TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

これは、おじさんの経営するホテルに泊らせてもらった時の話です。

おじさんの経営するホテルは 大学生には泊まれない様なお値段のところでした。

ここに泊まれたのも 私とその友人を 特別に 安い値段にしてくれたからでした。

女3人で部屋でお酒を飲みながら、 他愛も無いことを話していると、 友人が ふとこんなことを 言い出しました。

莉子

こういうところにある絵画の裏に御札が貼ってあると
ヤバい部屋だって言うよね

愛菜

おじさんのホテル評判いいし

愛菜

そんなことないと思うけど

じゃあさ、確かめてみよっか

酔いに任せて皆がその意見に賛成して、言い出しっぺの凛が絵画を外しました。

なにこれ……

愛菜

え、どうしたの?

絵画の裏を見た瞬間に、私達は酷く後悔をしました。

そこには、無数に貼られた御札があったのでした。

酔いが覚めていくのが、自分でもわかりました。 それは、隣に居る友人たちも同じだったようです。

その時でした。

《ピンポーン》

あまりに急な音にびっくりして、 私達は小さく悲鳴を上げて部屋の隅でガタガタと震えていました。

暫くの沈黙の後に、また呼び鈴がなりました。

そして暫く後に、また、一回。 そして、また一回。 間隔はどんどん狭まり、 狂った様に呼び鈴が連打されました。

莉子

こんなイタズラするの誰よ!!!!!!!

莉子が怒りながら、勢いよくドアを開けました。

そこには、誰もいませんでした。

私達は悲鳴を上げて泣き、 3人で布団にくるまりながら朝を迎えました。

こんな所に長くはいられないと、私たちは早朝にチェックアウトしました。

私たちが帰ろうとすると、誰かが声を掛けてきました。

それはおじさんでした。

愛菜のおじさん

こんな朝早くに帰るなんてどうしたんだい、もしかして何か……

急に泣き出した私を見て、おじさんはびっくりした様でした。

泣きながら夜あったことを話すと、おじさんは頭を下げてこう言いました。

愛菜のおじさん

実はうちのホテルの絵画の御札も、呼び鈴も全部仕込みなんだ

愛菜のおじさん

ああいう曰く付きの部屋を演出することで話題になってお客さんが増えるんだよ

私たちはその話を聞いて安心し、 顔を見合わせて笑い出しました。

愛菜のおじさん

これ、お詫びのかわりに

おじさんはそう言うと、遊園地の無料チケットをくれました。

帰り道、チケットを友人と分け合う時におかしな事に気付きました。

チケットが1枚、多いのです。

しかし私たちは笑いました。

お茶目なおじさんのことです、これも仕込みなのでしょう。

その時です。

スマホが鳴ったのです。

愛菜の母

通話終了

通話
00:00

愛菜の母

もしもし?

愛菜

なに、お母さん

愛菜の母

もしもし。実はね……

愛菜の母

おじさんが昨日死んだの……

愛菜

……え?

愛菜の母

半年前に倒れてそのまま意識が戻らなくて……

愛菜の母

倒れたことを秘密にしててごめんね

愛菜

え、そんな……嘘だよ……

ツバを飲み込む音が自分の中で響くのが、分かりました。

愛菜の母

あと、さっきお友達から電話があったわよ

愛菜の母

『チケット、私にもちゃんと頂戴ね』だって
loading

この作品はいかがでしたか?

39

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