拓也
(来てみたけど…)
拓也
(やっぱりものすごく緊張する…!!)
ゆき
なっつかしい!!
ゆき
なんか感動する~!
拓也
はは…(笑)
ゆき
小田先生(担任)とかまだいるかな~?
拓也
どうだろう…
ゆき
あ!見て!
ゆき
パンジーまだ咲いてる!
拓也
あっほんとだ!
ゆき
あの頃から全然変わってないや
ゆき
………
拓也
…ゆきちゃん?
ゆき
…あ、ごめんごめん!
ゆき
ちょっとボーッとしちゃってた!
拓也
あはは(笑)
ゆき
…この花には思い出があってね、
ゆき
その時の事思い出してたんだ
拓也
そうなんだ…
拓也
…俺もあるよ
ゆき
えっなになに?
拓也
言わないよ!(笑)
ゆき
教えてよ~!
拓也
あははっ(笑)
ゆき
あ、そうだ!
ゆき
校舎の中入ってみる?
拓也
え!?
ゆき
せっかく来たのに中に入らないなんてもったいないじゃん!
拓也
えー…でも…
ゆき
あ…ごめん
ゆき
わがままだったよね…
拓也
ううん!ゆきちゃんは悪くないよ!
拓也
中に入ろう!
ゆき
本当に大丈夫?
拓也
大丈夫だって!
拓也
もう昔の俺とは違うから
ゆき
ならよかった!
拓也
廊下も10年前と全然変わってないな
ゆき
まぁ浜小は掃除にガチだからね~
ゆき
ホコリ一つもないや
拓也
小学生も大変だな
コツ…コツ…
ゆき
あ、誰か来る
小田先生
………
拓也
小田先生だ…!
拓也
話しかけに行く?
ゆき
うーん…
ゆき
私はいいや
拓也
えっあんな乗り気だったのに?
ゆき
…ごめんね。たっくんは行ってきていいよ
拓也
いや、俺もやっぱり…
小田先生
えっ
拓也
!?
小田先生
…お前拓也か?
拓也
…覚えてるんですか?
小田先生
覚えてるよ!(笑)お前全然変わってないな!
拓也
小田先生は…少し、老けました?
小田先生
俺も年だからな~
小田先生
今日は何しに来たんだ?
拓也
あ、えっと…久しぶりに気になって
小田先生
お前一人で来たのか?
拓也
あ、いや、ゆきちゃ…水瀬さんと一緒です。
ゆき
!
小田先生
ゆきも来てるのか!どこにいるんだ?
ゆき
…ここです
小田先生
お!ゆきか!
小田先生
お前は綺麗になったな!
ゆき
あはは…
拓也
(…?)
ゆき
私の事、覚えてますか?
小田先生
覚えてるよ!
小田先生
人一倍正義感が強くて、いつも拓也の事助けてたよな
ゆき
…そうですね
ゆき
覚えてくれててよかったです
小田先生
俺はこれから仕事あるから、お前ら気をつけて帰れよ!
拓也
はーい
拓也
(ゆきちゃんどうしたんだろう…)
ゆき
………
拓也
もう暗くなりそうだな
拓也
さっき行ったカフェの前で解散しよう
ゆき
…うん
拓也
…どうしたの?
ゆき
あ、いや、なんでもない!
ゆき
緊張してて…
拓也
…そっか
拓也
じゃあもう今日はここで…
ゆき
待って!!
拓也
うわっ!どうしたの?
ゆき
LINE…交換したい
拓也
あ、そうだった!
拓也
いいよ!
ゆき
ありがとう…!
拓也
よしっ
拓也
あまり遅くなるとあれだから、今日はここで解散しよう
ゆき
うん!
ゆき
久しぶりに会えて嬉しかった
拓也
(ドキッ)
拓也
お、俺も…!
ゆき
じゃあね!また明日
拓也
うん!
