴杏樹

じさ・・・

鮎原透

クズだろ?

眞琴杏樹

鮎原さん・・・

鮎原透

今思い返しても
自分でクズだって思う

鮎原透

けど・・当時の俺は
親父の威光を

鮎原透

まるで自分の力見てーに
勘違いしててさ・・

眞琴杏樹

・・・・・

鮎原透

ごめんな・・・

鮎原透

もっと早めに
打ち明けるべき
だったんだけどさ

鮎原透

なんつーか、その
杏樹ちゃんに
嫌われたくなかったんだ

眞琴杏樹

鮎原さん・・・

鮎原透

今でも”あの日の事”を思い出す

鮎原透

夢にまで出てくんだ・・

眞琴杏樹

・・・・・

6年前 霞北中

当時の俺は自分でも 嫌になるくらいのクズだった

そん時はちょうど 後輩の女の子に呼び出されて

妊娠したって告白されたんだ・・

けど俺は、事の重大さを まったく理解出来てなくてさ

「俺には関係ねー」って その子を突っぱねたんだ

後輩

なんで?

後輩

私・・・

後輩

本気だったのに!

後輩

妊娠したからって
私の事捨てるの?

鮎原透

はぁ?待てよ!

鮎原透

お前ピル飲んだって
言ってただろーが!

鮎原透

俺だってゴム付けてた!

鮎原透

それでなんで
妊娠すんだよ!

後輩

だって・・だって・・

鮎原透

あんだけ問題ないって
言ってたくせに

鮎原透

いざ妊娠したら
今更被害者ヅラか?

鮎原透

意味分かんねーだろ!

後輩

鮎原先輩・・・

後輩

私の事・・・
愛してるって

後輩

何があっても
責任取るって

後輩

そう・・・
言ってくれたじゃん!

鮎原透

んな事言ってねーよ!

鮎原透

聞き間違いじゃねーの?

後輩

あれは全部
嘘だったの?

後輩

私にかけてくれた
優しい言葉全部

後輩

私を騙す嘘だったの?

鮎原透

さっきから自分の主張
ばっかしやがって!

鮎原透

こっちの話を聞けって!

後輩

酷いよ・・・

後輩

私のこと裏切るの?

鮎原透

裏切るとかじゃねーだろ

鮎原透

俺知らねーからな

鮎原透

産みたいなら産め!

鮎原透

産みたくないなら堕ろせ!

鮎原透

簡単な話だろーが!

鮎原透

これ以上
てめーと話してても
時間の無駄だからよ

鮎原透

俺は行くわ!

鮎原透

産むか堕ろすか!
てめーが勝手にしろ!

鮎原透

金輪際俺に関わるな!

鮎原透

迷惑なんだよ!

鮎原透

じゃーな!

後輩

許さない・・・

鮎原透

はぁ?

後輩

許さない許さない!

鮎原透

勝手に言ってろ!

後輩

絶対に許さないから!

後輩

死んでも許さない!

鮎原透

はい!はい!

鮎原透

どうぞご勝手に!

鮎原透

じゃーな!

後輩

・・・・・

眞琴杏樹

・・・・・

鮎原透

それからしばらくして
その子は自殺未遂した

眞琴杏樹

けど鮎原さんは避妊
してたんですよね?

鮎原透

ま、まぁ・・・

鮎原透

一応・・してた・・・

眞琴杏樹

本当にその妊娠って

眞琴杏樹

鮎原さんとエ○チした
事が原因なんですか?

鮎原透

分からねー・・・・

鮎原透

その自殺未遂騒ぎの後

鮎原透

その子は知らねーウチに
転校しちまったから

眞琴杏樹

・・・・・

鮎原透

けど、俺がその子を
突き放して捨てた事は

鮎原透

紛れもない事実なんだ

眞琴杏樹

その子って名前は
なんて言うんですか?

