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✏️少し長い作品です✏️

今日は2ヶ月に1度の電車の旅。

この旅を始めてから1年位になるだろうか。

一期一会を求めて、

行先をあえて決めないのがこの旅のルール。

適当な電車に乗り、

適当な駅で降りてその土地の美味しい物を食べたり、

その土地の人と話したりするのがこの旅の目的だ。

今朝は雨が降っていたが

お昼過ぎには止んだようだ。

折り畳み傘についた水滴は

すっかり乾いてしまっていた。

電車から海が見えて来たので途中下車して

お昼は新鮮なネタがたくさん乗った海鮮丼にした。

昨日はワクワクし過ぎてあまり眠れなかったせいか、

満腹感と電車の心地よい揺れですぐ眠くなってしまった。

まぁ急ぐ旅でもないし寝てしまおうか。

電車内が騒々しくなってきて目が覚めた。

いつの間にか帰宅ラッシュの時間のようだ。

電車内でかわされる方言で

随分遠くまで来た事が分かった。

ゆうた

あ!忘れ物!

傘を手すりにかけたまま降りてしまった女性を

追いかけて電車を降りてしまった。

急いで追いかけてなんとか傘を渡せた。

すぐに帰ろうとすると、

その女性から喫茶店に誘われてお茶をする事に。

今日も素敵な出会いに感謝。

あなたと出会ったのは

一ヶ月前の今日。

「運命」なんて大げさかもだけど

笑顔のあなたに一目惚れしたのを

思い出したよ。

傘を電車に置いたまま下車。

気付くと、あなたが

苦しそうに息を切らして

懸命に

こちらに走って渡してくれた。

最初ナンパかと

失礼な事を思ってしまったけど

すぐに間違いと気付いて、

なつみ

せめてお礼を

って言ったら

ゆうた

そんなつもりじゃないから

って笑顔で

立ち去ろうとするあなたを

近くにあったカフェに誘った。

冷たかった

手と心が

とってもあったかくなった。

何も考えずに誘ったのに

ニッコリと微笑んでくれるから

ぬくもりを感じて照れ笑いしてしまった。

ねぇ、このコーヒーを

飲み干したらもうサヨナラだよ。

半分までコーヒーを飲んだ私にあなたは

一言、

ゆうた

涙の跡が付いてるよ

って

ふっと頬に手を添えてくれたのに

なつみ

平気

って思わず言ってしまった。

本当は今にも泣き出してしまいそうだったのに。

前に座るあなたを

見る事ができずに

無言…

目から涙が。

もう、なんでこんな時に出るの。

ゆうた

やっぱり我慢してたんだね

ゆうた

ゆっくりで大丈夫だよ

って

横に座って、カフェ

ラテを頼んでくれた。

理由も聞かず頭なでなでしてくれるから

涙腺崩壊。

なつみ

ごめんなさい

連呼してたら

ゆうた

ろくでもない男の事なんて

ゆうた

忘れて、俺にしとけ

だって。

んっ!ありがとう。

家政婦

失礼致します。

家政婦

なつみ様でよろしいでしょうか?

なつみ

はい。

家政婦

ゆうた様のご依頼によりお迎えに参りました。

家政婦

あちらに車を用意しておりますのでご案内致します。

家政婦

…こちらです。どうぞ。

家政婦

今回なつみ様がゆうた様の食事会に参加されるのは初めて、でしたね。

家政婦

そんなに緊張なさらなくても大丈夫ですよ。

なつみ

あ、はい。

家政婦

すでにゆうた様のご友人がお見えですし、

家政婦

なつみ様のお知り合いもいるかもしれませんね。

家政婦

ゆうた様から、なつみ様はとても綺麗だと聞いておりましたが、

家政婦

本当にお美しくて驚きました。

家政婦

今までたくさんの女性を見てきましたが、

家政婦

なつみ様が一番お美しい。

なつみ

そんな…恥ずかしいです。

家政婦

ゆうた様からプレゼントをお預かりしております。

家政婦

右手側にある大きな紙袋を開けてみて下さい。

なつみ

はい。…これでいいんですか?

家政婦

食事会にはその衣装を着てきて欲しいとの事ですので

家政婦

……なつみ様?

家政婦

寝たみたいね。

家政婦

ふっ、まさか紙袋から催眠ガスが出るなんて思いもよらないわよね。

《ゆうたへ電話》

家政婦

ゆうた様、準備が整いました。では後ほど。

《ゆうたと合流する》

家政婦

目をつぶっているお姿もとてもお美しいですね。

家政婦

なつみ様の白い肌にこの黒い衣装がとても映えますね、ゆうた様。

ゆうた

痩せすぎではないだろうか?

家政婦

そ、そうですね。

家政婦

ここへ運んだ時も軽いと思いましたが、

家政婦

少し衣装がゆるいかもしれませんね。

ゆうた

この女性を僕の理想に近付けて欲しい。

家政婦

あ、はい。分かりました。

家政婦

ではこれから毎日、なつみ様のお食事は私が用意致します。

家政婦

ゆうた様のご希望の、少しふっくらとするように。

ゆうた

どうだい?この家にはもう慣れたかい?

ゆうた

君のこのまっすぐで長いツヤのある黒髪、

ゆうた

パッチリとした二重まぶた、

ゆうた

長~いまつげ、

ゆうた

茶色い瞳、

ゆうた

血色が良くぷっくりとした唇、

ゆうた

透明感のあるツヤツヤな白い肌。

ゆうた

はぁ~、実に美しい。

ゆうた

ため息が出るほどに君は美しい!

ゆうた

今日の美しさは完璧だっ!

ゆうた

ここへ連れてくる前、君は痩せすぎていたからね。

ゆうた

痩せすぎは美しくない。

ゆうた

君には毎日美味しいものを食べさせたおかげで

ゆうた

完璧な美しさに仕上がった。

ゆうた

今さら抵抗してもムダだよ?

ゆうた

君はこれから僕のコレクションの一部になるんだからね。

ゆうた

僕に選ばれるなんて光栄だとは思わないか?

ゆうた

さぁ覚悟は決まったかい?

《捜査資料を見ながら》

刑事

10代から20代の女性ばかりが1年間で6人失踪か~。

刑事

住んでる所はバラバラだし、知り合いなわけでも無いみたいだし。

刑事

う~ん。
こうやって写真を並べてみると、

刑事

黒髪でパッチリ二重まぶたに厚めの唇。

刑事

な~んか皆似た顔に見えるんだけど、

刑事

最近の子ってこういう顔の子が多いのかなぁ。

《捜査チームから電話がかかってくる》

刑事

え?Nシステムから犯人の家が特定できたって?住所は…うん、うん。分かった!

《現場に到着》

刑事

よしっ!ここね。

刑事

はぁ~なんかお屋敷みたいで個人宅とは思えない位大きい。

刑事

しかも防犯カメラが(指差して数えてる)

刑事

1、2、3、4、5台と見るからに怪しい。

刑事

それじゃあ変装して突入するよ。

《犯人宅のドアベルを鳴らす》

刑事

すみませーん、お届け物でーす。

刑事

あっ大きい物なんで中まで運びます。はい

刑事

突入~
…犯人確保!

刑事

女性一人発見っ!

刑事

あなたはなつみさん?

なつみ

はい。

刑事

あなたが家族にきちんと行き先を伝えてたおかげで助ける事ができたわ。

刑事

立てる?
良く頑張ったわね、もう大丈夫よ

~完~

この作品はいかがでしたか?

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