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去華就実の風

第23話 - 結局、似た者同士の盲目的信者

2024年09月06日

#一次創作

orange

次の日、いつもより早く起きたボクは散歩をしていた

というか、最近どんどん寝る時間が少なくなってきているような…？

…ま、気のせいか

今日は予定通りならば雪の大陸に向かうはずだ

もうすぐ風魔も起きてくるだろうし、帰ろうかな…

そう思っていたら、目の前に見慣れた人を見かけた

メシン

(……おや？あれは……)

メシン

……

メシン

おはようございます、蒼空さん

蒼空

……メシン様？

蒼空

お、おはようございます…

蒼空

早起きで偉いですね

メシン

ちょっと早起きしすぎなような気がしますけどね

蒼空

……あれ？風魔は一緒では無いのですか？

メシン

そうですね

メシン

早起きしてしまったのでボクだけで散歩をしていただけです

メシン

もしかして、風魔に何か用ですか？

メシン

それならもうすぐ来ると思いますが…

蒼空

…そうですね

蒼空

ちょっと風魔に話したいことがありまして

蒼空

それに、私も雨嶺の様にこちらに飛ばされてしまいましたので

蒼空

巫女様の決心が実るその時まで、ここにお邪魔させていただきます

メシン

……お邪魔なんてとんでもない

メシン

おかえりなさいませ、空の神の使い様

蒼空

……なんだか、巫女様の子孫様にそれを言われるのは恥ずかしいですね

蒼空

今の私はただの人間ですよ

メシン

……そういうことにしておきますね

なんて、2人で会話を楽しんでいたら

急に風が吹き荒れた

これはもしや……と思い目を開いたら

思い通りの光景で、なんとなく安心した

風魔

…誰かと思えば、蒼空じゃないですか

風魔

どうしました？

蒼空

それよりも登場の仕方ダイナミックすぎるでしょ

蒼空

被害を考えなよ

風魔

ちゃんと守ってる

風魔

巫女様の愛したこの大陸を、俺が傷つけるとでも？

蒼空

……そんなわけないな

風魔

それで、なんの用でここに？

蒼空

ちょっと……ね？

蒼空

時間ある？すぐ終わるから

風魔

……分かった

チラッと、申し訳なさそうにボクをの方を見つめる風魔

メシン

いいよ、ボクは大丈夫だから

メシン

行ってらっしゃい

風魔

…すいません、メシン様

風魔

すぐ戻ります

そう言って、森の方へ消えていく風魔と蒼空さん

やっぱり、2代目様やその時代の神の使い様と話すと

なんだか、自分がどうしても小さく見えて

改めて、何か決定的な違いがあるんだなと嫌でも痛感するのであった

風魔

それで、話って？

蒼空

巫女様から伝言を預かってきた

蒼空

それと、近状の報告

風魔

……巫女様は、元気にやってますか？

蒼空

……私から見るに、多分大丈夫

蒼空

巫女様は覚悟を決めればそれに盲目なまでに真っ直ぐな方だから

蒼空

きっと、なにがあっても隠そうとするから

蒼空

…私達には分からない、が最適解かもね

風魔

…そうか

今、こうしている間にも

巫女様に残された時間は減っていく

ふとした瞬間にそんなことを思い出して

……嫌気が、差す

風魔

それで、巫女様からの伝言とは？

蒼空

それよりも先に、近状の報告を聞いて欲しい

風魔

…………

風魔

……分かった

蒼空

……変わったね、本当に

風魔

……？

蒼空

まぁいいや

蒼空

それよりも、まず1番初めに伝えたいことは

蒼空

沙樹様が、記憶を思い出された

蒼空

そして、巫女様の覚悟を見届けると約束したらしい

風魔

沙樹様が……！？

蒼空

……うん

蒼空

巫女様的には、思い出して欲しくないっぽかったけどね

蒼空

それでも、美愛様は喜んでいたよ

風魔

……じゃあ、未門様は……？

蒼空

そこからが問題なんだよね

蒼空

やはり、｢名前｣がキーワードになっているっぽい

蒼空

しかも条件がかなり特殊

蒼空

恐らく、沙樹様の記憶を美愛様が呼び起こしたように

蒼空

未門様の記憶を呼び起こすのは巫女様に限られるだろうとのことだ

風魔

……それがわかっても、やはり……

蒼空

…思い出させないことを、巫女様は選ばれた

蒼空

そして、ここからが巫女様の伝言

蒼空

｢近々、私の義理の弟のような人を送るから｣