鮎原透

苗字が楓咲(かえら)
って事しか覚えてねー

眞琴杏樹

かえら・・・

鮎原透

カエデが咲き誇る

鮎原透

と書いて楓咲・・・

眞琴杏樹

楓咲・・・

鮎原透

楓咲・・・何だったのか

鮎原透

下の名前すら
覚えてねーんだ

鮎原透

妊娠させた子の
下の名前すらも覚えてねー
救いようの無いクズなんだよ

鮎原透

俺はってヤツは・・・

眞琴杏樹

鮎原さん・・・

鮎原透

だから杏樹ちゃん

鮎原透

俺みたいなやつ・・

鮎原透

杏樹ちゃんには
相応しくねーよ

眞琴杏樹

・・・・・

鮎原透

なんか悪いな・・・

鮎原透

こんな時だってのに
気持ち悪い話しちまって

鮎原透

もう忘れてくれ・・・

透は自分の部屋に戻ろうと するべく立ち上がる

眞琴杏樹

あっ鮎原さん・・・

鮎原透

俺とはやっぱ
関わらない方がいいよ

眞琴杏樹

そんな事・・・

眞琴杏樹

鮎原さんは
そんな人じゃないです!

鮎原透

それは杏樹ちゃんは
今の俺しか知らないから
そう思うだけだ・・

鮎原透

昔の俺なんて・・・

眞琴杏樹

確かに鮎原さんの事を
私は知りません!

鮎原透

・・・・・

眞琴杏樹

けど・・・
今の鮎原さんの事は

眞琴杏樹

他の誰よりも
知ってるつもりです!

鮎原透

・・・・・

眞琴杏樹

鮎原さんは優しくて

眞琴杏樹

誰よりも私の事を
気にかけてくれて

鮎原透

・・・・・

眞琴杏樹

揚羽先輩や
奏星さんの事で悩んで

眞琴杏樹

自分自身を責め続けてた私は

眞琴杏樹

新しい学校での生活に
不安を抱いてました

鮎原透

・・・・・

眞琴杏樹

本当にやって
いけるのかなって

眞琴杏樹

不安で不安で・・・

眞琴杏樹

許されるなら
今すぐに逃げ出したい

眞琴杏樹

そう・・思ってました

鮎原透

杏樹ちゃん・・・

眞琴杏樹

けど・・・

眞琴杏樹

鮎原さんが初めて私に
声をかけてくれて

眞琴杏樹

私は頑張ろうって!
そう思えたんですよ?

鮎原透

・・・・・

眞琴杏樹

鮎原さん・・私に
言ってくれましたよね?

眞琴杏樹

過去にやってしまった事は
消える事は無い・・けど

眞琴杏樹

その過去を受け入れて
悔い改めて・・・

眞琴杏樹

前に進む事はできるって

鮎原透

・・・・・

眞琴杏樹

だから鮎原さん・・・

眞琴杏樹

ぐすっ・・・

眞琴杏樹

自分を責めないでください!

鮎原透

ありがとう杏樹ちゃん

鮎原透

そう言ってくれて

鮎原透

けど、俺がいくら
悔い改めたところで

鮎原透

それはあくまでも
自分勝手に
やってる事で・・・

鮎原透

その子にとっては
過去のトラウマ
のはずなんだ

眞琴杏樹

・・・・・

鮎原透

だから当分は俺と
関わらないほうがいい

眞琴杏樹

あ、あゆ──

透は杏樹の呼びかけに耳を傾けず 黙って部屋を後にした

眞琴杏樹

鮎原さん・・・

透は後から戻って来た 涼太とひとみに 事の経緯を話していた

碧江涼太

なんだよ・・それ

碧江涼太

依頼って・・・

鮎原透

分からねー・・・

鮎原透

杏樹ちゃんも
身に覚えがねーらしいし

柳ひとみ

でも警察も調べて
くれるんだよね?

鮎原透

それがさ・・・

碧江涼太

なんだよ

碧江涼太

なんか問題あんのか?

鮎原透

杏樹ちゃんを攫ったら奴ら

鮎原透

依頼者とは飛ばし携帯で
連絡とってたらしくてよ

碧江涼太

飛ばし携帯?

鮎原透

プリペイド式の
携帯だよ!

碧江涼太

ああ、プリカって事か!

鮎原透

ああ・・・

碧江涼太

なるほどね

碧江涼太

プリカだとショップに
通話履歴の明細が
残らねーから

碧江涼太

身元を割り出すのが
難しいって話か

鮎原透

そうらしい・・・

柳ひとみ

ちょっと待って

鮎原透

ん?どうした?

柳ひとみ

そもそもプリカって何?

柳ひとみ

携帯?

鮎原透

ああ、知らなかったか

鮎原透

プリカってのは

鮎原透

その都度料金を
チャージしながら使う
携帯の事だよ

柳ひとみ

バン○ルカードみたいな?

鮎原透

ああ、そんな感じだな

柳ひとみ

でも今涼太が明細が
残らないって言ってたけど
それってどういう意味?

