イヴァン・ブラギンスキ
久しぶりに高熱を出した。
それもかなり苦しい熱。
関節痛のせいで寝返りを打つだけでも痛いし、
喉が損傷しているせいか唾を飲み込むのでさえ一苦労。
頭はぼーっとしてくるし、いつもより体がどんよりしていて重いし。
最悪。
何度か軽い風邪は引いたりしたけど、こんなに酷いのは久しぶりだ。
イヴァン・ブラギンスキ
熱いのか寒いのかわからないし、
水も充分に飲めないし、
姉さんはおかゆ作ってるしで、そばにいてくれる人は誰もいない。
……まるで、あの頃に戻ったみたいだ。
嫌だなあ……またひとりぼっち。
そういえば、彼が話しかけてくれなかったら、僕はずっとひとりぼっちだったのかな。
イヴァン・ブラギンスキ
彼に会いたい。
また、話してほしい。
あの頃みたいに。
楽しそうに家族の話をしてくれる彼の姿を見たい。
屈託のない笑顔で僕の前に現れてほしい……
イヴァン・ブラギンスキ
あれから熱は数日間に渡り続き、
ようやく四日目で回復した。
といっても、まだまだ喉が痛かったり、頭がぼーっとしたりはするけれど、
このくらいは全然耐えられる。
アーニャ・ブラギンスカヤ
イヴァン・ブラギンスキ
アーニャ・ブラギンスカヤ
僕の後を追うように靴を履く姉さんと一緒に玄関の扉を開ける。
イヴァン・ブラギンスキ
扉を開け、少し歩いたところで、僕は驚いた。
なぜなら、彼がキョロキョロしながら、電柱の近くで立っていたからだ。
イヴァン・ブラギンスキ
アーニャ・ブラギンスカヤ
僕は姉さんのことはすっかり忘れ、彼の方へ向かっていっていた。
彼も僕に気がつき、イヴァンさん! と元気よく僕を呼んだ。
嬉しい。
そんな単純な感情にだけ僕は包まれていた。
本田菊
本田菊
そんなことをいう彼に、僕はもうドキドキが止まらない。
イヴァン・ブラギンスキ
イヴァン・ブラギンスキ
本田菊
本田菊
“友だち”
その言葉がやけに重くのしかかる。
そうか、友だち……
彼にとって、僕は友だち止まりなんだろう。
なぜだろう。
嬉しいはずなのに、やけに悲しい。
アーニャ・ブラギンスカヤ
姉さんが僕の肩を持って、僕の方を見た。
頬が触れるくらいまで近く、心臓がドクンと跳ねる。
イヴァン・ブラギンスキ
本田菊
アーニャ・ブラギンスカヤ
姉さんはとびっきりの優しい笑顔と、優しい声色で彼のことを褒める。
僕はギョッとして、かたまってしまう。
そんな優しく話す姉さんの姿なんて、今までで一度も見たことないよ!
アーニャ・ブラギンスカヤ
アーニャ・ブラギンスカヤ
アーニャ・ブラギンスカヤ
本田菊
アーニャ・ブラギンスカヤ
本田菊
アーニャ・ブラギンスカヤ
……ただ、外面がいい姉さんってだけだった。
アーニャ・ブラギンスカヤ
イヴァン・ブラギンスキ
アーニャ・ブラギンスカヤ
イヴァン・ブラギンスキ
アーニャ・ブラギンスカヤ
イヴァン・ブラギンスキ
姉さんはそう言うと、走っていってしまった。
中学校からは徒歩二十分。
さほど遠いわけではない。
今は七時四十七分。
ホームルームの時間は八時三十分だから余裕で間に合う。
だけど、彼は違うだろう。
彼はいつも誰よりも早くに登校し、掃除やらなんやらクラスのためになることをしている。
……僕のスピードに合わせてもらうのは、申し訳ないな
本田菊
イヴァン・ブラギンスキ
本田菊
イヴァン・ブラギンスキ
本田菊
彼は突然胸を押さえて俯き出した。
イヴァン・ブラギンスキ
本田菊
イヴァン・ブラギンスキ
そして、僕たちは他愛のない話をしながら、
二人きりで登校したのだった。
コメント
2件
え!まさか2作も投稿してくださるなんて……!誠に嬉しい限りです…! なんだか物語が進むにつれ、気がかりな点が多くなりそわそわしてしまいます。なので、作品が投稿されるたびに「次はどうなるんだろう…!」と、とても気持ちが高ぶります。やはり緑川さんは流石です…! 今回も最高な作品をありがとうございました!次回もまた、楽しみにしています!