六歳の子役・栗原マキオは、主演に決まった新作ドラマの役作りのため、マネージャーでもある母ミサキとともに“稚児天狗伝説”が残る田舎町・童ノ宮を訪れる。
街に着いたその日から、マキオは奇妙な言動を見せ始める。
これまでに見たこともないはずの山、稚児喰山をジッと凝視し、幼い子供とは思えない口調で、だが涙を滂沱とこぼしながらこう語るのだった。
「――我が命を落としたのは、あの山です」
長い歴史を持つ街の神社・童ノ宮の娘で、案内役として現れた地元の中学生の少女・塚森キミカに誘われ、栗原親子は神事“夏渡りの儀”を巡ってゆく。
その中で徐々に浸透してゆく息子・マキオの変異と伝承が伝える残酷な事実にミサキは次第に追い詰められてゆくのだった。
やがて正体を現す醜悪な異形と顕現する神――。
悍ましくも悲しい神話が再現され、幼い魂は過酷な決断を迫られる。
※童ノ宮には、語り継がれる怪異がいくつもある。『童ノ宮奇談・読切篇』は、その一つひとつを語り部屋から切り出した独立した怪異譚の記録です。どの篇から読んでも構いません。