潤間朝日
潤間朝日
良いんだよ)
潤間朝日
バレたくないのに)
潤間朝日
潤間朝日
詮索されたくない)
潤間朝日
潤間朝日
通したいんだ)
朝日は思い悩んだ表情のまま 自宅のドア前まで来ていた
潤間朝日
潤間朝日
泣き顔見せれない)
潤間朝日
朝日は両手で自分の頬を パシンと叩いて気合いを入れる
潤間朝日
潤間朝日
朝日が元気に呼びかけるが
潤間朝日
いつもなら笑顔で 駆け寄ってくるはずの 若葉の姿がない
潤間朝日
潤間朝日
朝日が不意に足元を見ると 乱雑に脱ぎ捨てられた 運動靴があった
潤間朝日
潤間朝日
潤間朝日
朝日の脳裏に 嫌な予感が思い浮かぶ
潤間朝日
朝日は一抹の不安を感じながら 部屋へと走っていく
潤間朝日
朝日が部屋に入ると
潤間大和
潤間大和
ほろよい気味の大和が 上機嫌と言った様子で 朝日に呼びかける
潤間若葉
若葉はうつむいたまま 椅子に座っていた
潤間朝日
潤間朝日
朝日はテーブルの異様さに気付いた
潤間朝日
テーブルの上には 出前でも取ったのだろうか 大量の寿司が敷き詰められたパックが 無数に置かれていた
潤間朝日
どこにあったんだ?
潤間大和
潤間大和
潤間大和
潤間朝日
潤間大和
大和は朝日に 何かを投げつける
潤間朝日
朝日は不思議そうに それを手に取る
潤間朝日
潤間朝日
それを見た瞬間、朝日の顔は 血の気が引いた様に真っ青になる
潤間大和
潤間大和
溜め込みやがって
潤間朝日
大和が朝日に投げつけたものは 朝日が必死にバイトをして 稼いだ給料を貯金していた通帳だった
潤間大和
潤間大和
潤間朝日
潤間朝日
って言ってるくせに
潤間朝日
俺が必死に稼いだ金だ!
朝日は激昂し 大和の胸ぐらを掴んで詰め寄る
潤間大和
男がグチグチ
潤間朝日
潤間大和
おかげで稼げた様な
もんだろーが!あぁ?
潤間朝日
潤間大和
潤間大和
ホームレスだったら
潤間大和
潤間大和
潤間朝日
言ってんだよ!
潤間大和
潤間大和
家があったからだろ?
潤間朝日
潤間大和
どこも雇っては
くれなかったろ?
潤間大和
潤間大和
潤間大和
家に置いてやってた
俺のおかげだ!
潤間大和
潤間朝日
潤間朝日
話があるか!
潤間朝日
朝日の言葉はそこで途切れた
潤間朝日
潤間朝日
潤間若葉
涙を浮かべてうつむく若葉の頬は 腫れ上がり鼻からは血も出ていた
潤間朝日
潤間若葉
お兄ちゃん・・
潤間若葉
朝日が帰宅してくる数時間前
潤間若葉
潤間大和
潤間若葉
何やってるの?
潤間大和
潤間大和
潤間大和
貯金してやがったよ
大和は不敵な笑みを浮かべ 若葉に通帳を見せつける
潤間若葉
潤間若葉
潤間大和
潤間大和
潤間若葉
若葉は大和の手から 通帳を奪い取る
潤間大和
潤間若葉
寝る間も惜しんで
必死に貯めたお金
潤間若葉
潤間大和
何の真似だ?
潤間若葉
潤間若葉
若葉は通帳を 抱きしめる様に その場にうずくまる
潤間大和
潤間若葉
潤間若葉
潤間大和
潤間大和
大和は若葉の腹に足蹴りする
潤間若葉
潤間大和
潤間大和
大和は若葉の頬を 何度も平手打ちしながら 通帳を奪い取る
潤間若葉
それだけはやめて!
潤間大和
口答えすんな!
大和はそう捨て台詞を吐くと 通帳を持ったま部屋を後にする。
潤間若葉
お金が・・・
潤間朝日
朝日は怒りに満ちた表情で うつむき拳を握りしめる
潤間若葉
お兄ちゃん
潤間若葉
大切なお金なのに
潤間若葉
潤間朝日
潤間大和
潤間大和
家を提供してやったんだ
潤間大和
使ったってバチは──
潤間朝日
朝日は怒りのままに 大和に殴りかかる
潤間大和
大和は殴られた衝撃で 椅子から転げ落ちる
潤間若葉
若葉は、いくら殴られようとも やり返さず耐えていた朝日が 大和を殴った事で 驚きを隠せず呆然と立ち尽くす
潤間朝日
朝日は倒れ込む大和の胸ぐらを掴む
潤間大和
潤間大和
潤間朝日
好きなだけやるよ!
