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私の7歳上の兄は
私が小学生の頃に
癌で亡くなりました。
今回はその時の話をさせていただきます。
兄が入院した時、毎週金曜日の放課後に
お見舞いに行くと約束し
お見舞いに行くと必ず
「何か歌って」と言われ、
その度に兄が好きだった曲を歌っていました。
そしてその内に、頼まれなくても
お見舞いに行った時は
歌うことが定番となりました。
とても優しい兄で
私がある人に怯えた時は
起き上がることもやっとのはずが
「〇〇(私)に近づくな!!」と、
お医者さんが驚いて
駆け込んでくるほどの怒鳴り声をあげて
守ってくれたりもしました
病状が進行し、
寝たきりで、口を閉じることも出来なくなり
声にならない叫び声を
あげ続けるようになっても
私が歌い始めると
声が少し収まり
私は「聞いてくれてるのかな?」
と思いながら歌い続けていました
ある朝の通学途中
山の中の階段を登っていると
私が歌っていた曲が聞こえた気がして
周りを見回したのですが何もなく
一緒にいた友達も
「聞こえなかった」とへんな顔をしていました。
そして学校に着き
授業が始まる直前に担任から
「お兄さんの具合が悪くなった」
と知らされました。
そのまま何事もなく午前の授業は終わり
給食の時間に、またあの曲が聞こえ
今度は「〇〇(私)」と兄の声で
呼ばれました。
その数分後
給食を食べ終わる頃に
担任に呼ばれ
「お兄さんがなくなったので、帰る準備をするように」
と言われました。
担任は私を気遣って
色々と声を掛けてくれましたが
私はなんとなく
行かなければならない気がして
グラウンドと反対方向の
渡り廊下に向かいました。
すると
渡り廊下の向こう側に白い影が横切った気がして
直感的に追いかけました。
影はそのまま下り階段へ向かい
しかし階段を降りることはなく
そのまま宙を歩き
壁の中に入ってしまいました。
そこで私は初めて
"兄が死んだ"と強く感じ
涙と震えが止まらなくなりました
しばらくして
探しに来た先生に
半ば抱えられるようにして保健室に行き
迎えを待ちました。
大きな建物の中で
親に連れられてみた
兄の顔はとてもきれいで
「まだ行きてるんじゃないか」
と思うほどでしたが
私は
「兄はここにはいない」と感じていました。
その後
兄の"体"と共に兄と過ごした家に帰った途端
「兄がいる!」
と強く感じ、階段を駆け上がりました。
母が私を見つけた時には
私はそのままになっていた
兄の部屋のベッドで眠っていたそうです。
それからは
納骨も全て終わっても
薄っすらとですが
「兄がいる感覚」は消えることなく
いまだに近くにいる感じがしています。
そして私の身の回りでは
写真に霧が映ったり
飲み忘れそうになった薬がおちたり
事故にあいそうになったのを
回避できたりと
兄の存在を感じることが
多々起きるようになりました。
end
作者
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