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怪盗 時雨桜

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怪盗 時雨桜

38 - 2人

♥

54

2022年05月22日

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〜ユキ side〜

体格差なんてボクとほとんどない のに、相手にはボクの倍近く 素早さとパワーがある

ユキ

(こんな相手と、どうやって戦えば……!)

ジジ……ッ……

って、ノイズ……通信機からだ

リーフ

『ユキ、そのまま少し耐えられる?』

耐えられる、か……

ユキ

時間にもよる。長時間なら厳しいかも

リーフ

『……分かった。じゃあ、一旦2分だけ耐えて』

“一旦”ってどういうことだろう?

ユキ

了解

とにかく、2分耐えればあっちが 何かしてくれるんだよね

ユキ

(それくらいなら、行ける!!)

ファントム

来ないならこっちから行くよ

ユキ

っ!!

相手から飛んできたパンチを、 素早くしゃがんで避ける

さらにそのまま、相手の足に 向かって蹴りを入れ……

ファントム

おっと

ユキ

(やっぱり避けられるっ……!)

でも、今焦って倒す必要はない

さっきの探偵組と同じように、 できる範囲で手加減して体力の消耗を 抑えつつ、防戦に集中するんだ

ファントム

中々いい攻撃だな。そういうの、俺は好きだよ?

ユキ

そりゃどうも!

会話途中に、不意をついて 攻撃をしかける

ファントム

けど……

ユキ

なっ……!?

目の前から相手が消えて、 一瞬隙を作ってしまった

ユキ

(どこ行った!?)

……後ろ!?

ユキ

くっ……はあっ!

相手の攻撃を受け流して、 もう一度攻撃する

ファントム

そういうことする奴は、嫌いだな

ユキ

っ!?

まずい、カウンター!?

ユキ

(避けきれないっ……!!)

咄嗟にそう思って、思わず目を瞑った

──その時

パシッ

ユキ

っ……?

中々攻撃が来なくて、 うっすらと目を開ける

と、相手の腕が誰かに掴まれていて、 拳がボクの目先で止まっていた

その腕を掴んでいるのは……

ソラ

うちの弟が世話になったな

ユキ

ソラ……!

ボクが耐えてた2分のうちに、 ソラが来てくれてたんだ……!

リーフ

『これで一旦耐えて。時雨桜ならできるでしょ?』

ユキ

もちろん

ソラ

当たり前

ユキとソラは、1人じゃ何もできない

だけど、『時雨桜』なら

ユキ

(2人なら!)

〜ウィズ side〜

ウィズ

はあっ、はあっ……

いつの間にか、身体中が切り傷だらけ

何とか相手をみんなのいない 外に連れ出せたものの、そこからは ずっと防戦一方だった

ファントム幹部

ふふ、子供にしてはよく耐えた方だよ

ウィズ

っまだ……!!

さっき、花火が上がる音がした

それでも騒ぎが起きていないのは、 きっと仕掛けられた爆弾をどうにか 処理できたからだ

ウィズ

(つまり、まだ俺らの作戦は続いてる……!)

こいつのことは、戦っていて分かった

絶対あっちに近づかせちゃいけない、 俺がここで足止めするべきだって

ウィズ

(みんながファントムの作戦を阻止し切るか、俺がこいつに殺されるまで、絶対……!!)

ファントム幹部

もう諦めたらどう? このナイフの切れ味は十分分かったでしょ?

ファントム幹部

ただでさえ傷だらけなんだから、これ以上私のナイフにズタズタにされちゃう前に、逃げたら……

ウィズ

まだだって言ってる!!

相手の話を遮って、攻撃を仕掛ける

ファントム幹部

全く、物分かりが悪いヤツは嫌いだよ

ウィズ

くっ……!

相手の飛ばしたナイフを避けきれず、 腕に掠ってまた血が滲む

傷自体は全部浅いものの、積み 重なってくると、身体中がズキズキと 痛んで動かしにくい

それでも……

ウィズ

まだっ!

ウィズ

(まだ、みんなのところへ行かせるわけには……!!)

……ジジ……ッ……

ウィズ

(ノイズ……?)

一度相手から距離をとって、 通信機に耳を傾ける

リーフ

『ウィズ、聞こえる!?』

リーフ

『っていうかちゃんと生きてる!?』

ウィズ

あはは、かろうじてね

通信機から、聞き慣れた 妹の声が聞こえる

それだけで少し安心してしまった

リーフ

『こっちは作戦の最後まで来てて、時雨の2人が戦ってる。』

リーフ

『でも幹部でもない相手にあの2人じゃ戦力不足で、探偵2人は今別行動中』

ウィズ

すごい、最後まで行けてたんだ

リーフ

『最後まで聞いてっ!』

リーフ

『こっちには戦える人がもっと必要なの! この意味分かるでしょ!?』

貧血なのか、リーフの声が やけに頭に響く

ウィズ

うん

リーフ

『だから……!』

ウィズ

でもごめん

リーフ

『え……?』

ウィズ

こいつをそっちに行かせるわけにはいかない。

ウィズ

幹部でもない相手に手こずってるなら、尚更だよ

リーフ

『……まさか、死ぬまで戦うとか言わないよね?』

ウィズ

さぁ……でも、長話してる時間はなさそう。

ウィズ

こいつは外で足止めしとくから、そっちは……

リーフ

『っ……んな指示……』

ウィズ

……?

リーフ

『そんな指示出してない!!』

リーフ

『ボクは死ぬまで戦えなんて言ってない! “ブラッド”組んだ時にも約束したでしょ!?』

リーフ

『何があっても自分の命を一番大事にするって!』

リーフ

『だから!』

リーフ

『“私”のお兄ちゃんは、とも兄だけだから……!!』

リーフ

『だから、勝手に死なないで……っ』

ウィズ

っ……!!

震えたこの声は……

これは、ウィズの相方じゃない

俺の妹の……九葉の声だ

ウィズ

(あはは、そこまで言われちゃったらなぁ……)

ウィズ

……じゃあ、戦いはもう終わり

ファントム幹部

せっかく待ってあげたのに、まさか逃げるつもり?

ウィズ

そのまさかだよ

ウィズ

怪盗らしく、逃げるが勝ちってね!

相手に背を向けて、全速力で走る

ファントム幹部

逃がさないよ!!

相手の標準が定まらないように、 わざと右往左往しながら逃げる

ウィズ

で、リーフ、どこいけばいい!?

リーフ

『首脳席に最短ルート! 地図は頭に入ってるでしょ!』

ウィズ

人目は!?

リーフ

『もう気にしないでいい!』

ウィズ

了解っ!

相変わらず身体中が痛むけど、 今は全部無視する

首脳席はここからそう遠くないし、 最短ルートも、頭の中で構築済みだ

ウィズ

3分で行くって“時雨”に伝えて!

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