鮎原透

まんまの意味だよ

鮎原透

普通の携帯だったら

鮎原透

どんな些細な通話履歴でも
ショップに履歴が残るんだけどな

鮎原透

プリカの場合は残らねーんだよ

柳ひとみ

何で残らないの?

鮎原透

プリカが作られた
本来の目的は

鮎原透

携帯料金を限りなく
安く済ませようって理由でな

柳ひとみ

その都度お金を
チャージする訳だから

柳ひとみ

使いすぎ防止になるって話?

鮎原透

ああ、そうだ

鮎原透

けど履歴がショップに
残っちまうと

鮎原透

いざって時に対応
してもらえる訳だから

鮎原透

その分基本料金が
高くなるんだよ

柳ひとみ

ああ!なるほど

柳ひとみ

でも、ショップには
携帯を買ったって
証拠はあるんでしょ?

碧江涼太

いや簡単に言うなよ!

碧江涼太

日本全国に一体
何件のショップが
あると思ってんだよ

柳ひとみ

あっ、確かに

碧江涼太

仮にキャリアを
特定出来たとしても

碧江涼太

そこから更にどこの
店舗かを調べらなきゃ
いけねーんだぞ!

鮎原透

そもそも金払って
女を犯してくれなんて
依頼する奴が

鮎原透

馬鹿正直にショップで
買うなんて考えにくい

柳ひとみ

それもそっか

柳ひとみ

メル○リとか

柳ひとみ

ヤフ○クとかで
買ってるかも
しれないもんね

鮎原透

そうなったら特定
なんて夢のまた夢だ

柳ひとみ

なら、その杏樹ちゃんを
犯すように依頼した女って

柳ひとみ

そこまで考えてたって訳?

鮎原透

まぁ、だろうな・・・

柳ひとみ

頭良すぎて、逆に
気持ち悪いんだけど

柳ひとみ

誰なのよ・・一体

鮎原透

わからねー・・・

鮎原透

まぁ、警察が
調べてくれるのを

鮎原透

期待するしかねーな

碧江涼太

まぁ、望み薄だけどな

鮎原透

つーか杏樹ちゃんは
どうしてんだ?

柳ひとみ

今は部屋で寝てるよ

柳ひとみ

やっぱ疲れちゃったん
じゃないかな?

柳ひとみ

肉体的にも
精神的にも

碧江涼太

まぁ、無理もねーな

碧江涼太

俺が杏樹ちゃんの
立場だったとしても
そうなるだろうしな

鮎原透

まぁ、寝てるんなら
そっとしといてやるか

柳ひとみ

だね・・・

碧江涼太

てかどうするよ?

碧江涼太

明日は丸一日あるだろ?

鮎原透

それなんだよな・・・

柳ひとみ

海に行くわけにも
いかないよね?

鮎原透

まぁ、そうだよな・・

鮎原透

杏樹ちゃんなら
私の事は気にしなくて
いいって言うだろうけど

鮎原透

やっぱ海はなぁ・・・

鮎原透

嫌な事思いださせたく
ねーからな・・・

鮎原透

避けたほうが賢明だろうな

碧江涼太

なら、普通に
観光にすっか・・・

鮎原透

それがいいだろうな

柳ひとみ

ならさ遊園地とかどう?

柳ひとみ

嫌なこと忘れて
パーっと遊べるし

鮎原透

ああ!遊園地ね!

鮎原透

いいじゃん!それ!

碧江涼太

なら明日は遊園地だな

翌日

杏樹、透、涼太、ひとみの4名は

本来の予定であった 海水浴を急遽取りやめ 伊豆市内の遊園地にやってきていた

眞琴杏樹

・・・・・

鮎原透

元気ねーな杏樹ちゃん

眞琴杏樹

私のせいで・・

眞琴杏樹

すいません・・・

柳ひとみ

バカね!

柳ひとみ

何謝ってんの!

柳ひとみ

杏樹ちゃんは何も
悪く無いんだから

柳ひとみ

謝る必要ないよ?

碧江涼太

そうだよ!

碧江涼太

まぁ、昨日は色々
あったみたいだけどよ

碧江涼太

今日は嫌な事全部忘れて

碧江涼太

パァーッと遊ぼうぜ!な!

眞琴杏樹

あ、ありがとうございます

鮎原透

さ!行こうぜ!

眞琴杏樹

はい♫

眞琴杏樹

あ!観覧車!

