夫
ある日私は夢を見るようになった
夫
夢なんて今まで一切見ない体質だったのに、その日を境に同じ夢の連続だ
夫
夢の内容はこうだ
夫
夫
妻が私に本を1冊託す
夫
しかしそれはどう頑張ってもページは開けない
夫
夢の中で音もなく妻は口頭で何かを伝えている。
夫
何を言わんとしているのかわからないが、1部だけは聞こえた。
夫
それは
夫
夫
ありがとうという言葉だった
夫
一体何に対しての言葉なのか分からなかった
夫
そのまま1ヶ月半がすぎ、事件は起きた
妻
夫
どうした?
妻
夫
妻は声が出せなくなってしまった
夫
それを気に退職を余儀なくされた
夫
脳内では話したいことたくさんあるよな
夫
よし、
夫
妻に書いて想いを伝えることを勧めてみた
夫
書くようになってから妻の表情は快晴だ
夫
いつの間にか妻は小説家になっていた
夫
うむ、不自由ながらに妻はセンスがあるな
夫
ネットで作品を開示してみないかい?
妻
(あらいいわね。やりましょう)
夫
その日からネットでの活動が始まった
夫
妻の作品は反響を呼び大好評で書籍化にこぎ着ける程だった。
夫
妻の作品が世に受け入れられていく
夫
そんなことが自分の事のように嬉しかった
夫
第2版が出版される頃、映画化が決定した。
夫
だが、
夫
夫
妻は亡くなり、それが遺作となった
夫
その日から妻の夢は見なくなった
夫
ある日妻の部屋を整理していると、1冊の本を見つけた。
夫
表紙には、アナタ用と書かれていた
夫
出版社は...
夫
書いてない、個人制作か
夫
中には喋れなくなってからの私とのやり取りが日記として書かれていた
夫
最後にはありがとうと毎度書かれていた。
夫
最終ページを見て私は涙した。
夫
夫
今まで幸せを与え続けてくれてありがとう。
夫
私に生きる意味を与えてくれてありがとう。
夫
そう書かれていた。
夫
あの夢はこの本の内容をなぞっていたんだとその時気がついた。






