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ニンゲンモドキ

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ニンゲンモドキ 第1話

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2020年08月04日

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人生は運だ

姿も脳も俺がこれが欲しいと決めた訳じゃない

龍ヶ崎 桐人

あっ

田辺 勝利

おわっ!
こっちに飛んできたぞ

龍ヶ崎 桐人

すまんすまん

手から滑り落ちたサイコロは道に転がる

田辺 勝利

そんなポンポン投げてると無くすぞ

龍ヶ崎 桐人

大丈夫大丈夫

龍ヶ崎 桐人

あー4と2が出た

田辺 勝利

それがどうした?

龍ヶ崎 桐人

4と2って言ったら
4が「シ」2が「ニ」で
死に目って言って縁起悪いんだよ

サイコロを拾うと急に田辺が立ち止まる

田辺 勝利

おい…桐人

田辺 勝利

あそこにいる女の子…どうかしたのかな?

龍ヶ崎 桐人

ん〜お腹痛いんじゃね?

龍ヶ崎 桐人

あんまり関わらない方がいいだろ

田辺 勝利

でも、苦しそうだし

田辺 勝利

あの大丈夫ですか?

田辺がうずくまる女の子の肩に手をかけた

振り向いた女の子は…異常な形相でこちらを見る

女の子

…うあぁっっ!!

田辺 勝利

痛!!

龍ヶ崎 桐人

おいっ

女の子が急に俺に近づいて…

女の子

がぁぁぁっ

思わず突き飛ばすと

龍ヶ崎 桐人

わっ!!…引っ掻かれた!?

龍ヶ崎 桐人

なんだお前!

女の子

う…チガウ…!こんな…

龍ヶ崎 桐人

はあ?

女の子はそのまま走っていってしまった

龍ヶ崎 桐人

あいつ元気じゃねーか

田辺 勝利

なんか事件にでも巻き込まれたのかな

龍ヶ崎 桐人

今のでよくそんな感想出るね

龍ヶ崎 桐人

血、出てんぞ

田辺 勝利

本当だ…さっき手を噛まれたみたいだ

龍ヶ崎 桐人

まるで野良犬だな

田辺 勝利

龍ヶ崎もほっぺ…血がついてるぞ

龍ヶ崎 桐人

うっわ…引っ掻かれたとこ血が出てる…

龍ヶ崎 桐人

あのクソ女

田辺 勝利

じゃ、俺こっちだから

田辺 勝利

明日もどうせ一緒に学校行くだろ?

龍ヶ崎 桐人

お前とは本当に腐れ縁だよな

龍ヶ崎 桐人

じゃーな

龍ヶ崎 桐人

あー疲れたな…

お母さん

ちょっと夕飯よ

龍ヶ崎 桐人

んーなんかダルイ

龍ヶ崎 桐人

今日はもう寝ちゃうわ

お母さん

あら、大丈夫なの?

龍ヶ崎 桐人

うるさいな〜

お母さん

はあ、全く帰ってきたと思ったら…

龍ヶ崎 桐人

おやすみー!!

龍ヶ崎 桐人

う〜〜昨日ずっと寝てたけど…

龍ヶ崎 桐人

凄まじくだりぃ…

龍ヶ崎 桐人

もしかしてインフルエンザとかなんじゃ

スマホの時間を見ると結構いい時間になっていた

龍ヶ崎 桐人

田辺遅くね?

龍ヶ崎 桐人

明日もどうせ一緒だろ〜?とか昨日言ってたくせに

龍ヶ崎 桐人

龍ヶ崎 桐人

遅いのって珍しいんだよなぁ

龍ヶ崎 桐人

近くだし行ってみるか

ピンポーン

龍ヶ崎 桐人

すいませーん

龍ヶ崎 桐人

おーい、学校行くぞ〜

龍ヶ崎 桐人

え…先に行っちゃったのかな?

ガタッ…

龍ヶ崎 桐人

んん…?

龍ヶ崎 桐人

今の音…家の中からじゃないのか?

