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主。
主。
主。
主。
Atに想いを吐き出した後逃げるように会場に向かったオレは、 あらかじめ義母から渡されていた招待状を提示して 門番に大広間に通してもらった後、キョロキョロと辺りを見回した
Mz
多くの若者が王子に振り向いてもらおうと王子の好きな色らしい 黄色の服を着ている中で、自分を見失わず黄緑色の衣装を着ているPrは いい意味で目立っていて簡単に見つけられた
Mz
Pr
Pr
オレに返事をしながらこちらを振り向いたPrは、 目を見開いて固まった
Mz
Pr
Pr
Mz
Pr
Mz
Mz
Pr
Mz
やはり綺麗になったからだろうか、オレは会場でもかなり目立っており、 多くの参加者がオレをじっと見て呆然としている
ざっと目を通したところ金持ちも何人かぼーっとしており、 いつの間にかオレはAtの魔法で立っているだけで人々を魅了するほどの 圧倒的な美貌を持つようになったらしい
Mz
Mz
Pr
Mz
Pr
Prの方からなんだかオレをからかうような言葉が聞こえてきたので オレがニコッと笑って尋ねるとPrは即座に誤魔化した
Mz
Mz
Pr
Prはニコッと悲しげな大人びた笑みを浮かべると、 子供の頃の夢を諦めて大人になることを決意した青年のように 静かで、しっかりしていて、それでいて力強い声音でこぼす
Pr
Mz
Mz
Pr
「恋を捨てる」ということが どんなに辛くて苦しくて向き合いたくないことなのか、 オレには痛いほどよくわかる
外面や政力分布、家の利益や名声など、 愛し合う者たちを引き裂く要因というのは この世界には溢れかえるほどたくさんあって
平民だろうと上級平民だろうと商家だろうと貴族だろうと、 自分の立場や家同士の関係で自由に恋ができないのは同じである
Prは、Akの隣に並ぶためには自分の身分が足りないと諦めた
オレは、Atの隣に並ぶためには自分の立場が不利すぎると諦めた
AkとPrは、オレから見て間違いなく愛し合っている
Atとオレも、心の奥底ではきっと愛し合っていた
でも、オレたちの恋は、両想いなのに叶わない。
その場に流れたしんみりとした空気を無理やり吹き飛ばすように、 Prが明るすぎる笑顔を浮かべてオレに言った
Pr
Mz
二人でしょーもないことを話していると時間というのはすぐに過ぎるもので、 オレはPrとたくさん話すために比較的早い時間に会場に来たのだが、 いつの間にか舞踏会が始まって王子が入場する時間になった
召使
そんな上品な召使の声が響いて、 大広間の扉が開いて煌びやかな衣装を纏った青年が現れる
見覚えのある顔に、オレとPrは目を見開いた
Mz
Pr
彼がそう無理に笑ってこぼした時、王子とおぼしき青年が口を開いた
Ak
Ak
オレがあの日夜会で見たAkとは似ても似つかない姿に呆然としていると、 Prはオレの服の裾をぎゅっと握って涙を堪えている
Pr
Mz
こちらを向いて目を見開いたAkの姿と その瞳に揺れるオレへのかすかな嫉妬の情に、オレは確信を得た
Mz
こいつらもまた、両想いだった。
Ak
彼はその瞳に間違いなく恋が生み出す衝動と怒りを揺らしていたのに、 すぐにさっきと同じ完璧な笑みを浮かべて繕う
ふいっと別の方向を向いてしまったこの国の未来の王は、 もうすでに現実に生きる大人のように微笑んでいた
Pr
Pr
Mz
Pr
オレがニコッと笑ってお手洗いに向かうという彼を見送ると、 Prはちょっとだけ安心したように微笑んで大広間を後にした
Ak
Ak
Mz
なんだかAkに失礼なことを考えられてる気がして 他の人にはバレないようにこっそりあいつの綺麗な顔面を睨んでると、 楽団が演奏を始めたので参加者はそっちに気を取られる
その隙にこちらにやってきたAkは、オレに少し苛立った様子で声をかけた
Ak
Mz
Ak
Mz
Ak
Mz
オレはいつものノリでそう返してしまったが、 目の前の彼の顔が曇ったのを見て自分の失言を理解した
Mz
Ak
Ak
Ak
Mz
Ak
Mz
彼はオレの言葉にちょっとだけ笑うと、 少しだけためらうような表情を見せた後オレに言った
Ak
Mz
ニヤニヤしながらそう返したオレに Akはちょっとだけいつも通りの笑顔を浮かべ、いつものノリで返してくる
Ak
Mz
Mz
Ak
Mz
Ak
Akの返事にオレが笑っていると、でも、と彼は続けた
Ak
Mz
Ak
舞踏会に参加している国王陛下の顔をチラリと見ると、 彼はオレとAkを見ながら何やら慌てたような顔をしていた
それを見てなんとなくことのあらましを察したオレは、 目の前で辛そうにしているAkに尋ねる
Mz
Ak
Mz
少しだけ不思議そうな顔をしている友人に、オレはニヤリと笑って言った
Mz
あなたがこの会場で一番美しいと思っている方、 オレではありませんよね???
