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#ギャンブル
りんご
904
19
朽華 歌仙
78
コメント
1件
うわ、今回も重い…。でも、だからこそ引き込まれる。 第1問が「嫌われていると思う人」なのに対して、第2問は「自分がわがままだと思う人」。システムがどんどん内面に踏み込んでくるのが巧妙だな。それでいて選ばれた3人の反応がそれぞれ違って、立花瞳子の「私だって怖かった」という言葉が刺さった。あの“鉄の女”の仮面が剥がれる瞬間、すごく生々しかった。 あと、安曇たちの影が消えていないっていう描写が気になる。本当に死んだのか? それとも何か別の仕組みがあるのか…。毎回「次が気になる」で終わるのが、この作品のずるいところだよね。
赤い隔壁の向こうには、3つの人影が残っていた。
生徒ナンバー38・若林安曇。
生徒ナンバー07・小野田摩智。
生徒ナンバー09・加藤麻冬。
3人は赤い光を浴び、椅子の上で動かなくなった。
だが、死んだとは告げられていない。
傷も。
血も。
脱落者の発表もない。
菜々美は、隔壁の向こうを見つめた。
生島菜々美
脱落者は、死んだ直後から輪郭が薄れていく。
けれど、安曇たちの顔も声も鮮明だった。
安曇が曇った眼鏡の奥で泣いたこと。
摩智が怒りに声を震わせたこと。
麻冬が「友達だと思っていた」と訴えたこと。
何ひとつ遠ざかっていない。
だが、確かめる時間はなかった。
【SYSTEM】
赤い部屋に、無機質な声が響く。
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
モニターが切り替わった。
【SYSTEM】
生徒たち
第1問より、さらに感情へ踏み込んだ質問だった。
“嫌われていると思われる人”ではない。
今度は、自分が相手をどう見ているかを問われている。
誰をわがままだと感じるのか。
誰の言動に不満があるのか。
誰を身勝手だと思うのか。
押し込めてきた感情を、3人の名前に変えなければならない。
生島菜々美
タイマーが動き始める。
2:59。
2:58。
2:57。
生島菜々美
それでも時間は待たない。
投票を放棄すれば、自分が脱落する。
菜々美は唇を噛み、11人の名前を見つめた。
相手の一部分だけを切り取り、その人のすべてのように決めつける。
けれど、選ばなければ死ぬ。
生島菜々美
震える指で3人を選び、“完了”に触れた。
穂乃花も、モニターの前で動けずにいた。
新倉穂乃花
誰かの強気な態度。
譲らない意見。
自分の大切なものを優先する姿。
それらを“わがまま”と呼ぶのは簡単だった。
だが、自分にも同じ部分がある。
新倉穂乃花
タイマーが1分を切る。
【SYSTEM】
新倉穂乃花
穂乃花は3人を選び、“完了”を押した。
他の生徒も、次々に投票を終える。
第1問を経験し、指の動きは少し速くなっていた。
そのことが、菜々美には恐ろしかった。
一度誰かを選べば、次からは選びやすくなる。
【SYSTEM】
【SYSTEM】
モニターに“集計中”と表示された。
赤い光の下で、12人の荒い呼吸だけが聞こえる。
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
立花瞳子
最多は、生徒ナンバー18・立花瞳子だった。
鍛えられた身体。
物怖じしない態度。
第1試練を冷静に通過した強さ。
頼もしさは、他者の弱さを理解しない強引さにも見えたのかもしれない。
立花瞳子
“鉄の女”と呼ばれる瞳子の顔が歪み、涙が頬を伝う。
立花瞳子
牧原志穂
続いて、生徒ナンバー31・牧原志穂。
弟の達哉を何より大切にしている。
志穂には家族愛でも、周囲には弟しか考えない身勝手な執着に見えたのかもしれない。
牧原志穂
志穂が椅子の上で激しく身体を揺らす。
牧原志穂
3番目は、生徒ナンバー17・曽我部小恋奈。
7票だった。
背中までの黒髪をツインテールにし、分厚い眼鏡をかけている、“眼鏡っ娘4人組”の1人。
小中学校時代は関東圏のインタースクールへ通い、英語弁論大会で入賞した経験もある。
意見をはっきり述べ、議論でも引かない。
本人には積極性でも、他者には考えを押しつける性格に見えたのかもしれない。
曽我部小恋奈
誰も答えない。
誰が投票したのか、3人にはわからない。
姿の見えない他の11人を、疑うしかなかった。
菜々美は、自分の2票を見つめる。
生島菜々美
代表を引き受けたこと。
生き残ろうとしたこと。
皆を励ましたこと。
善意も、誰かには独善に見えたのかもしれない。
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
立花瞳子
曽我部小恋奈
牧原志穂
【SYSTEM】
機械音が響いた。
瞳子、志穂、小恋奈の椅子が180度回転し、フィルターが消える。
涙と恐怖に歪んだ顔が、赤い光へ晒された。
中央の球体が、再び3方向へ開く。
立花瞳子
牧原志穂
曽我部小恋奈
球体から、3本の赤い光が放たれた。
立花瞳子
牧原志穂
曽我部小恋奈
光が3人を包む。
やがて、力を失ったように項垂れた。
動かない。
だが、血も傷もなかった。
新倉穂乃花
瞳子の胸元が、わずかに上下したように見えた。
赤い光が揺れただけかもしれない。
それでも、3人の存在は薄れなかった。
瞳子の涙も。
志穂が叫んだ弟の名前も。
小恋奈の震えた声も。
すべて、はっきり残っている。
生島菜々美
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
やはり、脱落者とは告げなかった。
3人の椅子が円の中央へ移動する。
隔壁がせり上がり、安曇たちと同じ場所へ姿を覆い隠した。
向こうには、6つの影が並んでいる。
どの影も消えていない。
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
菜々美は、切り替わる直前に気づいた。
選ばれたのは、いずれも多くの票を集めた生徒だった。
だが【SYSTEM】は一度も、票を集めることが不利益だとは説明していない。
生島菜々美
疑問が形になるより先に、最後の質問が表示された。