拓也
………
拓也
(まさか初日でゆきちゃんに会えるとは思ってなかった…)
拓也
(また明日って言ってたけど、ここのカフェにいたら会えるかな…?)
拓也
…可愛かったな
拓也
(!!)
拓也
(つい言葉に出てしまった…!)
拓也
はは…キモイな俺…
拓也
ただいまー
母
随分遅かったわね
母
もうお父さん帰ってきてるわよ
拓也
お、親父…久しぶり
父
…おう
拓也
………
拓也
(やっぱりきまずいな…)
拓也が中学3年生の頃
拓也
…俺、南高行くから
母
南高って、寮のところよね?
母
そこはダメってお母さん言ったでしょ
拓也
どこの高校行こうが俺の勝手だろ
母
あのね、誰のおかげで高校行けると思ってるの?
拓也
誰のおかげって、そういう話してるんじゃねーだろ
母
そもそも南高なんて偏差値があってないじゃないの
母
行こうと思って簡単に行ける場所じゃないのよ
拓也
俺今勉強頑張ってるし
拓也
受験絶対に受かるから
母
受からなかったら?
拓也
一人暮らしする
拓也
すべり止めのところ行って、学費は自分で払う
母
そんなの出来るわけないでしょ
拓也
…うるせーな
父
おい拓也
父
今から勉強なんて頑張ってももう遅い
父
南高は諦めて他の高校を目指したらどうだ
拓也
遅いなんて決めつけてんじゃねーよ
母
今から頑張ったって、もう9月よ?
母
諦めなさい
拓也
…うるせーな!
バタンッ(扉閉めた)
1月
受験発表日
拓也
(緊張する…)
拓也
はぁー…
拓也
(1053…1053…)
拓也
…あ
拓也
………
拓也
(落ちてしまった…)
拓也
(あんなに反対押し切って結果落ちましたなんて、言えるわけがない)
拓也
だせーな、俺…
拓也
一人暮らしするって、学費払うって言っちゃったしな…
母
拓也、南高どうだった?
拓也
………
拓也
お母さん、親父、今までごめん
拓也
俺の考えが甘すぎた
母
………
母
すべり止めのところは?
拓也
…受かった
母
…そう
父
………
拓也
俺、もう荷物まとめてるから
拓也
今まで迷惑かけてばっかりでほんとごめん
母
え?
母
ちょっと拓也、本当に出ていく気?
拓也
うん
拓也
家も、いい場所色々探してるから
拓也
高校も近いし
母
学費はお母さんが出すから!
母
だから、一人暮らしは…
拓也
…もう決めたから
拓也
20歳になったら帰ってくるから
母
待って拓也
拓也
ごめん、じゃあ行ってきます
母
拓也!!
父
もういいだろ
父
あいつが決めたことなんだから
母
………
拓也
(お母さんとはあれから何回か連絡とってたけど)
拓也
(親父とは一回も話してないんだよな)
拓也
(俺の事、どう思ってんのかな)
拓也
(親不孝なやつって思われてるよな…)
父
…おい
父
唐揚げ買ってきた。食べるか?
拓也
え、いいの?
父
後…これ
拓也
お酒…
父
飲んでみたか?
拓也
ごめん…俺お酒苦手でさ…(笑)
父
そうなのか
父
………
拓也
………
父
最近はどうだ?元気にしてるか?
拓也
うん。元気だよ。
父
大学行ってるのか?
拓也
うん。今は夏休みだけど
父
そうか
父
じゃあそろそろ寝る
母
はいはい
母
拓也も早いうちに寝ときなさい
拓也
子供じゃないんだから
拓也
ふぅ…(ため息)
拓也
(今日は疲れたな…)
拓也
(ゆきちゃんにこんな早く会えると思わなかったし、お母さんとも親父とも顔合わせられたし、)
拓也
(なんだかんだ良い一日だった)
拓也
(そろそろ寝るか…)