オレが皮肉とイジる気持ちたっぷりにそういうと、 Akはその太陽のような輝きを秘めた綺麗な瞳を大きく見開いた
あなたがこの会場で一番美しいと思っている方、 オレではありませんよね???
Ak
Mzちがニヤニヤしながら放った言葉に、オレは目を開いて固まった
そんなオレの反応を見て楽しそうに笑ったMzちは、 その蜂蜜色の瞳に優しい友愛を混ぜて微笑む
Mz
Ak
Mz
その時、オレは父上の言葉を思い出す
王様(いい人)
王様(いい人)
王様(いい人)
その会場で、お前が一番美しいと思う者に求婚しなさい。
今覚えばあの時の父上は、“お前が”の部分を妙に強調しているように感じた
当時はそこまで気にも留めなかったが、 その意図を理解してオレが弾かれたように彼に目を向けると、 父上はオレを優しい目線で見つめて頷く
Ak
Mz
Mz
Ak
ニコッと大人びた笑みを浮かべた誰よりも美しい青年を視界から外し、 オレはお手洗いから帰ってきたらしい彼に声をかける
Ak
Pr
驚いた顔をしている彼のあの日と変わらない若葉色の瞳を射抜いて、 オレははっきりと最愛の彼に告げた
Ak
Pr
彼は可愛らしくその白い頬を赤く染めると、 ちょっとだけ期待するような目線でオレを見て了承の返事を返す
Pr
横に垂れていた彼の手を慣れ切った上品な仕草で優しくとって、 オレは参加者が楽団に集中している間に彼をバルコニーまでエスコートした
美しい満月が降り注ぐ王城のバルコニーには、 会場の喧騒から切り離されたような綺麗で静かな空間がそこにある
月の光を受けて輝くPrーのすけはこの会場の他の誰よりも綺麗で、 オレは思わず言葉を忘れて見惚れてしまった
Ak
Pr
Pr
Ak
間髪入れずに迷わずそう答えたオレにPrーのすけは目を見開く
求婚の言葉を紡ぐ、その前に話さなきゃいけないことがあると オレは口を開いて目の前の愛らしい最愛の人に告げた
Ak
かくれんぼのこと、覚えてる?
Pr
Ak
Ak
Ak
Pr
戸惑いの表情を浮かべているPrーのすけに対して、 その戸惑いが本当に心当たりがなくて困っているのか それとも別のものなのか見当がつかなくてオレは口ごもる
その場には数分間沈黙が落ち、 どうしたものかと思っているとPrーのすけが啜り泣く声が聞こえてきた
Ak
Ak
オレがそう言って次の言葉をどうしようかと考えていると、 Prーのすけがオレの服の裾をぎゅっと掴んで何かを言った
Pr
Ak
上手く聞き取れなくてオレがそう反応すると、 Prーのすけはその瞳を涙でうるうるとうるませながら もうちょっと大きい声でもう一度同じ言葉を繰り返してくれた
Pr
その言葉が何を意味するのか、すぐに理解したオレは 偽りじゃない本当の笑顔を浮かべて彼の質問に答えを返す
Ak
Pr
Prーのすけはオレの答えを聞いてその瞳に浮かぶ期待をさらに濃くすると、 同じようでいて彼にとってはきっと別の意味を持った 大切な質問であるのだろう問いをオレに渡す
Pr
月に照らされて映える彼の若葉色の綺麗な瞳をああ綺麗だな、と ただ馬鹿の一つ覚えのように思いながら見つめて、 オレは自分の中で何年も貯めてきた甘さを瞳に宿して答えた
Ak
Pr
彼の瞳に明確な恋心と期待が揺れたのを見て、 オレは彼の足元に跪いて彼専用の求婚の言葉を紡いだ
Ak
あの日の約束を、守らせてもらえませんか?
