転生したら猫でした

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6日目

朝起きると、俺はatの膝の上にいた

俺もだよat、でもさ………

俺のは愛情、なのかな？

教えてat、お前に全てを注ぎたい

これは、愛情………？

そう言ってatが取り出したのは

あの感度がいいスマホ

メモ機能を起動して俺の前に置いた

なるほど………頭いいな

嬉しい、けど、atは本当の俺を知らない

昔の、何も思わない俺を……

そこでポチポチとスマホを打ってみた

それは、猫だから？

ひん曲がった俺の感情が

そう文字を押させた

なんで？

そうなの？

なんでatがお礼言うの？

俺は

文字を打ちかけて手が止まる

思い浮かばなかった訳ではなく

過去への恐怖と

atから拒否られるような不安で

手が震えた

上書き……

そんな事考えた事なかった

俺は一生、この過去を引きずらないと

生きてはいけないと思ってたから

ずっと離れないと思ってたから

上書き、したい

違う

atとしたい

初めて信じれる人だから

引いた、ような表情ではなかったから

今なら正直に何でも言える気がした

俺、人に戻りたい

戻ってatに恩返ししたい

atが喜ぶ事とか

俺に出来ることをatにしたい

これって、愛情？

何故か涙目になったatは

俺を抱き上げ力一杯抱きしめた

ありがとうat

大好き

あれからぎゅーってれること数十分

嬉しいが、そろそろ苦しい

でもぎゅーきもちいいよ

わかんない

うん、いいよ

そう答えるとatはガッツポーズした

……………なんで？

よくわかんないや

俺に出来るなら

と言われたので素直にatの前に行くと

え、怖………何する気！？

ビクビクしてると喉に指が伸びてきた

え、何！？気持ちいい、けど！？

なんか変な音なってる！！

何の実験してんだよ！！

ヤバい、力が出ないし声キモい

いい加減やめて欲しい………

願いが届いたのか、atは辞めてくれた

今度はなに？

は？ドM？

なんだそれ

atに傷つけるの、何か嫌だな

でもatが望んでる事だしなぁ………

わかった、頑張る

どこにするの？

そんなもんない

と差し出された右手の甲

カリカリと掻いてみても

くすぐったいと言われてしまう始末

怒り、なんて感情もなかったな

怒りも楽しみも悲しみも、何も知らない

知ってるのは、苦しみだけ……

思い出したくもない、苦しみが

頭をフラッシュバックさせる

やめて、やめてやめて触らないで……

お願いだからっ…………

ガリッ！！

優しく抱っこしてくれるatの手には

俺がつけたであろう傷

そこから血が流れ出していた

なのにatは痛いとも言わず

ごめんと言い続けながら

俺を撫でてくれた

そう言って机の上に俺を置いた手の傷を

消毒するように舐めた

ごめんねat、俺弱くてごめん