これは
君が好きだったあの夏のお話
私と彼は幼なじみで元々仲が良く
その日は二人で海岸に遊びに来ていた
幼なじみだけど、
私は彼の事が好きだったんだ。
海斗
風が気持ちいいね~
音乃
だねー!
音乃
きれいな海…
海斗
来て良かったねー
そんな他愛ない会話をしていると彼の携帯の着信音が鳴って
海斗
あーもしもし?
彼は電話をする
彼の電話の着信音は好きなアーティストの曲らしくて
何度も電話の音を聞いたりするからいつの間にかその曲を覚えていた
海斗
…ふう
海斗
電話長くてごめんね
音乃
大丈夫だよー
音乃
らららーらーら…
ずっと頭に残っていた彼の着信音のメロディを口ずさむ
海斗
あれ、その曲しってんの?
音乃
なんか海斗の着信音ずっと聞いてたから覚えちゃった(笑)
海斗
そーなんだ
海斗
この曲はね、俺の大好きな曲だから
海斗
音乃にも知ってもらえてまあ嬉しいよ(笑)
音乃
まあってなんなの(笑)
二人でけらけらと笑い合う
それが何よりの幸せだった
海斗
この曲一緒に歌って歩こう
彼がその曲を流し始める
私たちはゆっくりゆっくり、歌いながら歩いていた
しばらくして、彼が言葉を紡ぐ
海斗
音乃、もし俺が死んだらさ
海斗
音乃は生き続けるって約束してくれる?
音乃
え?急に何の話(笑)
音乃
どうだろう…海斗がそう言うならそうする…かな
海斗
そっか、ありがとう
音乃
でもなんで私にその事を頼むの?
音乃
ほらさ、もっと…好きな人とか、そう言う人とかに言うもんじゃないの?
すこし嫌味っぽく言ってしまう
海斗
…それは
海斗
…音乃のこと…が…
次第に彼の声が小さくなっていく
ついには聞こえなくなって
どうしたんだろうと彼の方を見ると…
音乃
…え?
そこには、意識を失っている彼がいた