オレが差し出した手をそっと握ったPrーのすけは、 その顔を喜びと恋心と感動で染め上げながら言ってくれた
Pr
そのままPrーのすけに引っ張られて立ち上がったオレは、 彼の瞳に閉じ込められたこの世のどこよりも美しい草原を この国の王族の証とも言えるオレの瞳に埋めこまれた太陽で照らす
草花と太陽はちょっとずつ互いに引き寄せられて、 どちらからともなく口付けを交わした
しばらく触れた唇は体の酸素が足りなくなると同時に 名残惜しそうに離れるが、オレは目線を彼の草原から外さない
夢見る乙女のようにふわふわとこちらを見ている彼に微笑んだオレは、 その耳元で甘く優しくささやいた
Ak
Pr
そう言葉を交わしたオレたちは、 十何年もの時を経てやっと結ばれた想いをさらに強く繋ぐように もう一度熱い口付けを交わす
オレたちの心が重なって交わる瞬間を見守っていた月光が、 物語を破って自力で選んだ自分なりの愛を貫いたオレたちを祝福するように 静かで穏やかで優しい光を両想いの二人が愛を交わすバルコニーに注いだ
ゴーンゴーンと鳴り響く王城の鐘が、今日も国民に日付の変わり目を知らせた
結ばれた友人たちを確認して12時の鐘と共に帰宅したオレは、 次の日の朝に案の定義母と義姉に怒鳴られた
意地悪な義母
意地悪な義姉
意地悪な義姉
Mz
Mz
Mz
意地悪な義母
意地悪な義姉
意地悪な義姉
Mz
Mz
Mz
Mz
意地悪な義母
こんな時だけ義母という立場を使ってくる彼女に、 オレは苛立ちながらさらに言い返す
Mz
Mz
Mz
Mz
意地悪な義姉
Mz
Mz
Mz
Mz
Mz
Mz
意地悪な義母
義母が拳を振り上げ、オレの顔面を殴りつける
意地悪な義姉
意地悪な義母
オレを乱暴に屋根裏部屋に放り込んで外側から鍵を閉めた二人に、 オレは計画通りとニヤリと笑った
Mz
Mz
大好きなAtの二度と見れない笑顔を思い浮かべて 瞳から勝手にあふれてくる涙を乱暴に拭って、 オレは屋根裏部屋に閉じこもった
意地悪な義母
Tg
意地悪な義姉
意地悪な義母
意地悪な義姉
意地悪な義母
そう笑いながら部屋に戻る二人を、小柄な青年が見つめていた
Tg
Tg
王都へ出かけた二人の姿を見送った彼はニヤリと意味ありげに笑い、 家の門をくぐり抜けて頼れる魔法使いたちのいる家に走った
コメント
10件
うわぁぁぁぁ🥹あっきぃ気づいて良かった!!あきぷりの結ばれるシーンはやっぱり舞踏会だしお城だから綺麗で美しい感じだったなぁぁぁ!!🥲ほんとにおめでとう!まぜ太くんもナイスサポートだけど!だけど!屋根裏部屋で1人は可哀想すぎるよ!!まじであの二人は呪います💢ちぐさくんの活躍に期待ですな!👍🏻ほんとにいつも高頻度で椿ちゃんありがとう!!
投稿ありがとうございます っ !! うわぁぁぁぁ !! 普通に泣きました 😭🫶🏻 あきぷりついに結ばれましたね !! ちょー嬉しいです ✨ ak君もしっかり昔のこと覚えてたんですね良かった 🥹🥹 mzたんもガチでナイスサポートすぎますね ...おにいちゃん感がぱねぇっす ... ak君のお父さんいい人そうで良かった ... mzたんの義母と義姉は呪いますけど あとはあとまぜだけですね !!
凄すぎる… あっきぃくんおめでとう!! 舞踏会で、企んでるまぜ太くん可愛い