テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
1,198
散歩
131
丸井とまと
361
「平和だあ…」 校舎の屋上でゴロンと横になり、青い青い空を眺める。 ふわふわしてる雲が、何だかとてものどか。 自習の時間には決まってここで、ぼんやりと空を見ながら過ごす俺。 鐘が鳴ったら昼休みだな とか 今日の学食の日替わりランチは何だったかな とか そんな事を考えてたら。 ガチャリ ドアが、開く音がした。 「…あ、先客がいる」 小さな、女子の呟きに顔を向ければ、小柄な女の子がひょっこりと扉の隙間から顔を覗かせている。 「…サボり?」 聞いたら 「ううん、自由登校だから、サボりじゃない」 と、ちょっとムッとした声が返って来た。 自由登校…。 じゃあ、三年なのか。 年上らしいその女子は、そろそろと扉から屋上へ出て、ううーん、と、大きく伸びをした。 「…君こそサボり?二年でしょ、そのネクタイ」 「…まぁ、そんなもんかな?」 「何で疑問系」 クスクス笑う上級生は、短いスカートを押さえながらその場に座り、カラフルな鞄から派手なノートを一冊取り出した。 キラキラチカチカ。 やけにラメラメな筆入れとノート。 よく見ると、爪もラメラメなマニキュアがお日様の光でチカチカキラキラ。 「…女子って、なんでラメラメ好きかな?」 何となしに聞いてみたら 「可愛いから。可愛いくない?コレ」 と、鞄の中からポーチを取り出し、俺に見せる。 「…可愛いっていうか…目ぇ痛い」 「男子って、何でワカンナイかなあ。あたしのカレシもそう言うのよね」 ぷくっと頬を膨らませる年上女子。 ああ、彼氏、いるんだ なんて。 変にガッカリしてしまったのに。 「…間違い」 「なにが?」 「“彼氏”じゃなくて、もう“元カレ”だった…」 ラメラメの鞄に顔を埋めて。 ラメラメの指先でぎゅっと鞄をにぎりしめ。 年上女子はお昼のチャイムが鳴るまで、しくしく、ずっと泣いてた。 END
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!