潤間大和
潤間朝日
金の事じゃない!
潤間大和
潤間大和
潤間朝日
手をあげた!?
潤間若葉
潤間朝日
言う通り
俺は他人だよ!
潤間朝日
潤間朝日
唯一の家族だろ!?
潤間朝日
躊躇なく殴れる?
潤間朝日
あるはずのあんたが
潤間朝日
潤間大和
説教か?あ?コラ!
潤間大和
ねーぞガキがぁ!
潤間朝日
潤間朝日
言われてんじゃねーよ
潤間大和
潤間若葉
潤間若葉
潤間若葉
若葉は言い合う2人に戸惑いながら ただ涙を流すことしかできない
潤間朝日
潤間若葉
潤間朝日
潤間朝日
何するか分からない
潤間朝日
及ぶかもしれない
潤間朝日
潤間若葉
お、お兄ちゃんが・・
潤間朝日
って言ってんだ!!!
潤間朝日
朝日は声を荒げる
潤間若葉
潤間若葉
潤間若葉
若葉は涙を流しながら 部屋から出ていく
家を飛び出した若葉は 涙を流しながら 薄暗い住宅街を走る
潤間若葉
助けを求めたら良いの)
潤間若葉
潤間若葉
潤間若葉
潤間若葉
潤間若葉
お兄ちゃんがずっと
耐えてくれてた意味が)
潤間若葉
お兄ちゃんの
命の方が大事!)
若葉はスマホを操作して 茉莉奈に電話をかける
潤間若葉
潤間若葉
八雲賢斗
夜の学校の職員室では 賢斗が朝日の生徒資料を見つめながら 何やら顔をしかめていた
椿茉莉奈
椿茉莉奈
茉莉奈は賢斗のデスクに 缶コーヒーを置く
八雲賢斗
ありがとうございます
椿茉莉奈
八雲賢斗
椿茉莉奈
八雲賢斗
八雲賢斗
気になる事を
言われましてね
椿茉莉奈
椿茉莉奈
八雲先生のクラスの?
八雲賢斗
椿茉莉奈
八雲賢斗
虐待を受けている
可能性があるって
椿茉莉奈
八雲賢斗
いつも顔に傷をつくって
登校して来ますよね?
椿茉莉奈
八雲賢斗
って事ですよね?
椿茉莉奈
八雲賢斗
綺麗すぎるって言うんです
椿茉莉奈
八雲賢斗
当然潤間だって
八雲賢斗
椿茉莉奈
椿茉莉奈
喧嘩じゃなくて
一方的な暴力だからね
八雲賢斗
誰かを殴ってるとは
思えないくらいに
八雲賢斗
綺麗だって・・・
椿茉莉奈
それが本当なら
変な話よね・・
八雲賢斗
疑問が解決するんですよ
椿茉莉奈
八雲賢斗
八雲賢斗
他校の生徒との
喧嘩に明け暮れている
八雲賢斗
椿茉莉奈
八雲賢斗
してるんだろう?って
椿茉莉奈
椿茉莉奈
喧嘩してるんだし
八雲賢斗
警察からの苦情や通報が
一件も無いですよね?
椿茉莉奈
八雲賢斗
喧嘩している場面に
遭遇してない
八雲賢斗
喧嘩によるものじゃ無くて
八雲賢斗
傷なんだとするなら
八雲賢斗
椿茉莉奈
八雲賢斗
何で潤間は誰にも
言わないんだ?
八雲賢斗
八雲賢斗
生まれるんですよね
椿茉莉奈
八雲賢斗
椿茉莉奈
求めたりしたら
椿茉莉奈
受けるかもしれない
椿茉莉奈
誰にも打ち明けられない
椿茉莉奈
辻褄合わない?
八雲賢斗
八雲賢斗
こうしてる今も──
プルルルル
賢斗の言葉を遮る様に 茉莉奈のスマホから 着信音が鳴り響く
椿茉莉奈
八雲賢斗
八雲賢斗
椿茉莉奈
茉莉奈はそう言うと スマホの画面を確認する
椿茉莉奈
八雲賢斗
椿茉莉奈
八雲賢斗
八雲賢斗
椿茉莉奈
椿茉莉奈
椿茉莉奈
珍しいわね
八雲賢斗
椿茉莉奈
茉莉奈は若葉からの 突然の着信を疑問に思いながらも 通話ボタンをタップする