アンベール邸に夜がやってきた。
アリス
アリス
そう呟いて、アリスはこっそり部屋を出る。
夜に出歩いて、バレることはまずない。
アリス
誰もいない廊下をアリスは裸足で ひた走った。
アリス
アリス
そう呟きつつ、アリスが辿り着いたのは地下の古い扉の前だった。
大きな樫の木の扉。ぶち破るのは難しいだろう。
アリスはそっと周りを確認した
アリス
ポケットから素早く取り出したのはマッチと灯心。
アリス
マッチは柔らかな火を灯し、灯心とお皿に光を落とした。
アリス
と、専ら普通のことを発明ぶってみる。
満足けにしていた彼女はサッと二本の針金を取り出した。
アリス
アリスには平民で生きてきた時の知恵と勇気がある。
あっという間に鍵を開けてしまった。
アリス
アリスはバタンと光が漏れないように、扉を閉めた。
アリス
アリス
そういうと近くの木箱をパカッと空けて、中身を覗き込んだ。
アリス
アリス
ちぎれたネックレスを首にあてがってみる。
アリス
アリス
アリス
アリス
わがままなご令嬢のように振る舞って遊んでみる。
それは11歳の夢見がちな少女の 夢の世界だ。
アリス
アリス
彼女は埃だらけの部屋で舞った。 ボロボロのスカートの裾をドレスのように掴んでいる。
アリス
と、その時。 アリスの足元のレンガが僅かに揺れた。
アリス
アリス
なんの気もなしに アリスはそのレンガを 持ち上げてみる。
アリス
アリスは信じられない気持ちで、レンガの穴を覗き込んだ。
アリス
アリス
空気が流れ込んだからだろうか。 ふと、独特な匂いが立つ。
アリス
アリス
アリスは周りのレンガを退けて 自分一人が通れる空間を広げる。
アリス
レンガの床を何とかすり抜けて
アリスは慎重に階段を降りていく。 足がレンガを擦る度、埃が舞う。
アリス
アリス
アリスの声が少し震えている。 空間は思ったより広くて、アリスの声が吸い込まれていく。
灯心で点した火では、眼下に広がる 暗闇を 照らしきれない。
アリス
アリス
アリス
と、その時。
光が僅かに何かを捉えた。
それはとても美しく、目を奪われるような
宝石箱だった。
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