キィッ…

龍ヶ崎 桐人

うわっ!!

龍ヶ崎 桐人

って…

龍ヶ崎 桐人

風で門が開いただけかよ…

龍ヶ崎 桐人

どうしようっかなぁ…

決められない時はサイコロで決めるっ

これが俺の習慣だ

龍ヶ崎 桐人

サイコロさん!

龍ヶ崎 桐人

半(偶数)か丁(奇数)か?
半が出たら中に入るっ!

宙を舞ったサイコロは掌におさまる…

恐る恐る開けてみると…半

龍ヶ崎 桐人

よし…!

龍ヶ崎 桐人

って言ってもどうせ鍵がかかってるしな…窓から様子をみようか…

龍ヶ崎 桐人

…なっ?

龍ヶ崎 桐人

鍵…開きっぱなしじゃないか…

龍ヶ崎 桐人

不用心すぎるなぁ

龍ヶ崎 桐人

あ、あのー龍ヶ崎ですけど…

ドアが開いていた…って事は

もしかしたら怪我して声が出ないとか…

結構ヤバい状態って事もあり得るよな…

龍ヶ崎 桐人

あのーお邪魔しますよー?

…ぅ…ぁぁ…

龍ヶ崎 桐人

やっぱり誰かいるぞ…

急に鼻先を良い香りがかすめる

いや…強烈に美味しそうな匂いがしている…!

龍ヶ崎 桐人

そういえば朝ご飯抜いてたし…

龍ヶ崎 桐人

俺、昨日の夜からなんも食ってなかったわ…

龍ヶ崎 桐人

腹減った〜

龍ヶ崎 桐人

あ…この部屋かな

龍ヶ崎 桐人

…この部屋からだ

龍ヶ崎 桐人

何の匂いだろう…

龍ヶ崎 桐人

あぁ…ヨダレ出てくるなぁ…

強烈な匂いで頭がクラクラする…

一瞬、意識が遠のくような感覚にとらわれたが…こらえる

龍ヶ崎 桐人

あれ…田辺?

龍ヶ崎 桐人

お前いるなら返事しろよ〜

なんだろ…この奇妙な感じは

田辺 勝利

ぅ…ぅ………

田辺は倒れた人の上にうずくまっていた…

龍ヶ崎 桐人

え…おばさん?

激しく混乱した頭で…何をすべきか考える

龍ヶ崎 桐人

田辺!えっと…!

龍ヶ崎 桐人

救急車!!お母さん…死んでない…よなっ!?

俺の声に反応して田辺が振り返った

田辺…は…もはや別の生き物に見えた

龍ヶ崎 桐人

お前…お母さんの事…

…食べてたんだな?

さっきから体に走り続けていた感覚が、 ついに弾けたような…そんな感じがした

ブチッ…ブチブチ!

自分の腕が肥大し…服が裂けていく

田辺がこちらに飛びかかってきた…が

まるで空中に浮かんでいるように…

スローモーションに見える

転んだ時、自然と手を前に出すように…

当然のように…俺の…体は…田辺を掴んでいた

バキッバキバキ…

田辺 勝利

ぐぁあっあっ

田辺の血液が…顔に降りかかった…

龍ヶ崎 桐人

…田辺…?

龍ヶ崎 桐人

おいっ…大丈夫か…?

聞くまでもなかった…

田辺は…中から色々飛び出して…

骨が見えていた…

温かい血液が服を染めていく

流れ出す血液は段々とどす黒くなっていった…

田辺 勝利

…ぅ

龍ヶ崎 桐人

田辺…

顔を改めて見ると皮膚が変色している…

俺の腕と同じ色だ…

龍ヶ崎 桐人

田辺!!!

段々と田辺が冷たくなっていく…

龍ヶ崎 桐人

何が…どうなってるんだよ!?

悲しみと…混乱と…そして…なんでだろう…

なんでこんな時に…

こんな…

美味しそうに見えるんだろう?

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