鮎原透

乗るか?

眞琴杏樹

はい!乗りたいです

鮎原透

でも・・・

透はうんざりした様子で 観覧車の前に出来ている 長蛇の列を見る

鮎原透

すっげー並んでんな・・

眞琴杏樹

うわぁ・・・

鮎原透

40分待ちだってよ

眞琴杏樹

なら仕方ないですね・・

杏樹は残念そうにうつむく

鮎原透

(う・・・)

鮎原透

(そんな顔すんなよ)

鮎原透

ま、まぁ、でも
40分なんて
あっという間だしよ

鮎原透

並ぶか?

眞琴杏樹

いいんですか?

鮎原透

だって乗りたいんだろ?

鮎原透

遠慮なんてするな

鮎原透

俺もちょうど
乗りたかったからよ

鮎原透

(高所恐怖症だけど)

眞琴杏樹

ありがとうございます

鮎原透

ほら!飲み物
買ってきたぜ

眞琴杏樹

わぁ!ありがとうございます

鮎原透

ついでに
ポップコーンも買ってきた

鮎原透

ホラ!クリームソーダ味の
ポップコーンだってよ

眞琴杏樹

え?メ、クリームソーダ?
美味しいんですか?ソレ

鮎原透

さぁ、気になって
買ってみただけ
だからな

鮎原透

とりあえず食ってみなよ

眞琴杏樹

私に毒味
させようとしてません?

鮎原透

い、いや、別に?

眞琴杏樹

・・・・・

鮎原透

わかったよ!食うよ!
先に食えばいいんだろ?

透はポップコーンを口へ運ぶ

鮎原透

・・・・・

眞琴杏樹

どうですか?

鮎原透

ま、まぁ、なんつーか

鮎原透

あ、新たしい味がする

眞琴杏樹

いや、明らかに美味しく
なさそうな顔してますけど

鮎原透

とりあえず食ってみ

眞琴杏樹

じゃあ、いただきます

眞琴杏樹

・・・・・

鮎原透

どう?

眞琴杏樹

あ!甘くて
おいしー!!

鮎原透

まじ?これが?

眞琴杏樹

これって
言っちゃってる
じゃないですか

観覧車

長い待ち時間の末に ふたりはようやく 観覧車に乗ることができた

眞琴杏樹

わぁ!高い!

眞琴杏樹

あ!鮎原さん!
私たちが泊まってる
旅館が見えますよ!

鮎原透

・・・・・

眞琴杏樹

ん?鮎原さん?

鮎原透

・・・・・

眞琴杏樹

鮎原さん?

眞琴杏樹

どうかしました?

鮎原透

い、いや・・・

眞琴杏樹

あ!もしかして・・

眞琴杏樹

高所恐怖症だったりします?

鮎原透

ま、まぁ・・・

眞琴杏樹

あ、すいません

眞琴杏樹

私が乗りたいって
言っちゃったばっかりに

鮎原透

まぁ、1周だけだしな

鮎原透

・・・・・

杏樹は何かを思いつき 立ち上がる

鮎原透

ちょ!バカ!立つなよ!

鮎原透

落ちたらどうすんだよ!

眞琴杏樹

大丈夫ですよ

杏樹は透の隣に座り 手を握る

鮎原透

杏樹ちゃん・・・

眞琴杏樹

私もいますから
大丈夫ですって!

鮎原透

あ、ありがとう・・・

眞琴杏樹

ぷっ

鮎原透

何がおかしいんだよ

眞琴杏樹

いや、昨日の
強かった鮎原さんとは
真逆だなと思って

鮎原透

俺にだって
苦手なものくらいあるよ

眞琴杏樹

なんか可愛い
一面が見れました

鮎原透

うるせーな・・・

眞琴杏樹

ふふふ

杏樹は透の肩に頭を寄せる

鮎原透

杏樹ちゃん・・・

眞琴杏樹

鮎原さんは、自分は
私に相応しくないって
そう言ってましたけど

眞琴杏樹

私はそうは思いません

鮎原透

・・・・・

眞琴杏樹

鮎原さんがなんて言おうと

眞琴杏樹

私の気持ちは変わりませんから

鮎原透

杏樹ちゃん・・・

眞琴杏樹

私は鮎原さんが好きです

眞琴杏樹

これからもずっと

杏樹は透に抱きつき 口づけをした

お節介アゲハと弱虫ヒナタ〜アルメリア〜

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