あの、波が揺らめいた日。
君と出会い
嘘をつく
きな
ふ~風が気持ちいい‥‥
私。篠川 きなこ は、海辺を散歩していた。
海の上を這うようにして 流れてくる風は、 とても心地がよかった。
家には、母が1人いるだけ。 父と離婚し、弟もそこについていった。
だが、昨日 弟と久しぶりに会ったし、
最近、彼氏もできて、 私は上機嫌だった。 優しくて、大好きな彼。
ふと、海の上にかかっている、 こじんまりとした 橋の上の人影に目をやる
きな
‥‥‥‥あれは、
私が見たのは、 クラスメートの、
自殺の瞬間だった
きな
っな!?コノハ!!
コノハ
えっ?きなっ
きな
なにしてるの?!
コノハ
いや、別に。
ただ。海きれいだなって
ただ。海きれいだなって
私は、落ちようとする コノハを必死につかまえ、 話を聞く
コノハとは、そこそこ 喋る方で クラスではカースト上位に 位置する女子
の。はず。
きな
とても、そんなよーには
見えなかったけどぉ?
見えなかったけどぉ?
コノハ
うっ‥‥それは。
きな
なに?話せないことなの?
きな
私は命を救いたい!
コノハの顔が徐々に 曇っていくのが見えた。
コノハ
私、大好きな彼がいたの
きな
彼?
コノハ
うん。【まなと】っていうんだけど、
きな
まな‥‥と。
コノハ
昨日、他の女と歩いてたの。
しかも、そのあとまた違う女
しかも、そのあとまた違う女
きな
コノハ
なにか。知らない?
きな
まなとって、
確か、彼の名前‥‥
確か、彼の名前‥‥
コノハ
『かれ』?
きな
あっえ?言ってないよ
コノハ
なにか、知ってるの?
『知らないよ』
そのご、コノハは 自殺してしまった
かれ。に散々ともてあそばれ 捨てられたらしい
だが、それもまた
嘘
『あーあ。私の弟が、そんなことするわけないじゃん。』
真実は、こう。
弟のストーカーの コノハは、昨日、私と若く見られるけど、母の二人で会っていた弟を
浮気だと言い張った。
ただそれだけ。
ただ、コノハは、弟に危害を加えることもあった。 包丁で切りかかったこともあった。
だから私は、恨んでいた。 彼女のことを。
『命を救いたい』 なんて、私の嘘だから。