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みひろは林の中に逃げこみ、木々の陰に隠れた
西原
みひろ、どこにいるんだよ？なんで逃げるんだ？
みひろ
来ないで！！
西原
ハハハ、隠れてないで出てこいよ？おれは今とんでもなくいい気分だよ！
みひろ
(そう言えば私も、あの水を飲んでから体調が変だ…)
西原
どこにいるんだ？
みひろは近くにあった石を拾った。 西原が横を通り過ぎた瞬間、茂みから飛び出して石で思い切り後頭部を殴りつけた。
西原
ぎっ！？痛え！！
みひろ
くたばれ！！
西原
やめろって！やめろ！
みひろ
死ねぇーー！！！バケモノ！！！
西原
う、うっわ！！！や、やめ………
みひろ
はぁ、はぁ…。死んだ、の？
西原
……
西原は血溜まりの中で動かなくなっていた
みひろ
え、ちょっと待って！私、西原のこと殺し……。
みひろは地面にへたり込んだ
みひろ
私、なんて事……！？しかも、あの水を飲んだ以上、私もいずれバケモノに…？
みひろはフラフラと立ち上がると近くの崖に近づいた
みひろ
もう、戻れない。何もかも終わり……。
みひろは崖から身を投げた
警察官1
うっ、ひどいなこれは…
警察官2
お互いに殺し合ったあと自殺したのか…
大楠警部補
なあ、お前たち知ってるか？かつてこの廃村で集団自殺や虐殺があったって話。
警察官1
いえ、知りません
大楠警部補
ああ。この村に戦時中、ある宗教団体がいたんだ。不敬罪の嫌疑がかかって憲兵隊が来るってなった時、信者達の間で暴動が起きたらしい。
警察官2
暴動ですか？
大楠警部補
憲兵に自分達が殺されると勘違いしたらしいんだ。ちょうどその日は"トコヤミの夜"っていう教団にとって特別な日だったらしい。
警察官1
トコヤミの、夜…
大楠警部補
そう。その時期は教祖と一部の教団幹部だけしか湧水を飲んじゃいけない決まりになってた…。
警察官1
なぜですか？
大楠警部補
後で分かった事なんだが、その時期だけ繁殖する特殊な植物の成分が湧水に溶け込むらしい。
警察官2
植物とは何です？
大楠警部補
おれも詳しくは知らねえが、シロシビンか何かの幻覚作用をもたらす成分が入ったキノコらしい。
警察官1
じゃあ、信者達は…
大楠警部補
ああ。永遠の命を得ようとして湧水に殺到したんだ。後はお互い幻覚に惑わされて殺し合ったり、自殺したりさ…。
警察官2
ひどい…
警察官1
じゃあ、もしかしてこの学生達も！？
大楠警部補
多分な…。それから報道規制が敷かれ、この村は世間から隠された。今はある大学の調査チームがここを管理してる。
警察官1
なんて事だ…！
警察官2
大楠さん、生存者です！！
大楠警部補
何！！？
警察官1
大丈夫ですか！？
大楠警部補
おい、あんた！何があった！？
？？？
……
警察官2
だめだ、目の焦点が合ってない！
大楠警部補
おい、病院まで連れていくぞ！
？？？
ふ、ふハははははははァ！！！
警察官1
な！？
警察官2
どうした！！
大楠警部補
おい、じいさん！！
警察官2
うわあぁぁーーー！！！
警察官1
ひいっ！！！
大楠警部補
な！！？ぐあっ！！！
真一
はぁ、なんか気持ちのいい夜だね
理子
ほんとだね。なんだか全ての悩みが消えたみたい…。
みひろ
あ、なんだ！みんなここにいたんだね！
西原
みひろ、遅い遅い！
深野
ハハハ！どうやら揃ったようだね。
西原
深野さん。いや、始祖様！こんないい所に連れて来てくれてありがとうございます！
深野
ハハハ！こっち側に来てみると、その良さに気がつくだろう？
みひろ
はい、早く目覚めればよかったです
理子
ね？だから素晴らしい方だって言ったでしょう？私なんか真一に殴られたんだから。
真一
ごめんごめん！
西原
でも、もうそんな事を気にする必要すらなくなったな。
みひろ
うん。もう死ぬこともないからね…
深野
よし、それならそろそろ行こうか。本当のひいらぎ村へ…！大勢が向こうで待ってる。ハハハハハハ！！
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
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