テラーノベル
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目を覚ますとベットの上だった ふかふかで、暖かくて、安心する
そうだったな、僕らは…水さんに 引き取られたんだ
よく考えたら、あの人凄いな 神様って、やっぱり凄いね
狐の神様…、そういえば 何処かの家門に狐を祀っている所が あったような無かったような…
@ 白
@ 白
いつもは僕より遅く寝て、 僕より早く起きていた赤ちゃん
気にも止めてなかったけど、 無理させてたのかなって不安になる
本当にうちの長男は…、 責任感が強いんだから
でも、もう大丈夫だよね…?
水さん、 みんなにはまだ信用されては居ない 僕も正直まだ信じれてはない
だけど、本当に僕らの事を 愛そうとしていることは伝わる
愛されてるのは分かる 僕がその愛を一方的に受け取るだけ
…嫌われたくないな もっといい子で居ないと 賢くて、従順で、優しくて、…
嫌われたくない 捨てられたくない 孤独になりたくない
積み重なる不安が、僕を圧迫する
@ 白
@ 白
@ 白
@ 白
居間の扉を開ける前に 桃ちゃんと水さんの話し声が 聞こえる
大人には全く口を許さない 桃ちゃんにも衝撃的だったが 話している内容の方が 僕の耳を疑った
@ 白
能力、水さんと同じ、嫌い… 単語を繋ぎ合わせているだけなのに 異様に僕の胸が高鳴る
そして、水さんを疑いの目で 見つめる、桃ちゃん
あの子は本当は、優しくて素直 楽しそうに無邪気に笑って… そんな姿が可愛かった
でも、あの子は素直さ故に、 染まりやすい性格だった
あの子は、僕らの虐待の生活に 染まって行った
食事をしない事、 暴力を振るわれる事、 暴言を吐かれたりする事 これが桃ちゃんの当たり前だった
桃ちゃんは普通を知らない 「愛」を知らない
@ 白
@ 白
@ 水
@ 白
自分では少しは信頼してつもりでも 体は水さんを否定する
水さんが悪者の様に、 頭が勝手に変換していく
@ 桃
@ 白
無言の時間が過ぎる この空気が気まずくて、頭の中では さっきの水さんと桃ちゃんの 話していたことでいっぱいで
ここの空気も吸いたくなかった 僕を愛してくれている人を、 拒んでいた
「能力」とは何なのか 僕と同じ、あの…力なのか
「未来が分かる能力」 僕は、ある時からこの能力を 手にしていた
扱うのはあまりにも簡単で、 意図的に見える時もあれば、 夢などによって瞬発的に 見えるのもあった
そして変わらないのは、 見える時には必ず、声が聞こえる
優しくて、安心するそんな声 何処か、懐かしいあの声
@ 白
@ 白
僕が考えていると、 ドアの方から声が聞こえた
「まろー、起きてー?w」
「もう着いたよ、起きてー、」
「んーっ…眠いの…」
「まろ、…まだ寝る」
「だーめ、怒られちゃうから起きて」
@ 赤
@ 青
@ 赤
@ 青
@ 赤
@ 水
@ 赤
@ 赤
@ 水
@ 桃
@ 赤
ゆーくんはすぐ、水さんに 心を許したんだと思う
ゆーくんは、愛に溢れてるから あの子が笑うだけで、僕らの視線を 奪うから
人懐っこくて、明るくて、素直で… そりゃあ、水さんも可愛がる
大切なはずなのに、大好きなのに ゆーくんに羨ましいと思ってしまう 妬んでしまう
…兄失格だよな、当たり前に
@ 白
「~っ、…ぁ、~~!」
@ 白
「にぃにっ、どこ…っ?」 「ねぇっ、ぱぱ?ぱぁぱ…?」
@ 白
「悠っ、やだぁっ…ひとりやだぁ…」 「にぃにっ、にぃに来てよっ!」
"ねぇ、弟くんが泣いてるよ" "君を求めて泣いてる、どうする?"
そんなことはもう、分かってる 俺の選択が、もしかしたら 世界を揺らすかもしれないから
でも、やらないと始まらない
@ 白
@ 白
@ 白
@ 水
@ 水
@ 水
@ 白
行かないと、 あの子を孤独にさせてはいけない もう二度と、あんな思いはさせない
@ 赤
疑問に思ってる赤ちゃんを後にして 僕は愛する末っ子の元へ向かった
多少部屋に入るのを心は躊躇ったが 体はもう戸を開けていた
@ 白
@ 黒
@ 黒
@ 白
@ 白
@ 黒
@ 白
ゆーくんが1人を嫌っているな事は 分かっていた
その事を僕らに隠していることも、 分かっていたのに、…僕の馬鹿
@ 黒
@ 白
@ 黒
@ 白
@ 黒
@ 白
「パパ」か、…ゆーくんはもう、 水さんを新しいお父さんとして、 認めたのか
弟は、幸せなのだろう 暴力や暴言に怯えることもなくて、 愛が注がれている
愛している弟が幸せいっぱいなのに どうしてこんなに僕は
@ 白
水さんを「お父さん」と呼べる日は いつ来るのだろうか
僕が水さんに、心を許せる日は いつなのだろうか
僕が僕を許せる日は、一体… いつ訪れるのだろう
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