蒼空

｢好きに使ってもらって大丈夫｣

蒼空

とのことだ

風魔

……巫女様に弟様が？

蒼空

義理の弟だ

蒼空

血の繋がりもなければ、だいぶ特殊な家の出だと思われる

蒼空

名前は桃門さんという

風魔

桃門…

蒼空

そう、覚えておいて

蒼空

雨嶺と入れ替わりで来る予定だから

蒼空

その間に、向こうでは最後の調整をする

風魔

……最後の調整？

蒼空

巫女様は、夜桜の名前だけは残したいらしく

蒼空

後継者を選ぶらしい

蒼空

そして、同時に岩永との決着もつける予定だとも言っていた

風魔

…残り時間が、もう少ないと？

蒼空

まぁ、言ってしまえばそういうことになる

風魔

…なるほど

風魔

わざわざありがとう、蒼空

風魔

これからはここに残るつもりで？

蒼空

今のところはね

蒼空

だから、雪の大陸もお供しようかなって思ってる

風魔

…なるほど

風魔

人数は多いに越したことはないからいいけど……

蒼空

……巫女様が心配？

風魔

当たり前だろ

風魔

…ただでさえ、危ない橋を渡っているんだ

風魔

心配じゃない方がおかしい

蒼空

……そう

蒼空

それは私も同じだし

蒼空

何も言わないよ

蒼空

当たり前だと思う

蒼空

……でもさ

蒼空

メシン様に関しては、違うよね？

蒼空

風魔

……あ、まずい

なんて思ったのも束の間

すぐに距離を詰められてしまった

蒼空

メシン様、早起きだね

蒼空

……まるで、睡眠を必要としてないみたい

蒼空

それに、本格的に沙羅の巫女としての力を失いつつあるんじゃないの？

蒼空

……もう、完成しつつあるのに

蒼空

まだ言ってないのは、違うでしょ？

蒼空

沙羅の巫女の血筋で、なにしてるの風魔

蒼空

巫女様を侮辱したいなら相手するけど？

あ、これはちょっと本格的にまずいぞ

もう、正直に話すしかないか

なんて思って、ため息をついた

風魔

分かりましたわかりました…

風魔

話しますよ、ちゃんと

風魔

それに、これは仁詠様にも同意を取ってからやってます

蒼空

本人に取れよまず

風魔

……仕方ないじゃないですか

風魔

吸血鬼の血を多く含んだ沙羅の巫女から受け継げるのは

風魔

吸血鬼の血の方が多いに決まってるでしょう？

風魔

それに、本物の不老不死にはしてません

風魔

それが呪いであり、愛であると俺がいちばんよく知っている

蒼空

…それは、そうだけど……

蒼空

なら、何で死ねるって言うの？

風魔

自害、ですね

蒼空

……は？

風魔

唯一の逃げ道として、自害を残しました

風魔

……というより、それだけは避けることが出来なかったのですよ

風魔

太陽の神の使いの術の全てを使い

風魔

自然の神の使いの力もほとんど消費して

風魔

吸血鬼の力もほとんど使った

風魔

それなのに、自害だけは止められなかった

風魔

……世界に、拒まれている気分だ

風魔

全ては、もう二度と｢沙羅の巫女の不在｣を無くす為

風魔

それが、仁詠様と民がした約束だから

風魔

それに、それを俺も望んでいるから

風魔

もう二度と、あんな状況にしない

蒼空

……

蒼空

(それがおかしいと、なぜ気が付かない…？)

蒼空

(それが、巫女様が傷つくかもしれないと)

蒼空

(なぜ……？)

蒼空

(……いや、待てよ？)

蒼空

(メシン様と巫女様は1度お会いしているんだし)

蒼空

(気が付かないのはおかしい…)

蒼空

(ってことはまさか…)

蒼空

……もしかして、巫女様すらそれを黙認していると？

風魔

そうですね

風魔

この八大陸という土地を、メシン様に一生託すというつもりなのでしょうね

風魔

そうじゃなければとっくに俺は巫女様に怒られてますよ

蒼空

……まぁ、それもそっか

風魔

さて、そろそろ戻りますよ

風魔

いつまでもメシン様を待たせる訳にはいきません

蒼空

……ちゃんと、伝えるんだよ

蒼空

最後には、必ず

風魔

……分かってる

その中に、不老不死だけではなく

俺自身の過去も話せという圧を感じたが

……今だけは、見ないふりをした

どうせ、サラナの城に行けば話してしまうだろうから

俺と、巫女様の出会いを

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